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24 屋敷からの脱出!

「とりあえず、全員回復させよう」

「ウォレット・ストリングス」

「「ウォレスト」」


ローカのアインザッツで”主よ人の望みの喜びよ“が始まった。

傷は、血液が生成されて治っていく。治っていった者は気絶した。

涼子は一人一人の首の後ろを見ていった。BGなのは千夏と亜紀と赤石だけだ。

(後の2人は欠番を待っているのだろうか?)

団員番号は千夏は6、赤石は7だった。


「願い石で危険人物から外そう。残りの4人も捕まえて」

「そうだな。よし、パース」


ローカはバスケットボールほどある大きな願い石を2つ取り出した。


「時雨赤石の吸血と月影化をしないようにしてくれ。芽川千夏の吸血中毒をなくしてくれ」


ローカは願い石2つに順序よくキスをした。

金色の光が赤石と千夏を包んだ。

花火のように光って消えた。


「それじゃあ、少し話そうか、夢野さん」

「……さよなら、千夏さん、ありがとう」


亜紀は果物ナイフを自らの首元に向けている。


「待つんだ!」


シャアアアア


血が洪水のように流出する。


「主よで治らない?」

「無理です、彼女は半月ではないです。獣臭さはありません」

「どうする? せっかく見つけたBGなのに」

「速く鍵を探して、病院に連れて行こうぜ、渋谷君電話宜しく」

「鍵は一体何処にあるのやら」


清十郎は救急車を呼ぶ。

全員が鍵を探す。

千夏は持っていない。

唯一持っていた赤石のキーケースを頼りにすることに決めた涼子達は急いで出口に行こうとしたがやみくもに行っても迷子になるだけだ。


「あっちこっち行ってもわからないぞ。そうだ、赤石をにんにくスプレーで起こそうぜ」


涼子は冷静に赤石ににんにくスプレーをかけた。


「とてもくっさいです。ゲホンゲホン!」


赤石は目を覚ました。


「夢野亜紀が自害したんだ、帰り道まで送っていってくれ」


涼子は赤石の自由を奪う縄を切る。


「亜紀ちゃんが? あ。私のキーケースは何処へ?」

「ここ。出口の鍵があるんだろ?」

「ええ、ええ。出口はこちらです」


赤石は奇異な表情で涼子を見ながら走る。


「あと、これからも岬浦家の執事でいいから」

「なっ、毒を盛るかもしれませんよ?」

「そう言って、盛らんだろう。赤石、今日のことは黙っておくから、頼むよ」

「BGなのに?」

「いいよ。BGの情報を教えてくれ。どうせ行くあてがないだろ? お父さんを殺したのはお前じゃないんだろ?」

「旦那様とメイドを殺したのは私の上司に当たる吸血鬼達です。私は入浴所にマークを書いただけです。ですから、私はまだ開放されてません」

「いつからBGに?」

「26歳の頃からです」

「2年前?」

「ええ」

「何故入ったんだ?」

「半月の彼女を吸血鬼ハンターに殺されたからです」

「もう狩り尽くしただろう、あんたも。もうやめておけ。そうだ、あたしと友達になろう」

「友達?」

「知ってるか? 友達は切磋琢磨してお互いを助け合うんだぞ?」

「そうですか」

「そうだよ。いつか、あんたの上司、一般人にするか、殺すかして、解放してやるからな」

「そんなことができますか?」

「できると思えばできる!」

「わかりました……着きました」


出口についた。

赤石にキーケースが渡ると錠前をいじってドアを開けた。


「ありがとう、赤石!」

「いえいえ、お嬢様(・・・)


救急車はすでに停まっていた。


「すみません。この人です」


ローカは亜紀をストレッチャーに乗せた。


「ローカ、あんた、よだれ出てるよ」

「血の匂いでな。はあーふうー」


ローカはベロを出している。

涼子はローカの腕を掴んで素早く移動する。

(血を飲みたいサインなのだろう)


「おいおい、積極的な女は嫌いじゃねえよ?」


2人は林の中へ入っていった。

涼子は、コンパクトナイフで手のひらを切った。手をグーにして血を垂らす。


「ん!」


涼子はローカに拳を差し出した。


「え?」

「ん!」

「い、いただきます」


ローカは下側に顔を持ってきて、ペロペロ舐めている。

5分位たった頃だろう。


「お嬢様ー?」

「まずったな、赤石が探しにきた。終了だ」

「ご馳走様」

「赤石、あたしはここだ」

「吸血していらしたのですか?」

「吸血と言うか、餌やりと言うか。赤石も飲むか?」

「お嬢様、そう簡単に血を出してはなりませんよ。私は輸血パックがございますので、お気を使わせていただき幸せに存じます。傷口を消毒しに戻りましょう」


赤石はまくしたてて、涼子の腕を引っ張っていった。

ローカも距離を置きつつ、ついて行った。


「ローカ、事情聴取終わったら渋谷君と帰れよ。ケシーは泊めるから」

「はあ? 男とホテルに泊まるのか?」

「意味深なこと言うなよ。あんたと違って、ケシーは変なことしない、純粋な男の子だからな。部屋も別で用意させるし」

「勝手にしろよ」


ローカは怒って、パトカーに乗って去っていった。

今日の事件のことはでかでかと報じられることになるだろうとカメラを持ったおじさんが語っていた。

結局のところ、夢野亜紀は助からなかった。自決したのは様子を見て明らかだったので、事情聴取はすぐに終わった。しかし驚いたことにいるはずの千夏達の姿がなかったようだ。血痕だけを残して何処かに行ってしまったらしい。

涼子が寝床についたのは5時すぎだった。そして7時に起きた。起きがけにコンコンとドアをノックした。

そのドアはは隣の部屋のドアだ。


「ケシー、失礼するぜ?」

「うーん、後10分…………あ、おはようございます」


ケシーは眠たそうに半目で返事をする。


「お腹は空いたかい?」

「空いたと言えば空きました。ですが、二度寝しそうです」

「そう言えば昨日言っていた、卵かけご飯作ってやろうと思って、あたしも空きっ腹でな!」


涼子は両開きのカーテンを最大に開いた。


「溶けてしまいます、まだ眠い」

「起きろ起きろ! あんた、ロングスリーパーって言ったけど惰眠貪ってるようにしか見えないぜ?」

「本当に寝ないとボクぶっ倒れますって」

「ほら、もう起きる時間だ。わかった、ご飯食べたら二度寝していいぞ」

「まじですか? 早く行きましょう!」


ケシーは毛布を蹴飛ばして起き上がった。


「現金なやつ」


涼子はケシーの部屋の呼び鈴を鳴らした。


たったった。


「おはようございます! お呼びですかぁ?」


たなたんが息をあげて部屋に入ってきた。


「これから、朝ご飯を食べるんだが」

「ええ? あ、はい、わかりました。すぐに板前に頼みます」

「いや、そのことだが、今日は卵かけご飯に挑戦しようと思って」

「そんな……、お嬢様って珍味なものがお好きなのですね! メモメモ!」


たなたんはメイド服から付箋のたくさん貼ってあるメモ帳を取り出して、書き綴る。


「いや、今日初のチャレンジだが。卵と皿に持ったご飯、調味料と箸だけでいいから、ダイニングまで頼む」

「そうですか、その考えには賛成ですが、栄養が偏るのでサラダもおつけします」

「そうだな、なんでもいいけど、卵はこちらで割るから」

「はーい! ダイニングまでどうぞ」


たなたんがいなくなると、涼子とケシーは洗面所で顔を洗い、歯を磨く。

ケシーの歯は少し犬歯がでているので涼子は凝視した。


「なんですか?」

「歯は自然とそうなったのか?」

「ボクの歯? 生まれつきです。半月の歯は大体の人がこうなのですよ」

「まあいい、行こう」


2人はダイニングでご飯を食べることにした。


「きゃーー!」


たなたんの叫び声が聞こえた。


「なんだ?」


灰色の何かが涼子のいる廊下に突っ走ってくる。


「ネズミ? よし、任せろ」


涼子はスリッパを持って、眼下まで待った。しかし、スリッパは叩かれることはなかった。


ポン!


その姿は風とともに変わったのだ。紛れもなくローカだった。


「ローカ?」

「あの呪いで薬の効力がなくなって、ハムスターに変身できるようになったんだ! ひゃっほー!」

「あんたさ、何しにきたの?」

「暇してたから」

「行こう、ケシー」

「何処行くのよ? 俺を置いて」

「ご飯を食べに行きます」


ケシーは急かしてくる涼子に続いてダイニングに向かう。

「俺の分は?」

「卵かけご飯で良かったかな?」

「やだよ! 違うものにして」


ダイニングに着くと真ん中の席に座った。


「おまたせしました、どうぞ! あら? いつの間に客人が? なにかおあがりになられますか?」


たなたんは卵かけご飯の用意をし終える。味噌汁とチョレギサラダも一緒だ。そして、驚きを隠せないように口元に手をやった。


「卵以外のものでなんでもいいから出してくれ」

「かしこまりました」


そしてでてきたものは、カツオのタタキとチョレギサラダと味噌汁だ。


「「「いただきます」」」


2人はコツコツと卵を割ってあつあつのご飯の上にのせる。醤油を垂らすと少ししょっぱい匂いがした。そして手早く混ぜて、口に運ぶ。

(美味しい)

涼子は少しずつもったいなさそうに食べる。気づけば残り一口になっていた。


「「「ご馳走様でした」」」


照らし合わせるかのごとく全員が食べ終わった。


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