いじめは加速
初音たちのいじめは加速する。クラスの女子のルミが、
「後藤ってばあ、今度デートしよう」
でも、彼女の表情はニタニタ。
初音が強い口調で
「ブタ後藤、ルっちのデート断るつもりか?」
気弱な僕なので断れなかった。
香織も早紀子もあゆみが笑っていた。
周囲の笑い声が耳に刺さる。ルミの悪意に満ちた提案に、僕はどうしていいかわからず、ただうなずくしかなかった。その瞬間、初音たちの笑い声が一層大きくなった。
放課後、約束の場所に向かうと、ルミはすでに待っていた。しかし、彼女の表情はやはり冷たいままだった。僕は緊張しながら、
「今日は、どこに行きたい?」
と尋ねた。ルミは一瞬だけため息をついて、無関心そうに言った。
「適当に歩けばいいんじゃない?」
その後、町を歩きながらも、ルミは僕に対して興味を持っている様子は全くなかった。彼女はスマホをいじりながら、たまに適当に話を振るだけだった。僕はその態度に心が沈んだが、逆らうこともできず、ただ彼女に従うしかなかった。
デートの終わりに近づくと、ルミは突然立ち止まり、僕に向き直った。
「まあ、これであの子たちも満足するでしょ。じゃあね。」
その言葉に、僕は驚きと失望を感じた。やはり、これはただの遊びだったのだ。僕はどうしようもない気持ちでその場に立ち尽くした。
次の日、学校に行くと初音たちは再び僕をからかい始めた。
「どうだった、ブタ後藤?楽しかった?」
その言葉にクラス全体が笑い声を上げた。僕は耐えきれず、教室を飛び出した。外の空気を吸い込みながら、これからどうすればいいのか途方に暮れていた。
そんなとき、奥田と鈴木が僕を見つけ、駆け寄ってきた。
「大丈夫か、後藤?」
奥田の優しい言葉に、僕は少しだけ救われた気持ちになった。鈴木も、
「俺たちがついてるから、気にするなよ。」
と言ってくれた。その言葉に、僕は初めて少しだけ安心を感じた。他の人たちがどう思おうと、少なくとも奥田と鈴木だけは僕を理解してくれる友人だと感じた。