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27 手がかり!

 涼子は緑色に変わった膜から出ると、そこは公園だった。

(前に帰る時に使った大樹のある、公園だ)


「出てこれる場所って、弾く場所によって変わるのか?」

「そりゃ変わるよ。木の渦巻きに飛び込む時は海の見えるリコヨーテ、膜から膜へ移動した時はこの城の近くの公園。テイアに行くときも変わってるよ。それより彗星証をつけて」


 ローカはポケットから彗星証を出す。

 皆が彗星証をつけた。


「ふうん」

「城に行って、ババアとジジイに涼子を紹介したい」

「そ、そんなの今更だっ。う、嬉しくなんかねえし!」


 涼子は慌てて、右手の甲を口に当ててうつむく。


「わかりやすいな! はっはっは」


 ローカはびっくりして、笑う。


「あたしのことバカにしてるのか?」

「むしろ微笑ましいよ」

「油売ってないで城に行きましょう!」


 ケシーは一喝すると歩き出した。


「ここは湖?」


 城を囲い湖があった。

 城は大きな和風の城に見える。


「そのうち半月が来る」


 ローカの言うことは的中する。

 白とピンク色の月影のミミズクが羽根を広げてやってきた。そして銀色に光り、メイド服を来た美しい女性の姿の変わった。

 鴇色の目と髪をしていて銀貨にフリルのついた髪留めで斜めに縛っている。カチューシャも忘れていない。


「わたくしはメイド長のネニュファールと申しますわ」

「厄介のが来たな」

「ローカ様、彼らは一体何者ですか? ここへは遊びに来てはなりませんし、不躾ですが、教養のないものはお通しできません。ここには権力を握るお方がいらっしゃるのですよ」


 ネニュファールは痩せている手を広げてジェスチャーをする。


「俺の友達、この人なら分かるだろ?」

「あ、あなた、太陽さんですの?」

「おう、今日は皇太子妃に会いに来た。なんて言うか、相変わらずだな」

「太陽さんの知り合いなのか?」

「すごく昔から知ってる。足繁くここには遊びに来るんだ」

「太陽さんのご友人ですのね。失礼しましたわ。それならどうぞお入りください。船人の召使を呼んで参ります」


 ネニュファールは小舟を2艘、召使とともによこした。

 涼子は怖がりながらも乗り移り、しばらく時が過ぎるのを待った。

 小舟は城の船着場までついた。

 階段を登っていると涼子にネニュファールが声をかけた。


「あなた、少し匂いますわね、入浴して行ってもらえますこと?」

「月影の攻撃でちょっとな」


 涼子は廊下でみんなと別れて、ネニュファールに連れられる。

 1階の角部屋に立派な浴室があった。そこら中に光る花が咲いている。


「お着物は洗濯しておきますわ。その間、お召し物をどうぞ」

「頼む」


 涼子は更衣室で服を脱ぐと、まずシャワーを浴びて身体を洗うことにした。お風呂に入ると、筋肉痛の腕を揉み込んだ。

(身体の痛みが取れていくようだ)

 お風呂からでて着替える。お召し物は巫女服だった。柑橘系の香水の匂いがした。下着は流石にいじられてはいないようだ。


「この匂いは?」

「消臭の香水ですわ、まだありましてよ?」


 ネニュファールは香水を差し出してきた。


「あたし香水はちょっと」

「そうですの?」

「おう。ところでドライヤーある?」


 涼子は洗面所につくと、ドライヤーを受け取った。そのまま、洗面所でドライヤーをかける。


「ミ〜〜〜〜?」


 ネニュファールの声はドライヤーの音にかき消された。

 涼子は髪を乾かすと、振り向いた。

 小さな女の子と大きな男の子が立っていた。


「あたい、ミャウカ。この子は兄ちゃんのロサ!」


 巫女の服を着ている少女が言った。白色と鴇色の髪をリボンで二つ結びにしている。

 涼子ははっとする。


「俺様達の顔になにかついてるか?」


 黒髪の癖っ毛でノッポのロサがそう言うと、ニヤニヤ笑っている。


「あんた達、ブラッティーギャングでしょ!」

「あんただって? 不敬罪だー、ママ! 不敬罪!」

「不敬罪だ!」

「何よ、うるさいわね、どうしたのよ?」


 藍色の髪をした、30代から40代くらいの女性が洗面所に入ってきた。

 高級そうな身なりからローカの母親というのが明白だった。年季の入ったシワが目の周りにある。


「ルコ様、不躾な態度をお許しください。罰はわたくしが甘んじて受け入れます」

「ローカのお母さんですか?」

「そうよ。名は何というのかしら?」

「ローカさんとお付き合いをしている岬浦涼子と申します」

「へえ、ローカティスも物好きね」

「どういう意味ですか?」

「あたしたちの子供に失礼な態度とるんじゃないわよ。ネニュファールに感謝しなさい」

「……実はBGの人達は首の後ろの辺りにマークがあるんです、ミャウカ様とロサ様の首見てもいいですか?」

「はぁ? だめに決まってるでしょ。失礼だわね」

「何故?」

「BGだろうが何だろうが、あたしの子に違いないんだから敵が増えたらどうするのよ?」

「BGだと認めるんですね?」

「何のことかわからないわ」


 問いただすも白を切るルコ。


「ママいいよ。ミャウカは団員番号2番、ロサは3番だよ」

「1番は? ルコ様?」

「あたしじゃないわよ」

「じゃあ誰だと言うんですか?」

「知らないわよ。ほら、あたしじゃないわよ」


 ルコは首の後ろを見せる。

 何も書いていない。


「本当ですね」

「パパにも会うでしょ? ミャウカ案内するよ!」


 ミャウカは小さい手で涼子の右手をとって引っ張っていく。


「父がBGですか?」

「わからない! BGのトップは明かされてないんだ」とロサは答えた。

「あんた達BGをやめてもらいたいんですけど!」

「無理だ、やめようとして殺された人がいるんだ」

「お姉ちゃんには関係ないでしょ?」

「私の家族を殺したの、あんたたちでしょう?」

「そうなの? 血を回収しに家を襲う時は操られているからわからないんだよね!」

「誰に?」

「それは言えない、というか、わからない」


 3人は広い部屋から広い部屋を移動する。


「ここ、パパの“ビレッド”の部屋」


 ドアにノックをする。

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