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11 物怖じしない涼子!

次の日。

校門のところで友達と相対した涼子。


「おはよう」


涼子は紗奈に挨拶をした。


「……」

「おはよう?」

「……」


紗奈は返事もせず、走って教室まで行ってしまった。


「ああ! これは有名な、お前の席ねえから、的なやつか?」


涼子は主犯は菜由のことかと察した。


「おっと。おはよう、あ、……待ってくれー」


涼子は偶然出会い頭でぶつかりそうになった七靖に声をかけた。逃げられないように腕を掴んだ。


「離してよ。僕が裏切ったと思われるだろう?」

「誰に?」

「自分の胸に聞けよ」

「残念ながら聞けるほどの胸してないから。これなーんだ?」


涼子はローカに頼んで借りてきたものを見せた。


「いつの間に!? 返して!」


七靖の命の次に大事だろう、女子観察のメモ帳だった。

涼子は手を掴んで避ける。


「返すよ。その代わり、誰が裏で糸ひいてるのか教えろ」

「井上とその彼氏の倉橋(くらはし)、ちなみに君が休んでいるときに彼氏ができたらしい」

「ふうん、菜由と倉橋俊介(しゅんすけ)ね、はい、メモ帳」


涼子は身長がそう変わらない七靖の坊主頭にメモ帳をのせる。

俊介はあのグループチャットで発言していた、反吸血鬼の人間だ。


「僕から聞いたって言うなよ」

「そうだな、じゃあまたな」


涼子は教室に入る。皆から注目を浴びているのか、穴が空きそうなほど見られているのが分かった。


「おはよう、涼子」

「おはよう、ローカ」


涼子は自分の席につこうとして、止まった。

菜由と取り巻きにクスクスと笑われている。

眠っているのか目を閉じた緑色のカエルと小さなミミズが椅子の上と机の中に潜んでいた。


「うーん、タイミングがいいこった」


涼子はリュックの中からビニール袋2枚を出して、1枚を手袋代わりにしながら1匹ずつ袋に入れていく。

まだ時間は15分程早いので、涼子は校舎裏まで歩いていった。そしてミミズとカエルを逃がした。


「もう捕まらないでくれよ」

「涼子、どうしたんだ」


ローカは不思議に思ったのか、後を追ってきた。


「あんたさ、あたしの彼氏なんだから、机にいたずらされないように見ておけよ。あたし、あんたをかばったせいでいじめられてるんだよ。井上菜由と倉橋俊介と取り巻きに。……ふう、よし!」


涼子は呆れながら大きく深呼吸する。


「いじめ? ごめん気づかなくて。じゃあ、ぶっ飛ばせば良いんだな?」

「いや、証拠をとって、先公にチクるべ」

「あー、んね、その方が良い。さり気なくとっておこうか」

「あ、立ち話してる場合じゃないな、朝のショート始まるぞ!」


涼子とローカは急いで教室に戻った。

幸い、机と椅子は無事だった。リュックの中も漁られてない。おそらく、龍海のおかげだろう。

後ろにいる菜由と俊介に物凄い形相で睨まれているのが伝わってきた。

昼休み、涼子はローカと食べることにした。


『1人の時襲おうって言ってるよ、気をつけて!』


チャットに龍海から連絡があった。

カーン!


「いって!」


菜由は涼子の頭に空き缶を投げてきた。


「あ、ゴメン、投げる方向、間違えちゃった」

「ふうん、そう」

「涼子、どうする?」

「あたしは大丈夫だから」


涼子は首を振るう。

ローカは一連の犯行で録音している。

教室にいる反吸血鬼の人たちはつまらなそうだった。


「「ご馳走様でした」」


涼子とローカは手を合わせた。


「俺はトイレ行ってくる」

「あたしもトイレ行こう」


2人はトイレの前で分かれた。


「行けるかな?」

「チャンスだよ」


何か個室外で話している聞き覚えのある声がした。


「せーの!」


バシャーーーン!

水が、おおよそバケツ1杯分、降ってきた。

「あいつら」


涼子は怒りに駆られる。


「涼子、どうしたの? そんなずぶ濡れで。水浴びでもしたのか?」

「雨でもないのに、水が降ってきた」

「あ、それならいい方法がある。俺が箱を出すから、その中に入ってくれんか? 何処か空き教室探そう」


ローカは涼子に腕に触れ、引っ張る。


「そういえば箱って何? あたしがパースって言ってもでないけど」

「俺の指輪の追加機能だよ。生き物以外の物質は中に入ることができるんだ」

「兄からもらった指輪かー」

「家庭科室が空いてるようだよ。パース」


ローカは人が入れるほどの大きさの箱を出した。先にマットレスを引き出す。


「はいどうぞ!」

「怖いんだけど」

「俺を信じて!」

「うーん、わかった」


涼子は箱の中に突進した。視界がくらむ。

ヴァシーン!


涼子はすぐに外に出て、マットレスにダイブしていた。気がつくと制服についていた水気が綺麗さっぱり無くなっていた。


「すごいなー」

「まあ、俺に任せればこんなもんよ」


ローカは鼻の下を人差し指でこする。


「血もこんなふうに入れといたらいいのに」

「そんな血は不味いよ、とり出した瞬間、その分の時間が経つから」

「そろそろ戻ろう」

「そうだな」


涼子はローカと一緒に箱へとマットレスをしまった。そして、教室にたどり着いた。


「あれ? 普通じゃん?」

「やってやったって言わなかった?」

「嘘!? どうして水浸しじゃないの?」


菜由と俊介が騒いでいる。


「お前ら、ちょっと裏来いや」

「こら! ローカ! 無視するって言ったよな?」


涼子はローカの腰あたりを叩く。


「はあ? 無視してるのはこっちだし!」

「ゴメン、癪に触ったなら謝るぞ」


涼子はすぐに舎弟関係のように謝った。


「何こいつ! くそ!」

「女の子がくそなんて言っちゃだめだぞ? いつものぶりっ子が解けてるよ」

「ぶりっ子なんてしてないもん!」

「ははは」

「ふふ」


クスクスと教室中に笑いが起きる。

菜由の顔は赤かった。

キンコンカンコーン

予鈴が鳴った。

皆が席に着く。

涼子はまた睨んでいる菜由の目と目があった。軽く会釈する。

チィッ!

菜由は舌打ちしてきた。

俊介はドン引きしているように見える。

そして授業は終わると、そのまま6限まで椅子に座り、放課後になるまで待った。


「〜〜〜〜それでは、熱中症に気をつけて帰ってください。自主学ノートも忘れずに」


担任の注意喚起もそこそこに、帰れることになった。


「行こう。ローカ」

「んね、自販機でお茶買っていこうよ」

「わかった」


自動販売機でお茶を買うと図書準備室へと向かった。


「探している本があって」と涼子はいいながら、ローカに目配せをする。

縁のないメガネをかけた図書委員は本を読みながら頷いた。小太りだ。

ローカは「そうそう、そうそう、そうそう」とあられもない返事で誤魔化している。

涼子とローカは準備室に入ることに成功した。

中はエアコンはないので暑かった。

カチャ。

鍵をかけると、涼子はスカートのポケットからコンパクトナイフを取り、くるくると回す。


「どこ切るかだねー」とローカ。

「足の裏でいいんじゃないか?」

「んえ? なんか変な性癖に目覚めそう」

「血が止まらないと考えて、救急道具持ってきたから、どこでもいいぞ?」

「じゃあさあ、足の裏切って、血の滴る指を舐めるよ」

「オッケー! ……いっつー」


涼子は左の靴下を脱ぐと足の裏を思い切り切った。


「んじゃあ、舐めるけど、静かにね。いただきます」


ローカは涼子の足を掴み、その滲んでいる血を足の親指に流して、舐め始める。


「……ひゃあ、わっ、わあっあ」

「静かにしてくれんか?」

「分かってるけど! くすぐったくてなっ」


涼子は唇を噛みしめる。まるで犬に舐められているかのようでぞくぞくする。

ローカはぺろぺろと、流れてくる血を受け皿のように舐める。しばらく時が止まったかのようだった


「ご馳走様」


ローカは言いながら、滴りおちそうな血を手で抑えている。

涼子は消毒液をガーゼで受け皿にしてかけ、新しいガーゼを患部に当てて、強く力を入れて止血する。

ローカは涼子から包帯を借り、涼子の足の裏と足首に巻く。そしてサージカルテープで後始末をする。


ガチャ!

ドアに鍵がかかる音が外からした。

「んえ? 何?」

ローカはカチャと内側の鍵を開ける。そしてドアを開けようとするもあかない。



「もしかして、閉じ込められたのか?」

「まじか! おーい! 人まだいまーす! おーい!」


ローカは扉を叩く。

ドンドン!


「嘘だろ。まだ18時7分、閉室まで後3分あるのに」

「どうしよう、チェーンソーで開ける?」

「そんな事したら、優等生の名に傷つくだろ」

「どうしよう、ケータイは?」

「あたしのケータイ充電切れなんだ」

「俺のはクラスの人、涼子以外登録されてないし、学校に電話したとて、俺達の仲が怪しまれるというか大事になる」

「箱に充電器ないの?」

「あー、俺のアイフォーヌだから、アントロイトとは違うんだよね。出せんよ」

「明日までこのままだったらどうすんだよ!」


涼子は朝陽の電話番号を思い出して、かけるも繋がらず、困り果てていた。あまりの熱で何も考えられない。


「困ったな」

「井上か? 誰の仕業だ? もう怒った。ニーベルング」


1枚のノートが出てきた。


「何それ? デスノ?」


涼子は目を見開く。


「いいや。これに書かれた名前の人の過去と未来の記憶がわかるというノート、この指輪の名前だよ」

「今使っても意味皆無だろ」

「いいや、多分番号付きの鍵だと思うから外部の人に伝えるのに役立つと思う」

「違ったら吊るすぞ?」

「吊るさないで! んま、様子見るから、お待ち」

ローカは井上菜由と書き、10分前の時刻をかいている。つまり、18時5分から18時15分だ。

青い炎はローカの周りに張り巡らされた。


「おい、大丈夫か?」


1分たった頃、炎が消えた。

「あいつ、俺等の靴、ゴミ収集場所に捨てやがった」

「つまり関わってないんじゃないか? この異変に」


涼子は靴下を履く。


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