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52 噛まれる涼子!

「絶対に、リコヨーテで落ち合おう」

「んね! 早く逃げてくれ」


ローカは茶化すように笑うと、廊下の方へ歩き出した。


「雨に当たっても平気ですかね」

「あたしがチューしたから平気だよ」

「チューって」

「このナイフあんたが持っててくれ」


涼子はケシーにナイフを渡すと窓を開けて、外に出ていった。きららとケシーも続く。

雨がザーザー降りだ。


「ひゃあ、冷たい」

「ケシー大丈夫?」

「黙ってついてこい」


ローカの家の方面は車が立ち往生して、事故も起きている様子だ。


ドンドン! ピーポーピーポー。ブルルルン!  バーン!


ドンパチも聞こえる。

屍が横たわる道をまっすぐ進んだ。

唐突に、涼子の前に大きな吸血鬼が来る。


「どうしよう! どうしよう!」

「ケシー、静かにしろ」


涼子は冷静だった。1つ呼吸を整えると、合気道の構えのように手を前に出す。


ドン!


涼子は吸血鬼の男性を小手返しで土の上に伏せさせた。そして血がでている方の手を彼の口に当て、正気を取り戻させた。


「は! 俺は一体何を?」


吸血鬼の男性はオッドアイから治る。

その時だった。

シャーーーーーー!

小さなスコティッシュフォールドが涼子の体にダイレクトでぶつかってきた。左手を噛まれる。

カッ! っと光る。


「ここは?」


光りとともに人間の女の子に変わった。


「あたしは涼子、今この世界でパンデミックが起きている。早くリコヨーテに行かないと大変なことになりうる」

「リコヨーテに行きましょう」


ケシーはしっかりした足取りで走る。

カー!

小さなカラスの半月が真上に翔んでいる。


「また半月だ。血につられてくるようだな」

「ウォレスト、ボクが守ります。公園まで後数分です、頑張ってください」


ケシーが槍のような武楽器を出す。


「痛!」


涼子は今度は子犬ラブラドールレトリバーに噛みつかれた。

腕に小さな穴が開いた。

ケシーと涼子ときららはひた走った。

涼子は体のあちこちから出血していた。動物や昆虫たちに襲われてケシーと同じくらいの140センチほどの身長になっていた。きららには怪我1つさせなかった。

公園に着く。あの土管の横で魔法を唱える。


「ウォレスト!」


呪文を略してピアノが出るようになった。

間髪を入れず指を動かす。体の至る所が痛い。

”シチリアーノ”を演奏した。

涼子が弾き終わると、きららとケシーが先に土管の中に入った。涼子も続いた。



リコヨーテはまだ、曇り空だが雨は降っていなかった。

3人と蜘蛛は急いで、城へ向かった。


「すみませーん!」


小舟が音を立てて、やってくる。

ポタポタ。

雨が降ってきた。

小舟にはネニュファールが乗っていた。涼子達の元についてから変化が起きた。


「なんですの? 紫色の雨ですわあああああ」


ネニュファールは鴇色と赤色の目になった。


「御免!」


涼子はネニュファールにキスをした。


「あら? 今、わたくし、何を?」

「吸血中毒を治しただけだ。それにこれ、お守り」


涼子は血のついた銃弾を1つ、ネニュファールに渡した。


「雨が止みましたよ」


ケシーはそう言って空を見上げた。晴れ間が広がっている。


「リコヨーテ人に被害はそれほどでもなかったことか?」

「そうですよ、きっと」

「涼子様、あちこち、傷だらけではありませんか、まさか吸血鬼に噛みつかれて?」

「ああ、でも、雨が止んだのなら、パンデミックも終わるはず。今テレパシーを送る」


涼子が言っている間に、ネニュファールは自らの髪留めを外す。


「涼子さんの体を治してくださいまし」


ネニュファールの髪留めは光り出して、涼子の姿が165センチに戻って、傷も無くなっていた。


『ローカ、聞こえるか? 返事しろ、おーい』

『うん』

『うんじゃねえよ。無事だったか』

『吸血鬼は吸血鬼を噛まないらしいが邸宅の奥にたなたんが隠れてて、その匂いに吸血鬼が集まって大変だったよ。ほら、女の子の日ってあるじゃん?』

『あんたが女の子の日って言うとキモい』

『じゃあ生理って言えばいいのか? この変態』

『あんたがな。って、こんな事言い合ってる場合じゃない。今リコヨーテにいるんだがそっちも雨は止んだか?』

『止んだよ、それで普通の吸血鬼が、日光を嫌がる吸血鬼になっちまった。吸血鬼を2体捕まえた』

『日光に当たるとどうなるんだ』

『砂に変わってしまうってよ。きららちゃんと先生は無事か?』

『無事だ。またなんかあったらテレパシーを送るから、待っていろ』


涼子はたれていた頭をあげる。ケシーと目があった。


「大丈夫ですか?」

「雨にあたって、あたしの体液が体に入っていない雨を浴びた吸血鬼は日光で砂になっちまうらしい」


涼子は間を置いて、ケシーに話しかける。


「雨雲の予想はどうなっているんだ?」

「これからの天気は、今日1日でリコヨーテは降水確率40%、関東地方30%」


ケシーのきれいな目と涼子は目があう。


「まだ夕方の16時過ぎだ。18時の夕暮れからに好き勝手、動かれると思う。この怪異を止めるぞ」

「涼子様、記憶を見てほしい人がいますわ」

「誰だ?」

「ローリ様。ローレライ・スターリングシルバー様ですわ」

「待てよ。もう亡くなったってローカから聞いたのだが?」

「それは子どもの頃からそういう嘘を突き続けてきたのですわ。ですが、生きていますわ、おそらく天狗として」

「天狗? 前にローカが言っていたあの天狗か?」


涼子は不思議な様子で首を傾げた。

(夏休みの前の日曜日から何日間か、ローカはローレライと会っていたのか?)


「あの日から、何日も戻らなかったな」


涼子は「ニーベルング」と言い、指輪を出した。ペンをネニュファールから借りる。

書く名前はローレライ・スターリングシルバー。日付と時間はあの公園で別れてから3時間後から3時間までにした。



世界が歪んで、また綺麗になって再生される。


周りは黒い空間だ。


「ここだ、すみません、俺、スターリングシルバー家のものですが! 亡くなったBG5番の夢野亜紀の代わりにBGになりにきました」


ローカの声が聞こえてきた。

足元が揺れる。浮いているらしい。目隠しをしているローカの姿があった。

風景から、クライスタルの壁が見えたのでテイアにいることがわかる。振り返るとそこは岩穴だった。スーツのような素材の服を着ている。


「ほう、5番の亜紀の代わりのメンバーか、面白い。僕は天狗と呼んでもらおう」

「はい、天狗様。それで力を分けてくださるんですね」

「そこに直れ」


ローレライはローカの後ろに周り、肩にかぶりつく。


「うぐっ。なんだ? 力が込み上げてくるこの力は一体?」

「もう目隠しをとってもいいよ。鍛えれば、好きに翔べ、透視することも出来る。このお面は視ることはできないけどね。はっはっは」


ローレライは笑いながらローカを見下ろした。

ローカの首にはBG5と刻印を押されたように浮かんでいた。


「俺、ずっと前から知っていた気がするんです。本名を教えてくれませんか?」

「僕には名のれる名など持ち合わせていない。神とでも呼んでくれたまえ」

「神様、俺にもっと力を」

「では愛する者を連れてきたまえ。さすれば、もっと大きな力を与えるよ」

「そんな事出来るはずがありません」

「ならば姿を見せることはないよ。クライスタルの近くの大滝で3ヶ月待つよ。ただし、違う者を連れてきた時、または僕に敵意を向けた時には日本人とリコヨーテ人全員が連帯責任を負う事になるよ」

「はい。分かりました」

「それではまた」


ローレライは翔んでいく。

荒れた大地に佇む2メートル級のカモシカの月影を拳の一撃で倒した。


「ウォレ。パース」


赤みのあるバイオリンとルービックキューブのような箱が出てきた。


血は箱に金貨、銀貨、銅貨、宝石、貴金属、装飾品などになり箱に吸収された。

涼子にはわからない曲をバイオリンで奏でていた。

(どこに行くのだろう?)

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