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No.001

日付:2030年10月12日

対象:工藤麗奈および九条遼太郎に関する初期調査


 私がこの調査を始めたのは、些細な違和感からだった。

 今や世界を救う聖人として崇められるエーテル財団議長、九条遼太郎。彼の輝かしい経歴の中で、1990年代中盤の数年間だけが、まるで意図的に塗り潰されたように空白になっている。


 私は、九条の母校である高校の物置から、一冊の古いアルバムを見つけ出した。

 そこには、三人の若者が写っている。

 中央で太陽のように笑う西本慎太。その傍らで、どこか遠くを見つめる儚げな美少女、工藤麗奈。そして、二人を冷徹な、しかし熱を帯びた瞳で見つめる九条遼太郎。


 麗奈について調べると、興味深い事実が浮かび上がった。彼女の故郷では、彼女の一族は「忌み子」と呼ばれていた。神話時代から続く血統、そして「目に見えないエネルギーへの過剰な感受性」。

 1994年、彼女が上京したのは、その「声」から逃れるためだったのだろう。だが、皮肉にも彼女は、その声を「神の言葉」に変えてしまう男、九条と出会ってしまった。

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