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銀色の夢

お題企画第十弾でございます




 「銀色は高貴な色。 銀色を持つ子は宝物」


 そんな人種差別も(はなは)だしい一つの《ドリーミー・ケージ》に看守が訪れた。


 いつも通り、月華(ユェファ)……ではなく銀色の髪を持った長身の青年。 シルアという名前の看守である。


 ――ペコン


 この《ドリーミー・ケージ》も例に漏れずルールとクリア条件の書かれたパネルが頭上に現れそこに書かれているのは……。


 「ルールは銀色を否定しない。 クリア条件、銀色の王女に気に入られる……か。 媚びるの苦手なんだがなぁ」


 ため息をつきながら辺りを見回しどうやら栄えている王都のようで皆それぞれ服や装飾に銀色が入っている事からこの《ドリーミー・ケージ》では銀色という色が特別なのだとシルアは思うが自分の性分が他人に気に入られるような感じではないのを理解しているので気持ちが沈んでいくが、この《ドリーミー・ケージ》から出る為には沈んでもいられずに街を歩く事にした。


 「貴方、髪の色美しい銀色ねぇ」


 「へ?」


 「そうね、高貴な色だわ。 何処から来たの?」


 街を歩いてすぐに銀色のネックレスなどをしたドレスを着た女性に囲まれあーでもないこーでもないと集られた。


 「こんな綺麗な色、王様に見てもらわなくてはなりませんわ」


 「そうよ、お城に行きなさいな」


 「大丈夫ですのよ、心配しなくても。 銀色の髪は王族の印ですもの。 何も言わなくても入れて貰えますわ」


 女性たちに引っ張られてあれよあれよという間に城前に来てしまい衛兵もシルアの銀髪を見て難なく通してくれた。


 『……鬼子と呼ばれてたこの髪でも認められる世界あったんだな』


 シルアは短めの毛先に触れながらしんみりと考えていた。


 「おぉ、美しい、銀色だな。 お主、名はなんという?」


 衛兵に連れてこられるままに玉座の前に出されると王と妃は満足そうに頷き王様が問いかけた為にシルアは素直に答えた。


 「シルアか。 この辺では聞かぬ名だな。 まぁ、よい。 銀色の髪は我が国では宝だ。 高貴な生まれなのだろう?」


 「貴方、高貴な生まれではなかったらここまで美しい銀色の髪はしておりませんわ」


 「おぉ……それもそうか。 よし、お主、我が娘と会ってみんか?」


 話を聞かないこの(ケージ)の人間の最たる物なのだろう。 トントン拍子で話が進んでいきシルアはは、はぁ…としか言えなくなっていた。


 「貴方、本当に綺麗な銀髪ね。 私には負けるけど」


 「いや、髪で女性に勝とうとは思わねぇし」


 「何を言う。 お前の金髪よりシルアの銀髪の方が綺麗であろう」


 「お父様!? 私は目が銀だからよろしくて?」


 「お前も宝じゃがやはり髪が銀の方が映えるのでな」


 そう言い残し王様はシルアと王女を二人きりにした。 ご丁寧に侍女まで引き上げさせて。


 「貴方、銀色の髪で調子乗ってるんではなくて?」


 「んなわけねぇだろう。 ぶっちゃけ、今までこの髪で白い目向けられてんだ。 調子の乗りようがねぇ」


 キッと睨みつけられてシルアはため息混じりに首を振る。 その言葉に王女はびっくりした様に目を丸くしていた。


 「ありえないわ。 そんなに美しい髪なのに。 白い目向けるなんて」


 王女は近づいてシルアの髪をひと房持ち上げながら呟く。


 「ここじゃあそうだが、普通は小さい頃からこの色だと理解できないんだろ。 仕方ない事だ」


 「貴方、バカ? なんでそんなに諦められるのよ!」


 「は? つか、なんで泣いて??」


 「私はっ! 諦めない! 王族でありながら、銀色を持たない私でもっ」


 ボロボロと涙をこぼしながら怒る王女にびっくりしながら困惑するシルア。 いきなり目から色の付いた何かを取り出し睨まれ更にシルアはびっくりする。 王女の目の色が青くなっていた。


 「カラコン?」


 「そうよ。 カラーコンタクト。 私の乳母がしてなさいって言ったのよ。 こんな青い目じゃお父様もお母様もお許しにならないわ」


 「……いや、あんたの目の方が綺麗だと俺は思う。 綺麗な碧玉。 銀色も銀色で綺麗だったが。 俺はそっちの方がいいと思うけどなぁ」


 「っ……。 あんたがそう思っても……お父様とお母様はそう思ってくださらないわよっ」


 「まぁ、そうだろうな。 アホみたいにここの奴は銀色を神格化してると思うし。 なぁ、お姫様」


 俺を殺してみるか? と笑っていうシルアに絶句する王女。 問いただそうと口を開いたその瞬間にシルアの体は跡形もなく消えた。


 「一体、なんだったのよ」


 呆気にとられたままの呟きは部屋の中に吸い込まれて消えた。


 「戻ったか。 残念だな」


 シルアは銀色の目をした金髪の少女が描かれた表紙の本を本棚に戻した。








 「なんだよ、これ」


 カウンターに見慣れない紙があった為に触れたらその看守、シルアの情景が流れ込んできた月華は一歩後ろに下がりさっきまで触れていた紙を凝視した。 自分以外誰もいない《牢獄図書館(プリズン・ライブラリー)》。 変わった所は一切ない。 唯一変わったことといえば自分の汗の量とバクバクと体中を駆け巡る鼓動だけだった。


 「変なもん触っちゃったな」


 頭を抑えながら月華はカウンターに背を向けため息をつく。 その後ろ、カウンターの内側に、茶色のローブを着た人物がいる事を知らずに、月華はまた本を探し始める。








 =銀色の夢 完=


 お題:銀色

 お題配布元:http://99.jpn.org/ag/

終わり方無理矢理過ぎましたね

そして最後の最後によくわからん人出てきちゃったし……

あと、20話でこの牢獄図書館も終わらせようと思います。

頑張って終わらせるので長い目で見てやってください

ここまで読んでいただき誠にありがとうございます

よろしかったら感想なんかを頂けれると嬉しく思います

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