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29 ローカの行方!

「美味しいです」


飲み込むのさえもったいなかった。


「「「ご馳走様でした」」」


全員はすべてを食べ終わった。


「今後の相談をしようか? あの時居たミャウカちゃんとロサ君はBGなんだけど、襲撃の時は操られてるらしいんだ」


「そうなのか? てっきり血の気の多い奴だとばかり……」とローカは語尾をぼかす。


「ところで、ローカさんってロサ君とミャウカちゃんを見るのが久しぶりなんですか?」

「俺が会ったのは赤ん坊の時だ。本当のことを言うと、この前、リコヨーテに来た時もすぐに書庫で使いの者に調べものさせてさっさと帰ったんだ。ババアに見咎められたついでに折りたたみ傘、綺麗に畳んでもらったんだけど」

「どうして? あんなに優しそうなお父さんなのに?」

「ああ、実はネニュファールとローリの子供がビレッド、そして女王ガウカとローリの子供がルシュヘルという黒髪の男性の兵士だった。あの城のババアはその2人の子供たちに手を出している。しかもそれは暗黙の了解としている。あの城の者はおかしいんだ。だからいかにジジイが優しくとも、帰りたくない」

「ルシュヘルか、今も兵士なのか?」

「消息不明だ。恐らく死んでいる」

「時の手帳で見てみればいいだろ?」

「生きていたら、恨まれてそう」

「なんで悲観的になんだよ。そんなのわからねえだろ?」

「じゃあ、俺の代わりに見てくれるか?」

「いいぜ。その代わり生きていたら挨拶に行くから」

「それはヤダ」

「だめ! 血飲ませてあげないぞ?」

「うーーーん、はあ、分かった、生きてたら挨拶に行くよ」

「今日はもう2回使ったよな」

「明日のお楽しみですね」

「おかしいな、ルコ様はボノボの半月のはずだけど、それにローリとネニュファールがまぐわってできた子ならフェレットか、ミミズクの遺伝子を継ぐはず」


太陽は首を傾げる。


「いい質問だな、ネニュファールの子供と言ったが、ハムスターの半月に卵子提供されて体外受精で生まれたのがビレッド、つまり俺のジジイなんだ」

「ほえー」

「そろそろ帰ろうか?」

「呼んだ?」

「呼んでない」

「それじゃあ行きましょうか」

「私は日本には帰らないが、何か会ったら電話してくれよ」


太陽と涼子は連絡先を交換した。そして立ち上がる。


「私はしばらくまだここにいるから、お代は私が払っておくよ」

「いいんですか? ありがとうございます」

「「ありがとうございます」」

「正幸さんお暇します! ご馳走様でした」

「「ご馳走様でした」」


太陽以外の全員は店を出る。


「俺ん家でホラー見ようか?」

「いいぜ」

「ボクはちょっと」

「じゃあ怖くないやつにしようぜ?」

「しょうがないな、適当にDVD借りようか」

「オッケー!」


そして、全員は街の中心にたどり着くと、その青い膜に平然と入っていった。

バチバチバチ。


「ウォレット・ストリングス」


涼子はグランドピアノを出した。

ジムノペディ。

ゆったりした時が流れる。

精神的に安心する曲だ。

涼子は最後の音を弾くと周りの景色はすでに青い半透明だ。すでに出ていった2人のように土管から這出る。

世界が輝いて見えた。


「涼子、置いてくよ」


2人は公園の出入り口にある防護柵に寄りかかっている。


「まあまあ、待てって。金持ってるのか?」

「なーい」

「ボクもないです」

「ったく、人任せだな」


涼子はポケットから財布を出した。


「ルーイ・ブトンの財布じゃないですか。かっこいいですね」

「ありがと」

「猫に小判だな」

「あんた、あたしに喧嘩売ってるのか?」

「まあまあ、逆にローカさんの方がハイブランド知らなそうですよね」

「ケシー。いいことを教えてやろう。中国、フランス、東南アジア。……なんだか分かる? カエルを食う地域だよ。音楽魔法使いの薬を作る研究でも使われているかもしれない」

「涼子さん。ローカさんがいじめてきます」

「ケシー、よしよし。ローカ、冗談でもやめろ!」

「俺のこと、よく馬鹿にできたものだな」

「あんたさ、自分が最低なこと言ったって分かってんのか? おい」

「うっせうっせ、もう今日は帰る、カエルだけにな」

「つまんない上に謝らないなんて」


そういう涼子をローカはチラ見すると、走って何処かに行ってしまった。


「何だアイツ」

「ボクのせいで、すみません」

「いやいや、ケシーのせいではない。ホテルに帰ろうぜ。アイツ、そのうち頭冷やして謝ってくるぞ」

「そうだといいのですが」

「DVD借りてホテルで見ようぜ」


そうして、涼子とケシーはDVDレンタル店に歩いていき、ヒューマンドラマとパニック映画の2本を借りて帰った。

DVDは当たりだった。普通に面白くて感動したり、ドキドキしたりした。

この日は不規則な体内時計を治すべく、早寝早起きを心がけた。



そして、次の日の月曜日。

涼子は早起きすると、ピアノを弾き出した。


「お嬢様のピアノ、素敵ですー!」


ノックもそこそこにたなたんが部屋に入ってきた。


「ありがと」

「お食事はパンですか? ご飯ですか?」

「パンで頼む」


涼子が言うと、たなたんは迅速に部屋を出ていく。


「ケシーおはよう」


涼子はベッドに添い寝していたケシーを起こす。


「うーん、まだ夜ですよぉ」

「んなことあるか! 起きろよー」

「いひゃー」


ケシーの頬はつねられて少し赤くなった。


「しくしく、ボク……学生じゃないのに」

「あんたは鼻がきくから、あたしと一緒に行動するんだよ」

「おやすみなさい」

「待てよ、このまま昼まで寝て夜までご飯抜きと、今起きて3食食べられるの、どっちがいいんだ?」

「今起きます。ふああ」


ケシーは名残惜しそうに布団から出て、あくびをしながら、棒立ちしている。


「パン? ライス?」

「パンでお願いします」


チリン!

涼子は呼び鈴を鳴らす。


「はい、何でしょう?」


ノックもせずにたなたんが入室する。


「ケシーもパンだってよ」

「了解しました。ところでいつの間にそこにいらしたのですか?」

「細かいことはなしだ! ケシーのことは詮索するな」

「はっ、はい!」


たなたんは慌てて出ていった。

2人は食事を食べて、身支度をする。


「ありがと」


涼子はお弁当を受け取った。そして、夏休み前で浮かれている生徒たちの集まる学校に向かった。

ケシーはカエル姿で学生カバンの上で濡れたハンカチに包まり休んでいる。


「ケシー、また寝たのか……まったくもう」

「岬浦! 見たぞ、お前の活躍」


龍海の笑顔は温かみを感じさせる。


「へ?」

「新聞にのってたんだ、ニュースにもなっている。星野輪もすごいんな」

「マジ?」


教室の入ると気づかぬうちに涼子とローカは話題をさらっていた。


「涼子達、あの屋敷でBGを倒したんでしょ? すごーい」

「それはある意味そうだけど、犯人は自決したんだぞ。後は消えていったわけだが。ローカは? まだ来てないのか?」

「まだ来てないね」

「もうチャイムなるぞ?」


キンコンカンコーン


チャイムは時間通りになった。

涼子はローカの席を見る。

(珍しい、欠席か?)


「星野輪はまだ来てないのか? 無断欠席だな」


無慈悲に刺さる担任の声がした。

涼子は驚きが隠せなかった。

(無断欠席?)


「水曜日から夏休みに入るが、羽目を外さないように。水分もよくとって熱中症に気をつけること。以上、ノートを後ろからもってきなさい」


自主学ノートを渡して、先生がいなくなった。

涼子はローカに電話したが、繋がらない。


「寝坊か? サボりか?」


涼子はケータイをしまった。

(おかしい。新聞にのったせいで狙われてるのか)

どれも憶測の域を出なかったが、胸騒ぎがした。


「涼子、どうしたの?」

「勇、ローカが電話に出ないんだけどな? 昨日喧嘩したままだったから、わざと電話に出ないのかもしれんが」

「まだ寝てるんじゃない?」

「そうだといいんだけどな」


涼子は現代社会の授業の用意をする。


「帰り寄ってみるか」


涼子は学校が終わるまでの1日、必死で勉強した。

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