例外
「それで、あなたのご趣味は?」
「あっ……読書です」
……………………。
なんでこの女の質問なんかに答えないといけないんだよ……。
「そう、私もですの。特に田中太郎様の作品がとても好ましいわ」
誰だァア!? なにその一般的な名前の作者!(※そんな作者は実際のところ知りません。BY月夜輝石)山田花子並みの名前なんですけど。読んだこともないし、存在してたことすら知らなかったんですけど。
「はぁ……」
曖昧な返事をする。
「今日はお疲れですわね。特別にこの屋敷に泊めてさしあげますわ」
「えっ……結構です」
今日泊まってしまったら、明日の学校に行けなくなる。外出許可は今日だけだし……。
「大智泊まって来なよ。僕たちが言っとくからさ」
「えーでも授業に……」
「泊まらないと大智の自室にゴキブリ大量に入れるよ。」
「泊まらせていただきます」
というか女が言う言葉ではないと思う、真面目に。女子は虫が嫌いと言う論があるが、瑞希は例外らしい。ちなみにいうけど、俺も例外のほうだと思う。ワーストに虫がぶっちぎりの一位に入っている。
ゴキブリなんて、名前を聞いただけで吐き気がするほど。
「哀れ、大智………」
「同情するなら一緒に泊まれよ……」
その日の夜。結局拓真は俺を裏切り帰還。なんか酷くない?
「あいつら……っ」
帰ったら瑞希の飯にトマト入れてやる……。
昔からよく言う。女は家事。男は仕事。しかしここも俺は例外なのだ。料理? 得意分野っスよ。瑞希は料理出来るかって? いえいえ全く出来ませんよ。ついこの前知ったばかりで、その人の作る料理は、食材の無駄になるだけ。というか、本当に食材を使っていたのだろうか。
暗い廊下を歩いていると泣き声が聞こえた。耳を澄ませないとわからないほど小さな泣き声。
「誰? なんで泣いてんの?」
「大智さん……。泣いてなんかいません」
ステンドガラスの近くでお嬢様が泣いていた。
や、やっと2つ目☆
このペースで行ったらこの話いつ終わるんでしょうね(。・ω・。)