奥田と鈴木
僕の唯一の理解者は、奥田と鈴木くらいだ。
奥田はいつも
「気にするな」
と、気にかけてくれるから助かっている。
鈴木も肩をポンと叩いて無言でいてくれる。すごく少ない友人だけれど、すごく嬉しいのである。
そんな日常が続く中、ある日、奥田が放課後に僕を呼び止めた。
「後藤、ちょっと話があるんだ。」
僕は少し緊張しながらも、奥田についていくことにした。彼は校庭の片隅にあるベンチに座り、僕に座るよう促した。
「実はな、鈴木と俺で、初音たちのいじめを止める方法を考えたんだ。」
僕は驚きと期待が入り混じった気持ちで奥田を見つめた。彼は続けた。
「まず、先生に相談するのも一つの手だけど、それだと逆にもっとひどくなるかもしれない。だから、俺たちで何とかしようと思ってさ。」
鈴木も同意している様子でうなずく。
「どうやって?」僕は尋ねた。
「まずは証拠を集めるんだ。スマホで録音したり、写真を撮ったりして、初音たちがいじめをしている証拠をしっかりと残す。それを持って、ちゃんとしたタイミングで先生に見せるんだ。」
奥田の提案に、僕は少し希望を感じた。確かに、それなら先生も動かざるを得ないだろうし、初音たちも一度目立つ形で叱責されれば、少しは大人しくなるかもしれない。
「分かった。やってみるよ。」僕は決意を込めて答えた。
その日から、奥田と鈴木と一緒に少しずつ証拠を集めることにした。初音たちのいじめが続くたび、僕たちは冷静にそれを記録していった。
時間が経つにつれ、集まった証拠は十分なものとなり、僕たちはついに先生にそれを見せる日がやってきた。
「先生、ちょっとお話があります。」
教室の隅で、僕たちは先生に証拠を見せ、事情を説明した。先生は驚きと怒りを隠せない様子で、すぐに対処を約束してくれた。
翌日、初音たちは先生に呼び出され、厳しく叱責された。それ以来、クラスの雰囲気は少しずつ変わり、初音たちのいじめも徐々に収まっていった。
奥田と鈴木のおかげで、僕は再び学校生活を楽しむことができるようになった。少ない友人でも、その存在がどれだけ大きな支えになるかを実感した瞬間だった。