41 船内のかくれんぼ!
椅子も設けらられている。
涼子は料理に気を取られていた。
しかし、思わぬ再会をすることになった。
ロサが走っていく、行く先にはサラスがいた。
「サラス! てめえ、よくも俺様の妹に怪我させたな」
「ココデハ、アラソイ、キンシダ」
「ロサさん、まだ吸血鬼ハンターになる正式な手順を踏んでいる最中です。ここで争いを行った場合はライセンスは剥奪となります」
黒いスーツを来たムキムキな男性がロサの手を掴んだ。
「ロサ君。ミャウカちゃんの事は残念だったけどしばらく静かにしておこうよ」
「見せもんじゃねえぞ。……わかった。船から降りればいくらでもボコボコにしてもいいんだな?」
「船からはバッチの若い順から降りてもらう」
マイクから音声が聞こえてくる。壇上にスプルースが立っていた。
「はあ? それじゃあ、遅いほうが不利だろ」
「基本的に吸血鬼ハンター殺し合いはご法度だ。例外以外は認められない」
「例外とは?」
「吸血鬼ハンターや一般人を殺したりして協会が仇と認めた者だ」
スプルースの話を聞いていると、涼子の目の前に上半身がアーガイルチェックのケープを着て、下半身がヘビの、仮試験の時の女性がサングラスをかけて出てきた。
涼子は急いで逃げる。
その時、きららと衝突した。
「ごめん、あ、きららちゃんか」
「こちらこそすみません、涼子さん」
「きららちゃんはこれから家に帰るのか」
「はい。……あのう、ケシーは今どこにいるんですか? ご飯は食べられてますか?」
「ケシーは今、あたしと同じホテルに泊まっている。勘違いしないでほしいんだが、同じ部屋じゃないぞ? ほら、岬浦康介殺害事件あったよな? その影響でハウスクリーニングをしていてホテルに泊まっているんだ。まあ、もう元の家に帰る気なんだが」
「お願いします! ケシーに会わせてください」
きららは土下座をする。
「ちょっと、止めろよ、いじめてるみたいじゃねえか」
「ごめんなさい」
「謝らなくていいから、皆が見るからほんとにやめろ」
「あれー? あんだけ大口叩いてたのに、弱いものいじめか? 涼子」とロサ。
「大口?」
「俺様たちの失態を見たぞ、ってな」
「いじめてるわけでもないよな」
「け、ケシー、しくしく」
きららは大粒の涙を落とした。
「ほら、いじめてんだろ?」
「きららちゃん、後でケシーに会わせてあげるから、泣くな。しばらくの間ここに軟禁されてるんだから、甘いものでも食べよう」
「ありがとうございます」
きららは顔をあげた。
「いじめてないからな!」
そう宣言した涼子はきららとスイーツビュッフェの方へ向かった。ティラミスやチーズケーキなどを紙の皿に少しずつとった。その味は稀に見る極上なものだった。
「連絡先交換しようぜ」
「あ、はい」
きららはケータイをポケットから出した。そして涼子と連絡先を交換した。
「そういや、アンテナたってるな」
「そういえばそうですね」
「川田さんに電話しておこうかな」
「誰ですか?」
「警察の危ない吸血鬼を取り締まっている人だ」
「へえ、そんな人と仲いいんですね」
「仲は良いとは言えないけどな……。じゃあ、電話してくるぞ。戻ってくるからな」
涼子は甲板に出る。ケータイともらった名刺をにらめっこして電話をかけた。
3コール目ででた。
『もしもし、あたしは岬浦涼子という者です。川田さんいらっしゃいますか?」
『川田は今現場に出ていて席を外しております、申し訳ないのですが、おかけ直しいただくか、こちらから折り返しお電話させていただきます』
『じゃあ伝言を」
『はい、どうぞ』
『…………岬浦涼子は吸血鬼ハンターの試験突破したので、危ない吸血鬼がいたら連絡ください』
『承りました。それでは川田にかけるように言っておきます』
『ありがとうございます』
涼子は深呼吸してから、船内に入っていった。このフェリーは前と後ろで空間が異なっていることに気がついた。前半分は広間のような広い空間で後ろ半分は休憩室などの設備がある空間だ。
「涼子さん。もし良ければ、警察の人に私も戦力になると伝えてください」
きららはメガネを持ち上げた。
「きららちゃんは勉強して安定した職についたほうがいいぞ」
「涼子さんもですよ、まだ高校生じゃないですか?」
「あたしは要領いいから大丈夫だ」
「いいですね」
無言の間が流れる。
「あ、あのさ、今度文化祭おいでよ? 9月31日が一般公開だぞ。私立ののの学園高等学校」
「はい、もちろん行きます。ケシーと回ってもいいですか? 吹奏楽部とか気になります」
「吹奏楽部の顧問が今行方不明なんだ。代わりの先生が来ているぜ」
「そうなんですか。どこに行ってしまったのでしょうか?」
きららの質問に涼子は本当のことを話しそうになった。
(本当は死んでいるんだ。清十郎を助けたあの日から時の手帳を使ってもわからないんだ)
「何やるんですか?」
「ドーナツ屋だ」
「絶対行きますね」
「待ってるぜ」
ブオオオオオ!
汽笛がなった、出港のようだ。
『ファーーン』
またバイオリンの音がなった。
『ただいま、受験生の5人が狸の月影の討伐に成功し、船に戻られました。そして先ほど残り4人の脱落者が出て、残りの受験者はいなくなりました。これより船を出港します』
船は少しの振動を起こして進み始めた。新しく9人の人がパーティーに入ってきた。
「なんで、殺された人の事がわかるんだろう?」
「このバッチに盗聴器と盗撮器とGPSでもついているのでしょう」
「そうか、バッチを奪い合うわけでもないからその線が濃厚だな」
「正解よ!」
「あ、あんたは」
涼子はおっかなびっくりしながら振り返る。
「あんたじゃなくてメデュー先生よ。メデュー先生とお呼び!」
メデュー先生はヘビの頭をしている。先ほども見たがケープで胸を隠し、サングラスをかけている。
「メデュー先生は人を1日、石化させる力を持っていて、自分を鏡で見てよく石化していると噂の先生ですよね?」
近くにいたアルトが説明する。
「よくご存知だわね。吸血鬼ハンターになられた諸君、まずは試験合格おめでとうと言っておくわ。18人の棄権者及び、脱落者、残念だったわね。そんなあなた達に朗報よ。再試験が行われるわ。この船にいる間にとある3人の人を見つける事、そしてそのヒントで船に隠されている腕輪を見つけてはめる、3人まで可能。それができたら再試験合格だわよ。とある人はこれから配る紙を見て頂戴。制限時間はリコヨーテの浜辺に着くまで。それではかくれんぼ開始!」
「かくれんぼの鬼となり、再試験を受ける方前へ、この紙をどうぞー」
アルバイトなのか、服に着られている協会の名前が書かれた制服の少女が紙を配る。
「金と銀の腕輪でライセンスカードが違うのはどういう事だ?」
「金色のカードには特典がついています。協会で修行の師範代を斡旋してもらえる事と、カードを売る場合のお金は銀色のカードの2倍です。それ以外はかわりません。立入禁止区域に入れたり、特別な情報を調べるのに使ったりですね」
「修行の師範代?」
「先生が担当につく権利をもらえます。なお、かくれんぼでもらえるカードは金色のカードですので、銀色カードの人も暇つぶし程度で探すのも良いでしょう」
少女は紙を配り終えると、上のデッキの方へ行ってしまった。
「え? リフレーン!?」
涼子は大声をだして注目をあびた。
かくれんぼの紙にリフレーンの名前と写真が記されていた。
上から順に、フネニ、ノール、リフレーン。いずれも女性だ。そして全員、可愛い。




