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停学?カウンセリング?
先生たちはこの事件のことで緊急の会議を始めた。
たが、事態はすでに手遅れだった。後藤は立ち上がり、教室を出て行った。彼の背中には重い沈黙が追いかけてきた。
会議室では、担任の佐藤先生が深刻な表情で他の教師たちに説明をしていた。「このままでは、後藤君の心に深い傷を負わせてしまいます。何か対策を講じなければなりません。」
教頭先生が冷静に言葉を続けた。「まずは、初音さんたちに事実を確認し、厳重に注意します。そして、後藤君の気持ちをケアするためにカウンセリングを手配しましょう。」
その頃、後藤は校庭の片隅で一人座り込んでいた。彼の心には、初音たちの言葉が刺さり続けていた。しかし、そんな彼のそばにそっと座ったのは、クラスで一番静かな生徒、千尋だった。
「後藤君、大丈夫?」千尋が優しく声をかけた。
その言葉に、後藤はふと顔を上げた。涙がこぼれそうな目で千尋を見つめながら、少しだけうなずいた。
「ありがとう、千尋。」
僕は、天使のように見えた。