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7 仮試験スタート!

「ここがリコヨーテ?」

「んね、早かったでしょ?」


ローカが近くでアクロバティックに着地した。


「さっきの曲は何だよ?」

「ガブリエル・フォーレの”シチリアーノ“だよ。さて、少しだけ街を案内するよ。俺から離れたらめっだからね! あと右のブラ紐落ちてるよ!」


ローカは今日は元気いっぱいでハイテンションだ。


「お、おお」


涼子は突っ込むのもめんどくさくなった。白い半袖を着ていて、汗もかいており、ブラジャーが透けているようだ。

ローカのすぐ斜め後ろを歩いた。

リコヨーテは、現実世界にあるようで、すぐに食べ物屋が軒を連ねている。

涼子は(食べたら豚になるのではないか)と思った。


「今、この世界のものを食べたら豚に変えられてしまうと思った? 残念でした~、豚になりませんー、鹿になりますー」


ローカはふざけているので涼子はイラッとした。


「嘘だろ。流行りに乗ろうかと考えなくていいからな」

「呼んだ?」

「呼んでねえよ」

「まあ嘘だけど。とりあえず、音楽魔法学校まで行こう。俺、タク呼ぶね」


ローカは走る車からタクシーを見つけると、大きく手を降った。


「へい、カップルさん、何処までだい?」

「魔法音楽学校まで。……どうした、涼子」

「えっと。あ、い、いや別に、なんでもないが?」

「ちょいちょい」


ローカはコソコソ話をするように手を仰いだ。


「んだよ?」


そういう涼子は耳を近づける。


ちゅっ

ローカは涼子の耳にキスした。


「やぁめぇ! 何すんだ!」


涼子はローカを両手で身体から引き離すも、顔は真っ赤だ。耳を抑えてローカに向き直る。


「従兄弟伯母によくにされたからどんな反応するかなーって思って!」

「今度したらしばき倒すから」

「ところで、俺の母ってさ、年を取らないんだ」

「え? どういうことだ?」


涼子はいきなり何を言っているのかわからなかった。


「昔、何でも叶う願い石に願ったんだって。不老不死ってやつ?」

「……不老不死か。お父さんも?」

「男を取っ替え引っ替えしていて、兄弟は6人兄弟だ。兄が2人、弟は3人。俺は3番目。俺より年上の姪孫もいる」

「色々だな」

「すで亡くなっているんだけどローレライという気のいい親父がいて、その子供の子供が今回吸血鬼ハンター試験を受けると聞いたな。ロサ君とミャウカちゃんだったけな」

「ふうん、仲良くなっていたほうがいいのかな。あんたの家、裕福そうだな」

「んえ? 言ってなかったっけ。スターリング城が実家で俺の母のルコというババアが女性君主だよ」

「ええええ!? 本当に? だからあんなに綺麗に折りたたみ傘畳まれていたの?」


涼子は驚きが隠せなかった。


「あー、そうそう、あの日、リコヨーテに帰ったんだったっけ」

「それなら、日本で眷属探す必要無くない?」

「半月の血はあまり美味しくないんだよなー。奴隷にしたって、恋しているわけでもない。恋している女の子のほうが格別にうまいんだなーこれが」

「知らねえよ。とりあえず殴らせろ」

「暴力反対!」


そう言っている間に車が止まった。


「お客様方、500ペドルでございます」

「あたしが出すよ、えーっと500円?」

「円じゃないよ。パース」


ローカは手に収まるほどの銀色のルービックキューブの蓋を開けて金貨を5枚取り出した。カルトンにのせる。


「ペドルって?」

「こっちの国のお金だよ、普通の武楽器所持者(プレイヤー)なら武楽器から出すんだけど」


涼子とローカはタクシーから降りた。


「今後ともご贔屓に!」

「あ、ここで待っててくれるかい?」

「はい!」


タクシードライバーの返事もそこそこにして、涼子は目前にそびえ立つ大きな学校を目にした。

黒い校門に、黒い校舎。カラスが上空を翔んでいる。

「ここが魔法音楽学校!」

「黒い学校だな」

「今日は学校は休みで、先生以外誰もいないはずだよ」

「いきなり行って、仮試験クリアなんてあるのか? ん?」


仮試験の方はこちらへどうぞとかいてある扉が校門の脇で、申し訳程度の大きさで、試験者を待っていた。


「俺ここで待ってるね。1時間もあればでてこれる。これお守り」


ローカは人差し指につけていた指輪を涼子の右手の人差し指につけた。


「ぐぬぬ、45分で帰ってきてやる!」


涼子は勢いをつけて扉を開く。力が抜け、上昇気流に風に乗って上まで移動させられた。少し怖かった。目を開け、息するとそこはもう校内だった。屋上に佇んでいた。

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