表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/11

2:カーライル・シュタイナー

 セシリアの幼なじみ、カーライル・シュタイナー。


 ざまあ展開ではセシリアを隣国に連れ出した張本人。子供の頃からセシリアにベタ惚れで、第一王子との婚約が決まった時一旦気持ちに区切りをつけたけど今回の件で彼女への想いが再燃して……という普通ならヒーローポジ。


「ざまあ成功」→「王子と私は処罰」→「カイルとセシリアが結ばれる」で晴れてハッピーエンドなんだけど……王子の執念がざまあを上回ってしまったので、カイルはあっという間にそのポジションから外れてしまった。


 恐るべし殿下。そう考えるとカイルも不憫な立ち位置なんだよね……と思わずジッと見ていると、


「……何だよ。また操ろうとしてんのか」

「は!? そんなことする訳ないじゃない、もう魅了は使えないんだから!!」

「冗談だよ、そんな突っかかんなって」


 言い出したのはそっちのくせに!


 以前セシリアに頼まれてカイルに魅了をかけたことがある。その体験がよっぽどトラウマなのかカイルは時々当時の話を蒸し返してくる。


「で……今日はどうしたの?」

「ああ、これから殿下の執務室。処理済みの書類の仕分けと配布、あと午後からは殿下の視察に同行して――」

「まだ頑張ってるんだ、殿下の小間使い」

「おい、言い方」

  

 シナリオ改変前にカイルが起こした行動は、ざまあ展開なら全く問題なかったけど、普通なら斬首ものだった。殿下の婚約者を勝手に隣国に連れ出し、王族に対して反旗を翻したのだから。


 でもここに関しては私同様セシリアが丸っと引き取ってくれて事なきを得た。もうチートなのかな? というほど頼りになる令嬢、セシリア・フォンクライン。


 ただ、ざまあの最中アイスランに対して口走った不敬オンパレードはどうにもならず……暫く殿下の補佐という名の小間使いとして仕えることになった。


 まあ、カイルは優秀だし腕も立つから殿下としても使い勝手が良さそうだけどね。と、嬉々としてカーライルをこき使っているアイスランを見ながらそう思った。


「そっちは図書館で魔導書の解読か?」

「まあね」

「あんまり無理すんなよ。パワーアップしてまた変なスキルが身についても困るし」

「だから!」

「ははっ、悪かったって。じゃあな」


 頭をぽんぽんされた。


「……うん」


 立ち去る背中を見送りながらぼんやり思う。

 

 カッコいいんだよなぁ、やっぱり。


 アイスランのような華やかさやジュラルドのような色気はないけれど、抜群の容姿に剣武の才を持ち合わせたカイルは、殿下、ジュラルドに匹敵する人気を誇っていた。


 むしろアイスランには元々婚約者セシリアがいるし、ジュラルドも最近長年の暗躍が実り、溺愛するレイチェルを手に入れたばかり。三大有望株の内二人がお手つきになったことで、残ったカイルの人気は今うなぎ上りだった。


 私なんかに構ってないでそういうご令嬢達の相手でもしてればいいのに。


 あの一件以来、私とカイルはほぼ毎日顔をつきあわせている。


 殿下はまだ私を完全に信用していない(ドン引きレベルでアピールしたからね)のできっと私を監視する意図でカイルを寄こしている。それに逆らえないカイルが渋々従っているんだろう。


 ただ監視といっても行動を制限されるわけでも詰問されるわけでもなく、こうやって毎日話したりからかわれたりするだけ……むしろ結構世話を焼かれているような気がする。


 そう、本来のカイルは口は悪いけど優しくて面倒見が良い。そして恋愛に関しては一途。


 私は前世女子大生で、かの恋に嵌まってプレイしていた時はアイスランより断然カーライル派だったので勿論嬉しいんだけど……カイルにとっては苦痛でしかないと思う。


 何しろ私はカーライルが愛してやまない幼なじみ、セシリアを陥れようとした張本人なんだから。

ブックマーク、ご評価いただけると大変励みになります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ