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33 涼子の粗相!

赤石は愛想笑いをしている。


「それでは、また」

「危ないですよ。吸血鬼なんですよ、赤石さん」

「おいで、ケシー」

「へ? ボクに何するつもりですか!」

「抱きしめるんだよ。いいよな?」

「涼子さん酔ってるんですか? ああ、ちょっ!」


ケシーは涼子に抱きすくめられた。


「これ以上は駄目です」

「なんで?」

「ボクには刺激が強くて!」


ケシーは酔っ払っている涼子を吸血したくて堪らなかった。理性が吹き飛ばないように、唇を噛みしめる。


「なんでぶどうジュースで酔っ払うんですか?」


ケシーは油断して力を抜いた涼子の、テーブルに置いてある飲み残しの匂いを嗅ぐ。


「ああ、アルコール度、高めだ」

「逃げるな。ケシー!」


相当酔っ払っている涼子はケシーを部屋の隅に追い詰める。


「ク! ウォレスト」


チリン!

ケシーはソプラノサックスの長さを利用し、呼び鈴を押した。


「はいはーい、どうかいたしました?」


たなたんはノックと同時に入ってくる。


「涼子さんの介抱を頼みますー」

「お嬢様、あ、これは私が先程まで飲んでいたチューハイ! 間違って持っていってしまったんですね」

「勤務中に酒飲まないでくださいよ! 未成年じゃないんですか?」

「私、20歳なので。お嬢様、しっかりなさってください」


たなたんは涼子を揺さぶる。


「うーん、あたしのケシー。気付け薬をあたしにください」

「だめだこりゃ。赤石さーん、お水持ってきてください」


たなたんは大声で頼む。


「いいからブッチューしようぜ、ケシー、それからベッドでチョメチョメチョメってか? げへへ」

「なんかキャバクラに来てるエロ親父みたいになってますね」

「たなたんが何故そんな事を、……あ、赤石さん、お水ありがとうございます」


ケシーはうなだれてると、赤石がやってきて、水を飲ませようと涼子に近づく。


「酔っ払いすぎです。飲んでください、私が間違えて棚田詩聖の飲んでいたチューハイを持ってきてしまったとは何たる不覚」

「やだー、ケシー、お口で飲ませて」


涼子は駄々っ子のように首を降る。


「ええ? ボクが? しょうがない」

「いいの?」

「……何歳なんですか!? ちゃんと飲みなさい!」


ケシーは怒声をあげる。


「はい、飲みます」


涼子は素直に水を飲んだ。そしてベッドに倒れるように眠った。




起きたのは深夜1時だった。


「あれ? 痛たた」


涼子は頭を押さえて目を覚ました。

いつもの自分の部屋にいる。

起きたら呼び鈴鳴らしてくださいという短文がベッドサイドライトのところに挟んであった。

チリン。

涼子が呼び鈴を鳴らすと、ヘアをノックして、赤石が入ってきた。


「お嬢様、酔いは覚めましたか?」

「よく覚えてないが、覚めてるぞ」

「お食事はいかがなさいますか?」

「お腹空いたな」

「ダイニングまで来られますか?」

「おう」

「作り直すので、15分ほどお待ちください」

「できたてでなくともいいぜ?」

「一度冷えたものは出せません。執事の恥ですよ。少々お待ちください」


赤石はそれだけ言うと、さっさといなくなってしまった。

涼子は伸びをする。

部屋を出ると視線を感じた。

ケシーが隣の部屋で半身だけ覗いてこちらを見ている。


「あ! け」


ケシーと呼ぼうとするとガチャンとドアを閉められて、カチャという音がして鍵もかけられた。


「おーい、あたし、何したんだ?」

「……」

「おーい、ケシー」


涼子はケシーに無視されて少し傷つく。

「まあいいや、使用人にそれとなく聞いてみよう」と言ってダイニングに向かった。


「お嬢様! 先程は私のミスでぶどうのチューハイを、すみませんでした」


たなたんは深く頭を下げた。


「いや、大丈夫だぞ。それより、あたし、ケシーになにかしたのか?」

「キスを迫ってましたよ。抱こうともしてました」

「こら、棚田、そういう事は言わない約束だったでしょう。お嬢様、私めという者でありながら大変なミスをしてしまい、大変申し訳ありませんでした」


赤石の声がキッチンの方から聞こえてくる。そして卵を焼いているようだ。


「赤石、あたしは気にしないよ。それにしてもいい匂いだな」

「後10分ほどお待ちを!」


ジャッジャと中華鍋を振るう音もする。


「ケシー、許してくれるかなぁ」

「お嬢様は考えすぎです。そのうち仲直りできますよ。賭けてもいいですよ?」

「賭けないけど。なにか飲み物持ってきてくれ、あー、酒以外な」

「承知しました!」


たなたんはすぐにジャスミンティーをいれてくれた。



「サンキュな」

「とんでもございません」


たなたんが笑っていった10分後、赤石がやってきた。


「おまたせいたしました。オムライスです」


とろふわな卵で包まれた温かいオムライスだった。

涼子はスプーンで一口食べる。


「美味し!」


卵とチキンライスの奏でるハーモニーがやみつきになるほどだった。

時間も忘れて食べ進めた。


「ご馳走様でした」


綺麗に食べ終わり、口をペーパータオルで拭く。その後、入浴をして、歯を磨いて、再び眠った。

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