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31 ローカ捕獲、そしてフェルニカへ!

「真っ直ぐです」


2人は隣り合って歩く。


「後100メートル先にいます。こっちに来てます、隠れましょう」


ケシーは路地裏、涼子はゴミ捨て場の後ろに隠れた。


「涼子、ケシー。お前ら、そこにいるんだろ」


ローカの声が不意に聞こえた。


「きも、なんで分かるの?」


涼子はローカの姿を確認する。


「……なんでだろうな?」

「何があったのか教えろよ」

「それは……」

「ルシュヘルがBGだったんだろ?」

「え!?」

「それ以外で逃げる道理なさそうだけど?」

「実はそうなんだ。でも、彼は良いやつなんだ」

「どういうことだ?」


涼子が首を傾げると、反対側から見知った声が聞こえてくる。


「涼子!」

「涼子ちゃん」


2人はローカの手足を捕まえる。


「願い石、俺を街の中央に移動させてくれ」

「!?」


皆が驚いていると、ローカの口の中から金色の光が漏れた。


ローカの足元に魔法陣が書かれて、ローカがいなくなった。


「取り逃がしたのか? ……ルシュヘルが良いやつでなんでローカが逃げるんだ?」

「パース! 涼子ちゃん、これを」


太陽が出したのは金色の願い石だった。五百円玉くらいの大きさだった。


「これ、大切なものじゃないのか?」

「いいよ、私が持ってても仕方ないから」

「ありがとう、太陽さん。皆はどうする?」

「日本にゆっくり帰るよ、ケシー君と一緒に」


勇が頷くとケシーもグッドマークを両手で作る。


「願い石、ローカの所に連れて行って」


涼子は願い石に口付ける。

世界が足元から見えなくなっていく。

光が瞬いた。

ローカは膜の中にいた。

涼子も膜の中へ入っていた。

ローカは大変驚いた様子で涼子を見た。


「ローカ、逃げるな、あたしも負うから」

「突然行方不明になってすまん。これからルシュヘルおじさんの所に行く。彼は確かにBGで盗賊団なんだが良い人なんだ」

「ふうん。ここは日本の公園だな?」

「そうだ、1回出てくれ」


ローカの言うことに涼子は素直に従う。土管から出た。


「マイファニーバレンタイン、知ってるか? リチャード・ロジャーズとロレンツ・ハートにより作詞、作曲された、ショー・チューンだよ。またはジャズ・スタンダードの楽曲」

「あたしはジャズもいけるぞ」

「フェルニカに行く。リコヨーテの敵対している国だ。ルシュヘルおじさんはそこにいる」

「そんな事して捕まったらどうするんだ?」

「そうなんだ、だから1人で会いに行こうと思って。とりあえず時の手帳を見てくれ、ニーベルング」


ローカはペンをポケットから取り出して、涼子に時の手帳と一緒に投げ渡す。


「ルシュヘルの名前は?」

「ルシュヘル・スターリングシルバー。20日前で良い」

「20日前の時刻に設定するか」


涼子は上に習って、名前と時間を書き出した。世界が青い火に包まれて、気を失った。


(ここは?)

目を覚ますと、黒い雲の所に隠れながら空を翔んでいるルシュヘルらしき龍の中に自分がいた。


山が燃えていれば、口から水をはいて消火した。


「ルシュヘルさん、水をください」


そう叫ぶ人がいれば水をまいた。

そして、とある村に降りていった。人間化する。


「ルシュヘルさん。この子もうだめだ、死んでしもうた」


そういうおじさんがいて、ルシュヘルは儚げな顔をする。行倒れている彼は死んだように見えたが、一縷の望みは捨てなかった。


「血をもらってもいいですか」

「ええ、どうぞ。何処かに埋めといてください。わしの子じゃないので」


彼は三輪車を片手にその場から去っていった。

ルシュヘルは少年の首に噛みつく。


「うわああ、吸血鬼!」


少年は起き上がると後退った。

驚くことに生きていたのだ。

ルシュヘルは有り余る生命力を与えることができたようだった。


「君は俺の眷属だ、吾輩の言うことを聞き届けよ」

「はい! おろ? 口が勝手に……」


アルトの格好は冒険者のようだ。金色の髪と青い瞳だ。


「多血病の人を見つけろ、見つけたらテレパシーで知らせるんだ」

「テレパシー?」


そういう少年に、ルシュヘルはキスをした。


「声が聞こえてくる?」

「わかったら、吾輩に向かって送れよ。名は何という?」

『アルトと申します。何か食べるものはありませんか?』

「パース」


ルシュヘルはサンドイッチを箱から出した。アルトに手渡した。


「吾輩はルシュヘル。アルトは何故行倒れていたんだ?」

「僕はBGを倒すために月影を狩りながらフェルニカへ海をわたってきたんですけど、食料が尽きてしまい、フェルニカは仲間にしか食料を売らないというしきたりがあるようで」


アルトはぱくつきながら早口で言った。


「テイアをウロウロしていたんだな。ここではフェルニカ兵を装え。正直者は損をする」

「リコヨーテの方も行きました。フェルニカはもうたくさんです。もうクライスタルに帰りたい」


アルトは弱音を吐く。


「水龍である吾輩が送り届けてやる」

「なんでそんなに優しいんですか?」

「言っておくが、いつも優しいわけじゃないからな」


ルシュヘルは月影の龍の姿に変わる。

アルトは首の後ろをジロジロ見た様子を見せる。


「BG4……、こんな優しいBGもいるんですね」

「いいから角に掴まれ」

「はい」




世界は反転する。


「涼子? 大丈夫か?」

「アルトってこんな子だったんだ。……ルシュヘルは確かに、悪いBGじゃないみたいね」

「でも涼子には会わせたくない。俺の眷属だと分かったら、下手すると、命までとられるかもしれん」

「それならそうと言ってくれればいいんに」


涼子の答えにローカは一瞬止まって、やはり涼子をチラ見する。


「また何か、悪巧みか?」

「違う、BGだから涼子がなにか仕掛けないか心配なんだ。逆上したらとんでもないことになる」

「それでフェルニカ行くのか?」

「行く。涼子はどうする?」

「あたしもついてくぜ」

「しょうがないな。対話するだけだからな? 攻撃するなよ?」

「分かったぜ」

「ウォレスト」

「ウォレット・ストリングス」



音は空高く飛んでいく。楽しくて、綺麗だった。

涼子達は黄色い渦巻きに飛び込んだ。そして、林に落ちた。


「いってえ」

「涼子、大丈夫か?」

「まあな」

「そうだ、リコヨーテに通ずる物しまえ」


ローカはネクタイを外す。

それを見た涼子は指輪を外した。


「ここは、フェルニカなのか?」

「パース」

「願い石を使う気か?」

「うん、ここじゃあ、捕まえてくれって言ってるようなもんだ」

「吸血鬼に使うんじゃなかったんだな?」

「分かった、そうするか」


ローカはコンパスを出した。西の方へ、歩行する。


「待って、何か聞こえる」


ワアアアア

カキーーン! キン!

ギャアアア


2人は南西の方へ慎重に進むと、戦っている人々の姿があった。

服装は粗末な物を着ている人と、しっかりとした服装な人で分かれて戦っている。

木でできた家が燃えている。


「奴隷の逆襲だ」


ローカは望遠鏡を観て言った。


「どうする?」

「そりゃ、静観よ」

「あ、あれは?」


涼子の語尾も聞かずにローカは駆け出していった。


「ルシュヘルおじさん!」


叫ばれた方は水をはいて炎を一掃していた。

その作業が終わると、ローカの近くに舞い降りた。


「おう、ローカ? 大きくなったな」

「俺のこと覚えてたんですね。俺のせいで城へ行くのが出禁になったのに。話してくれるんですね」


「ローカ、何を言ってるんだ?」と追いかけてきた涼子。


「積もる話は後にして、民をなだめないといかん」


ルシュヘルはそう言うと、ローカを眺める。

ローカは頷いた。


「皆のもの、沈まれ! 水龍のお出ましだ! 神の使いだ! 崇めよ!」


ローカは大きな声を出した。

皆がビクッとする。


「水龍? 神様!?」

「全員武器を捨てろ。捨てないものは水龍の血肉となるぞ!」

「「「ははあ! 水龍様!」」」


多くの者が頭を下げる中、何人かの奴隷は逃げていった。


「追うな! 向こうには毒の沼地がある。後で回収すれば良い」

「水龍様は何の思し召しでしょう?」

「ここを偶然往来したのだ。残った奴隷は奴隷の階級を上げて平民にしろ。逃げた者は再び奴隷として使え」

「しかし、食料がありませぬ。米や麦が今年は不作でして」

「降雨がないのであろう。しばらく1年、1時間ほど、ここを通るたびに吾輩が水をまく」

「ありがとうございます」

「さあ、逃げた奴隷を連れてこい」

「はい!」

「ローカ、ルシュヘルに何をしたの?」

「昔、ババアを階段から突き落とした罪をルシュヘルおじさんになすりつけたんだ。ルシュヘルおじさんは城を出禁になったんだ」

「あんたよく生きてこれたな! ローカ」


涼子は無遠慮に言った。


「ごめんなさい、おじさん」

「大丈夫さ。ローカ、大きくなったな」


ルシュヘルはローカを抱きしめる。身長差はないように見える。


「帰ろう、日本に」

「うん」

「フェルニカの大樹分かってるか? ここからそう遠くないが、見張りがいる。吾輩が連れて行くのはそこまで。見張りは賄賂でも渡せば良い」

「俺、渡せるもの持ってないよ」

「パース、ほら。この宝玉でも渡しな」


ルシュヘルは片手でぎりぎり持てる大きさの宝玉を2つよこした。色は透明だ。


「パース。ありがとうございます」

「よし、それじゃあ行こう」


ルシュヘルは風を吹かせて大きな龍になった。


「失礼するぞ」

「乗ります」


ローカと涼子は水龍の背中に乗った。


「よくルシュヘルがここを通るって分かったな?」

「そりゃ、時の手帳で見たからね」


ローカは自慢げに笑った。


「BGだけど、良いやつなんだな」

「おじさんはいつからBGになったんだろう?」

「あたしに聞かれても?」

「俺さ、お前が居ない間に神通力が使えるようになったよ」

「嘘つくんだったらもっとマシな嘘つけよ」

「いや本当なんだって」


2人で話してるうちに、目的地までついた。

目の前に民族衣装を着た中年の男性達がソプラノサックスの槍を片手に寄ってきた。


「クロスカ様の通行証を見せろ」

「パース。これで通らせてもらう」


2つの宝玉は彼らにわたった。そして、地面に思い切り叩きつけだした。


「おい、何を!」

「涼子、彼らは本物か確認してるんだ」

「本物?」

「テイアの奥深くで採れる宝玉は絶対に割れないんだ」


ローカの言っている間に憎たらし気に蹴られる宝玉。

時間にして10分。


「「はーはー、どうぞお通りください」」


中年の男性は汗をかいて、大樹まで連れ沿ってくれた。。


「ありがと」

「マイファニーバレンタインだよ?」

「分かってるって、ウォレット・ストリングス」

「ウォレスト」


涼子達は曲を奏で始める。



涼子は集中できず、音と音のタイミングがずれる。


「涼子、先走ってる。落ち着いて」

「う、うん」


なんとか、曲が終わった。

いつもと周りが違う。


「やらかしたな。久々だよ」

「ここどこだ?」


涼子達は黄緑色の膜から出る。何処かわからないが山奥に出てきた。サワサワと木が揺れていた。


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