表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/54

38 月影とサラス!

大男達は、チェロの斧とコントラバスの大剣を手にしている。

距離はかなり狭まっている。

トカゲの月影は2人の大男に追突してきた。

2人は斧と大剣で飛ばされないように受け流す。

ガウ!

2人の真ん中を通っていく。

大剣の持った大男は軽く大剣を振り上げ、トカゲの月影の尻尾を切り落とした。

ガアアア!

トカゲの月影は先程より獰猛になり、チェロの斧を持っている大男を狙う。切られた尻尾が動き、斧を持っていた大男の斧を弾き飛ばした。

噛みつかれる、と思ったが、大剣を持った男がトカゲの口に大剣を挟ませた。

すぐさま、ベロで押し返されたが、トカゲの月影には大きな傷になった。


「うわああ」


大剣を持った大男は木に叩きつけられて、意識を失った。


「危ないわ、援護しましょう」

「あたいも行く!」

「俺様も!」

「皆行くのか? あたしはあの子とピアノを弾いてるぞ?」

「大丈夫。お前の方にはこさせないから安心しろ」


ローカ達は駆け出していった。


「あんた、連弾できるのか?」


涼子は黒髪のおさげ髪の女の子に声をかける。


「岬浦……涼子さん?」

「どうして名前を知ってるんだ?」

「新聞にのっていたからです」

「あんたの名前は?」

愛川(あいかわ)きららです」

「あんた、ケシーの? 保護者の!?」

「ケシーを知っているんですか?」

「中学生の女の子って聞いたけど、高校生なのか?」

「これは吸血鬼に殺された姉のセーラー服です」

「そうか。で、できるの? できないの?」

「連弾はできます」

「ウォレット・ストリングス」


涼子の呪文でグランドピアノが現れた。

きららの椅子はもともと座っていた椅子を高めにした。2人は並んで座った。


「英雄ボロネーズだぞ」

「わかっています」


涼子は目配せをし、曲をスタートさせた。

涼子は指に全神経を集中させる。弾き終わりそうだと、前を向くとローカ達はすっかりトカゲの月影を討伐していた。

トカゲの月影の血液や肉片が、金貨、銀貨、銅貨、装飾品、宝石、貴金属などに変わっていった。そのうちに丸太に似た宝箱がピアノにぶつかった。


「これが、言っていた宝箱か」

「イットウ! ニトウ!」


きららは大男達に寄り添っていく。

2人は生きているようで、深く呼吸をしている。


「半月じゃないのによくやったな」

「助けてくださりありがとうございます。あの、私達3人で組んでいたんです、もしよければ2人に宝を」

「おばさん、抜けるか?」

「いいの? 抜けるわよ?」

「もう1人は?」

「アルトはテレパスを送るし、ローカは受験者でもないし、あたしもサラスを止めないと、ミャウカかロサは?」

「ミャウカ、いいぞ。抜けろ」

「でも兄ちゃんは?」

「俺様は、サラスの野郎に敵をうつために残るよ。まあ、この大男を殺ってもいいんだがな」

「あんた、そんな事したらビレッド様にチクるぜ?」

「父ちゃんの名前を出すな、クソガキ」

「あんた、あたしより下でしょ?」

「まあまあ。じゃあ、僕、アルトと涼子さんとロサ様とさくらさん、そして受験者ではないローカさんとで戦いましょう」

「とりあえず、信号弾を打ちます……えい!」


きららは銃口を上に向けた。

パン!


赤い信号弾だった。

涼子は首を傾げた。

(1人1人、違う色の信号弾なのか?)


「さくらさんからまたテレパシーです。リスの月影、かなり苦戦しているみたいです。サラス軍、残り8人です」

「サラスを殺して横取りしよう」

「ロサ君! サラスは屈強の相手だ、簡単に倒せると思うな」


涼子は宝箱を持ち上げる。なかなか重量がある。

ミャウカは中身をいち早く開けた。


「ふうん、大して豪華じゃないんだね」


ミャウカの言葉に、皆が宝箱の中身を固唾をのんで見守った。


「え? 可愛いぞ」


青くて、貝殻が割られて入っている腕輪だった。金箔の腕輪が3個と銀箔の腕輪が2個とそれぞれついている。


「さくらさん、そろそろ正体がバレそうでヤバいです」

「助けに行かなきゃ」

「じゃあここでお別れだわね」

「幸運を祈ります」


きららが手を振る。

涼子達は別れたはずだった。

しばらく、森の中を進んでいる時だった。


「きゃ」


涼子の腕に何かが乗った。ピンク色と白色のハムスターだった。


「ごみゃーん、あたいもやっぱり兄ちゃんと一緒に出る!」


言葉とともに風が吹いて、ミャウカに変わった。


「な!?」

「だって、あたい、ロサ兄ちゃん、涼子、さくら、アルトでちょうど5人だもん!」

「そりゃ、そうだけど」


『ファーーン』


森の至る所から音声が流れる。


『ただいま、受験者4人がトカゲの月影の討伐に成功し、船に戻られました。残り31人、残りの月影は3体となりました。ちなみに吸血鬼ハンター試験の棄権も認められています! それでは吸血鬼ハンター協会からでした』

「棄権か、半月以外にはいいかも」


ローカは唇を噛みしめる。


「攻撃を受けた普通の人には便利な制度だな」

「さくらとサラスは今どこにいるんだ?」


ロサがアルトを睨む。


「そんな怖い目で見ないでくださいよ。今どこですか。……はい、わかりました。……リスの月影が逃げて、東のこちら側に向かってます。サラスによって死者が出ました。志願者2名です」

「鉢合わせしないように、さくらだけ北に来いって連絡しておいてくれ」

「了解しました」


北は竹藪のゾーンだ。

5人は険しい道を少しずつ登っていった。そこは丘のようにになっていた。


「ワン!」


柴犬が走ってきた。


「さくら」


涼子はなでなでする。

さくらは嬉しそうに尻尾を振っている。

風が吹いてさくらの姿が人に変わった。


「……サラスは怪奇的殺人者です。分身達はBGではありませんでした」

「オマエ、ヤハリ、スパイカ?」


涼子達は瞬く間に、サラスの軍団に囲まれてしまった。

さくらはまんまとサラスの手中に落ちたようだ。


「わざと泳がせたんですね」とアルト。


「ヤハリとは?」

「コノニオイ。スミ」

「あたしたちをどうするつもりだ」

「キュウケツキ、ナカマ。フツウノニンゲン、エサ。イマ、ゲツカゲ、オウテル。オレ、ヒトリノコス。コロセルノナラ、コロシテミロ」

「1戦交えたいのか?」

「ココ、キケン。ツイテコイ」


サラスの1人が前に出てきて、涼子達に近づく。


「あんたも分身?」

「ソウダ」

「ナメられてるな」

「本体はどこにいるの?」

「タオシタラ、オシエル」


サラスが言うと、皆黙々と後をついて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ