49 ジャズを聴く!
次の日。
朝の6時頃。
♪
涼子のケータイに愛川きららと表示されチープな音楽がなった。
『きららです。涼子さん、おはようございます。オルタードスケールのことなんですけど、あの、V7ってなんですか?』
『主音から数えて7度に加わっている和音のことだ。三和音に対して、四和音とも言う。その間の音を弾いてくれってことだと思うぞ』
『ありがとうございます。後、ジャズのライブのことなんですけど』
『頭でっかちに言われたこと気にするな、来週もくるんだろう? その時進化を見せつければOKもらえると思うぞ』
『ディミニッシュスケールは全音、半音、全音、半音みたいな感じの音並びですね。オーギュメンントスケールは転回を覚えればいいんですね』
『おう。そうだな。例えばcaugはド、ミ、ソ#で、Daugはレ、ファ#、ラ#で組み合わせるとド、レ、ミ、ファ#、ソ#、ラ#になり、これがcaugのオーギュメントスクールだ。口で説明するのは難しいな』
『詳しいんですね?』
『聞きかじった程度だよ。素人に毛が生えたようなもんだ。その他は自分で調べてくれ』
『はい』
『今度は日曜日に行きますよ?』
『大歓迎だ! 何時にくる?』
『3時に来て、4時に帰ります』
『わかった、じゃあな』
涼子は電話を切った。
コンコン。
「お嬢様、起床なさってますか?」
「起きてるぜ。赤石、どうした?」
「お食事はパンとご飯どちらになさいますか?」
「パンで、ケシーは起きてる?」
涼子は制服に着替えて、ドアを開けた。
「おそらく眠っています。返事はありません」
「マスターキーをもってこい」
「はい」
赤石は軽く息をきらせてやってきた。
コンコンと、ケシーの部屋のドアを叩く。だが返答はない。
「もしもし、ケシー、いるか? 開けんぞ!?」
涼子は口調を荒く、許可をえようとするも惨敗だ。なので、マスターキーで入ることにした。
ガチャン!
布団の隅で毛布にくるまって丸まっているケシーの姿がいた。
「ケシー、朝だぞー!」
涼子は問答無用でケシーを叩き起こす。
「うーん、体感ではまだ夜ー」
「あ! きららちゃんだ」
「ええ!?」
ケシーは飛び起きた。
「いないじゃないですか、嘘つかないでもらっていいですか?」
「あんたがどれだけ自堕落かきららちゃんに言っとくから」
「何を言う気ですか? 起きますのでやめてください」
「ふふふ。さて、学校に行くぞ!」
「ふぁあ、しょうがないですね」
ケシーは口に手を当てて大あくびをすると部屋から出る。
「パン? ライス?」
「パンで」
ケシーが言うのと同時進行で赤石が調理場に向かい、「パン2食分です」と叫んだ。
「はーい」
たなたんの声がする。
「絵空は?」
「午後から来るそうです。いつも深夜に帰り、午後から来てるんですよ」
「そういうことだったんだな。なんだ、じゃあ午前中は楽だな。学校でゲームでもするか! あれっ? ゲームがないんだが!?」
涼子は自分の部屋のタンスに隠しておいた携帯型ゲーム機が無くなっているのに気がついた。
「あたしの、テトリスは!? ベースボールゲームは!?」
「ああ、お嬢様が学校に行っている間に絵空がなにかゴソゴソしていたのですが」
「絵空、あの野郎!」
「まあまあ。ゲームばかりしていると目が悪くなりますよ」
「『ジャズが出来るようになったら返す』と紙が貼られていますよ?」
赤石は棚の奥に貼られた紙を見つけた。
「はああーぁああ(深いため息)、やりゃあいいんだろ。舐めすぎだろ」
涼子はIPODにジャズを入れまくる。
「先にご飯食べてますよ」
「おう、すぐ行くぞ」
涼子はパソコンの電源を落とし、朝食に向かった。そして、学校へ。学校が終わるまでの間、ジャズを聞いて聞いて、身につけようとした。
学校の終わる頃、やはりと言ったところか、校門前で絵空の車が待機していた。
涼子は一目散に駆けつける。
「絵空、あんた、あたしのゲーム返せよ!」
「ジャズはいいですよ、心を豊かにしてくれる」
「確かに一理あるが、それとこれとは別だ」
「今日も練習頑張りましょう」
「ジャズがうまくなったら返せよ」
「そのつもりです」
その後、絵空と涼子は防音室にいた。
涼子は自分がスイングしている感覚を持ち合わせていることに驚く。
「ジャズ、少しはうまくなったようですね」
絵空は不気味な笑顔で語りかける。
「後はきららさん次第です」
「何が?」
「ジャズライブに行きたいと懇願していましたよね」
「懇願ってほどではないかな」
「じゃあ行かないんですね」
「いや行くよ!」
涼子はきららにIPODでジャズの曲を聴くように、後はきらら次第でジャズ喫茶行ってもいいとのことをメールした。
『わかりました、日曜日はまたお願いします』とメールはすぐに返ってきた。




