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世界の終末が望むとき、神々は迷宮を制覇する  作者: 柊ヒイラギ
第三章:強者は集う、己の野望が為に
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突破者

 ファルタにめがけて放たれた斬撃は、ファルタを庇ったアイリスの背中を斬りつけた。


「…アイリス!大丈夫!?ねえ!アイリス!」


 背中を大きく斬られてしまったアイリスは息はまだある。しかし、すでに十分に戦える状態ではなかった。


「あ〜あ、外しちまったか。俺が狙ったのは、ファルタ・レイリオなのに。まぁ外しちまったもんは仕方ないもんな。もう一回狙うまでだ。」


 突如として現れたその男は、自らの手で傷つけたアイリスのことなどどうでもいいかのような態度で勝手に話を進めていく、更には、再びファルタのことを斬りつけようとしてくる。


「お前か?俺達を狙ってた奴らの主犯は。」


「まぁそんなところだな。俺がお前を殺すようにいろんなやつを動かしてた。でも、他の奴らは見事に返り討ちにあっちまったようだな。まあどうでもいいか。俺が今からお前を殺す。」


 突如として現れたその男はファルタを再び狙いすまして剣を抜いて攻撃を仕掛ける。魔力も体力も限界であったファルタたちはまともに対抗することができない。

 しかし、眼の前に現れた何者かが男の剣を受け止めた。


「……おいおい。選別戦に介入するってのはないんじゃないか?《魔眼》のディーレさんよ。」


 ファルタたちの前には、見慣れた姿の、キザのような顔立ちをした青年が立っていた。


「バルテ・ウィークルゥだな?俺達がただただ観戦しているだけだと思ってたかもしれないけどな。実際はお前みたいな厄介なやつを静止できるためにいるんだよ。」


 おそらく、ルミネイトの神術でここまで来たのだろう。もしかしたら、ファルタたちの知らないところで王国守護攻略者の介入が他にもあったのかもしれない。


「お前の行動は、些か行き過ぎている。明らかな悪意のある待ち伏せ攻撃、場合によっては一次審査を突破できないかもしれないぞ?」


「あっそ。それならそれで俺は構わないけどな。けど、俺はただ自分のライバルになりうるやつを攻撃しただけだ。何も違反行為はしてないだろ?少し事故って大きく傷をつけてしまっただけじゃないか。」


 バルテと言われた男は、明らかな悪意のあった行動をしていた。しかし、はぐらかされてしまえばディーレは深く追求することはできない。


「……わかった。今回は見逃してやる。ファルタくんたちも時間は正直ギリギリだけど、今回は大目に見てあげるよ。一次審査突破おめでとう。」


 審査突破を言い渡されたバルテは一足先に出口を進んでいく。一次審査はすでに終わっているはずだが、トラブルが合ったこともあり、終了の知らせはまだ届いていなかった。その時、アイリスの傷を診ていたエルナはディーレに聞く。


「…あの、ディーレさん。アイリスは、どうなりますか?」


「無事合格、と言いたいところだけど、その傷じゃ次の審査を受けるのは難しいだろうね。傷自体は大きいけど、君が応急処置を行ってくれたおかげで後遺症は大きくは残らないと思う。けど、それでも治すのに一週間は必要だと思う。一人の攻略者のために選別戦を無理に延期にすることもできないからね。残念だけど、彼女のギルドは一次審査落ちという結果になってしまうと思う。」


 エルナは、その事実を聞いて、ただただ辛い気持ちでいっぱいだった。アイリスは何も悪くないのに、自分はアイリスとの約束を守ることができないことに。それでも、仕方がないと振り切って次へ進むしかないのだから。


「アイリス・シクラメンは僕が様子を見ておくよ。ファルタくんたちはこのまま出口を進んでくれて構わないよ。この先で、第二次審査の説明があるから、次に備えると良い。」


 ディーレの指示に従ってファルタたちはアイリスのことを悔やみながらも出口の道を歩いていった。ファルタたちが出口を抜けると同時に、迷宮内と出口の先の待機所に運営から報告が行われる。


『それまで。現刻を持ちまして、第一次審査《混合迷宮攻略戦(カオスクエスト)》の審査時間が終了しました。迷宮内にいる攻略者は運営の到着を待って居てください。一次審査を突破された方は二次審査の説明が行われるためしばらくその場で待機をお願いします。』













ーーーーーーーーーーー

 ファルタたちが出口を抜けた先は、ギルド本部のように多くの攻略者がくつろいで待機できる内装になっていた。人数はおよそ100人ほどいるように見える。


「…!ファルタ、無事!?」


 先に待機していたレイシャやライカたちがファルタたちの元へと駆け寄ってくる。同じタイミングで出口に到着したのにいつまで経っても来ないファルタたちのことを心配していたのだろう。


「…あぁ、俺達は大丈夫だ。ただ…」


「…?俺達はって、どういう……」


「…エルナ、アイリスはどうした?って言っても、だいたい何があったのかは察せるけど。」


 ネリオスに問われたエルナは暗い表情がより一層険しくなる。


「どういうことだよ…まさか、アイリスを置いてきたのか!?おいエルナ!お前どういうつもりで」


「落ち着けよネモフィラ。多分、エルナたちは何もしていない。おそらく、出口を通ろうとした瞬間に何者かの襲撃にあって、その被害者がアイリスってところか?」


「……ネリオスの言う通りだ。俺のことを狙った攻撃だったが…それに気づいたアイリスが俺を庇ってくれた。悪いのは俺だ……責めるなら俺にしてくれ。」


「…いや、ファルタは悪くない。むしろ、体が限界だったにもかかわらず俺達のために無理に神術を使って審査突破のために動いてくれた。お前にはむしろ感謝したいくらいだ。悪いのは、お前を狙ったその剣士ってやつ、それと、未熟な俺達だ。」


 さすが団長を務めるだけあると言うべきか。ネリオス自身も苦しい気持ちでいっぱいであるはずなのに、団員たちをうまくまとめ上げている。


「ありがとうなファルタ。お前たちのおかげで、また先に進める。俺達にできることは少ないかもしれないが、お前たちの、《フィンブルヴェト》の幸運を祈ってるよ。」


 ネリオスたちは、アイリスのことを悔しく思いながらも、ファルタたちに感謝を告げその場を離れて行った。

 ファルタたちも、ともに競い合いたいギルドであったこともあり、《ブルームス》と戦うことができないことが少しつらかった。その重たい空気を打ち消すかのようにライカがファルタに声を掛ける。


「…あのさファルタ、今聞くべきことじゃないのかもしれないけどさ、ファルタの神術って…」


「皆さん、注目してください。」


 ライカがファルタに声をかけたと同時に、待機所の中央に現れたレセカが全体に指示を出す。


「皆さん、第一次審査、お疲れ様でした。これより、第二次審査へ出場できるギルドを発表いたします。」


 今、待機所にはおよそ25のギルドが集まっている。この中から二次審査に進めるのは16組。確率として進めるのは64%である。


「ギルドは、一次審査のヌシ討伐数、そしてギルド団員全員が出口を突破するまでの時間を相対的に評価した際の順位順で発表していきます。まず第1位のギルド、《エインヘリャル》、ヌシ討伐数は7体です。」


 真っ先に名の上がったギルドは、イスカ率いる《エインヘリャル》。ヌシを最低限倒した後、すぐさま出口を突破したのだろう。


「続いて第2位、《ヒャズニング》、ヌシ討伐数は6体です。」


「確か中間発表のときも2位だったよなこのギルド。イスカたちのせいで薄れてるけど、こっちも十分すごいんだよな。」


「続いて第3位、《ギュルヴィ》、ヌシ討伐数は同じく6体です。」


 ヌシ討伐数は同じで順位が違うのは、出口を通った時間の差、ということだろう。


「ここからは、突破したギルドを順位に関係なく羅列していきます。《ヒュンドラ》・《トラスト》・《ビフレスト》・《ユグドラシル》・《ギムレー》・《アーヴァンス》・《ヴォルヴァ》・《フェラーグ》・《シンエン》・《へイティ》・《フィンブルヴェト》・《セイズガンド》・《ミードホール》。以上のギルド16組が、第二次審査へ進む権利を得られます。」


 突破したギルドには、ファルタたち《フィンブルヴェト》、リタこと、オリエンタ・カスラートの《トラスト》、ウィリック・クライシスの《シンエン》、アラナク・アリアヴァンの《ユグドラシル》など、ファル他の顔見知りたちのギルドも多くあった。


「負けていられない奴らは、イスカだけじゃないな。」


 ファルタだけじゃない。ジェイドやエルナも、ファルタ同様負けられない相手がいるため、周囲に負けないほどに闘志を燃やしていた。

 そこに、一人の男が近寄ってくる。


「…一次審査突破おめでとう〜ファルタ・レイリオ。」


「…!お前は、アイリスを切りやがった…確か、バルテって言ったか。お前は絶対に許さない。そもそもなんで俺のことを殺そうとしてるのかもよくわからねえしな。」


「何がよくわからねえだよ。()()()みたいに俺が簡単に負けると思うなよ?あのときとは状況が違うんだ。お前の無様な死に様を世間に知らしめる良い機会だからな。」


「…この前?俺、お前とどっかであったっけ?」


 ファルタは、決して煽りたかったわけではない。普通に記憶になかったのだ。バルテ・ウィークルゥという男の存在が。こんなことを言われてしまったら当然、バルテは怒りで一杯になる。


「…何だと?お前、本当に覚えていないのか?バルテ・ウィークルゥ、お前が攻略者になった日にボコボコにされた攻略者だよ!俺はあの日からお前への復讐のために生きてきた!それなのにてめえは覚えてないだと!?ふざけてんのか!?あぁ!?」


「……あぁー、そんなやつも居たかもな。けど、あのときのやつってお前の自業自得だろうが。なんで俺がお前に恨まれなきゃいけないのか未だに理解できないんだけど…」


「へ、そうかよ。だったら首洗って待っとけ。俺はこの選別戦で、必ずお前を殺す。」


 ファルタに言いたいことを言い終わったのかバルテは足早でファルタの元を去っていった。


「何だったんだよ、あいつ。まぁいいか。それよりも、二次審査の説明がまだあるっぽいぞ。」


 突破したギルドの結果を知り、喜ぶ者、悲しむ者と、とにかく待機所が一層騒がしくなったので、しばらく参加者が落ち着くまでレセカは説明を中断していた。


「…皆さん、よろしいですか?第二次審査を行うのは今から一週間後です。集合は選別戦の説明を行った闘技場です。それでは、第二次審査の審査内容を発表します。」


 一息ついたレセカは、もう一度深く生きを吸い込み言う。












「第二次審査は、ギルド対抗戦《終末最強決定戦ラグナロクトーナメント》です。」


 

ファルタの疾患は待機所に着いたら待ってた運営の人が回復してくれました。

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