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No.002
日付:2032年5月14日
対象:1997年における関係性の変質と「崩壊」
大学進学。それは三人の均衡が崩れる舞台だった。
西本慎太と工藤麗奈が恋仲になった。当時の友人たちの証言によれば、九条はそれを祝福しているように見えたという。だが、その裏で彼は狂気に足を踏み入れていた。
1997年、麗奈の体調不良が顕著になる。
私が当時の医療記録を(非合法な手段で)入手したところ、彼女の脳波は異常な波形を示していた。周囲の負の感情を吸い込み、精神が摩耗していく「共鳴体」の末路。
九条は、麗奈を救うという大義名分の下、密かに独自の学問を確立し始める。物理学、神秘学、そして魂の質量保存則。
「九条の当時のノートを一部解読した。そこには『エーテル』という単語の原型が既に登場している。彼は麗奈の病を治そうとしたのではない。彼女の体質を『抽出機』として完成させようとしていたのだ」




