表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界の終末が望むとき、神々は迷宮を制覇する  作者: 柊ヒイラギ
第三章:強者は集う、己の野望が為に
64/74

タイムリミット

ちょい長め

「よく、俺達の場所がわかったな。」


「いや、場所に関しては勘だよ。どこにいるかなんてわからなかった。それでも、私が出口に居てもあんたたちが出口に来れないなら意味がないから探しに来たわけ。まぁ、そっちの人たちが着いてきたのは想定外だったけど。」


 ぼろぼろなジェイドたちを庇うようにライカはレーヴァテインを構える。お互いに場所を共有していたわけでもないので、助けに来てもらえるとは思っていなかった。


「流石に来なすぎて不安だったから、出口のところからこっちに向かって動き出したんだけど…」


ーーーーーーーーーーー

「ねぇ、そこの、死神さん?」


「……何、今時間がないから後にしてくれる?」


「もしかしてだけど、あなたの仲間、エルナとかファルタって人とか、まだ来てないの?」


 ファルタたちの元へと動き出したライカに話しかけたのはアイリス。アイリスは、一次審査が始まる前の集合のタイミングでライカがファルタやエルナと会話をしているのを見て、彼女が《フィンブルヴェト》の団員であることはなんとなくわかっていた。

 そんな彼女が未だに出口を通ろうとせず待機していたのは、仲間が、要するにエルナたちが未だに到着していないからなのではないかと推測した。


「……来てなかったら何?」


「もしかして、探しに行くの?もしそうなら、私も連れてって。」


 ライカにとってこの申し出は想定外だった。それは、《ブルームス》の団員からしても同じだった。アイリスたちはすでに出口目前だというのに、わざわざ別のギルドのために引き返す必要なんてないのだから。


「目的は?うちの人たちに危害を加えるつもりならやめてほしいんだけど。」


「そんなつもりはないよ。ただ、そっちの馬鹿が私との約束破ろうとしてそうだから様子見に行きたいだけ。少なくとも、あんたたちの邪魔をするつもりなんて一切ないから大丈夫。」


 ライカは迷ってた。今戻って見つけられてもまた出口にまでたどり着ける保証なんてない。そんな状況で新しく邪魔が入ったら一次審査突破なんて不可能だ。

 しかし、迷っている時間なんてなかったし、もし危害を加えてきたらすぐさま自分で仕留めればいいだけ。おそらくアイリスの実力は自分よりも下、落ち着いて対処すればきっと大丈夫。


「……私についてきたければ、勝手にすればいい。それでそっちのギルドが突破できなくても、文句は言わないで。」


「当然でしょ。……全く、ここで脱落したら許さないからね、エルナ。」


 ライカが出口と反対方向に走り出すと、アイリスは黙ってその後ろをついて行く。アイリスの突然の行動に困惑した《ブルームス》の他の団員も、少し遅れてアイリスの後ろを追っていった。


ーーーーーーーーーーー

「なるほど、少なくとも今は味方ってわけか。とはいえ、人数不利なのは変わってない。一人複数人相手になるが大丈夫か?」


 現在ファルタたちは、《フィンブルヴェト》の5人と、《ブルームス》の5人の十人。しかし、《フィンブルヴェト》の多くはまともに戦闘できる状況ではないため、実際には助けに来たライカと《ブルームス》の6人ほどしかまともに戦えない。

 対するデータたちは15人ほどと、人数差は歴然。先ほどと状況はあまり変わっていないようにも思える。


「確かに、一人ひとり相手にしてたらどうしようもならなそうだね。」


「死神さんが来ても、不利な状況なのは変わらなかったか?」


「不利?別に不利だとは思ってないよ。ただ、一人ひとり相手にしてたら時間が足りなくなるなってだけ。要するに、複数人でまとめてかかってこいって言ってんの。」


 ライカは、余裕そうな表情で言い放った。まぁ、フードを深く被っているため表情は見えていないのだけれども。しかし、声色だけでも《死神》が余裕な態度であることはすぐに伝わった。


(確かに、死神の雰囲気は只者じゃないって感じだな。持ってる武器も、神物(アーティファクト)っぽいし。だったら他の奴らに任せて俺は逃げよっかな……)


 データは、正直想定外だった。死神がここに来るとは流石に思っていなかった。さらに言えば、ギルド一つが団体で助けに来るのも想定外だった。時間ギリギリで助ける必要性なんて、ほぼほぼないのだから。


「いいぜ、乗ってやるよ。その挑発に。お前ら、死神さんと相手してやれ。残りはそっちのギルドぶっ潰せ。」


 データの指示で周囲に居た取り巻きたちはすぐさまライカたちに向かってくる。死神と戦うことは普通ならもう少し怖がってもいいと思うのだが。


「結構素直に従うんだね。いいよ、ぶった切ってあげる。そこの人たちも、残りの対処は頼んだよ。」


 ライカは視線でアイリスたちに指示を出した後、向かってくる敵に攻撃を始めた。


「アイリス。俺達も動くぞ。これ以上はいろいろ限界だ。さっさと倒すまでだ。」


「うん。エルナ、いつか、借りは返してもらうよ!」












ーーーーーーーーーーー

「とりあえず、なんとかなったか。」


 ライカたちの手助けによって、データたちは無事に退けることができた。しかし、データ本人は誰も倒しておらず、いつの間にか戦闘から退散していたようだった。


「なんとかなってないよ……倒すことはできたけど、今から全力で出口に向かっても時間内にたどり着けるかわからない。ましてやみんな疲弊してるのに。」


 実際、残り時間はもう殆ど残っておらず、走って間に合うかは微妙なところだった。移動速度を挙げられる魔法や神術を持つエルナやネリオスならば頑張れば間に合うかもしれない。しかし、ふたりとも魔力はもう底をつきかけているし、そもそもこの二人が出口にたどり着いたところで他の団員がたどり着けなければ意味がない。状況はかなりギリギリだ。


「どうするって言っても、とにかく急いで行くしかない。今出せる全力で出口に向かうぞ!」


 全員、魔力は尽きているし、体力も限界である。………いや、一人だけ魔力がまだある程度残っている者がいるが。


(……くそ……このまま一次審査も突破できずに終わるのかよ……まだ俺は、あいつと、イスカと向き合えてないってのに……)


 ファルタはただただ悔しかった。何もできていない自分が。仲間に迷惑をかけてしまっている自分が。幼馴染に置いてかれている自分の未熟さが。


(…嫌だ。こんなところで、負けてたまるかよ。絶対に、嫌だ!できるかはわからなくても、せっかくなら賭けてやろうじゃねえか!)


 ジェイドに背負われていたファルタは、突然自分から降りる。


「…?ファルタ、無理すんじゃねえ。お前はまだ、あの女の神術の効果が残ってるんだろ?そんな状態で無理して動いたら体がもたねえぞ。」


 ファルタはまだ、《疾患(エイルメント)》の効果を受けている。まともに動ける状態ではないのは、ファルタ自身もよくわかっていた。


「このままじゃ、誰もたどり着けない……でも、俺の神術なら、多分たどり着ける…」


 顔色の悪い表情で言うファルタに、一同は無理をしないようファルタを諭そうとしたが、その目には強い決意が宿っていたため、やるだけ無駄なことがすぐに伝わった。


「でも、どうするつもりだ?お前の神術なら時間の支配はできるかもしれないけど俺達にまで影響を与えることなんてできるのか?」


「やったことはない。でも、やるだけやってみるまでだ。」


 神術が暴走するかもしれない。途中で力尽きて倒れ込んでしまうかもしれない。それでも、何もできないのだけは、絶対に嫌だから。限界なんて、知るか。精一杯集中して、僅かな可能性にだって縋ってやる。














「刻限無法《刻々領域》。」


 ファルタの魔力が、その場にいる全員を覆うように広がっていく。ファルタの魔力が纏われていくと同時に周囲の時間が少しずつ遅くなっていく。


「周りの時間の流れが遅くなった?いや、俺達が早くなっているのか?」


「ここにいる奴らの時間の流れを周りよりも早くした。この状態なら急げば間に合う。」


「こんな事ができるなんて……でも、こんな使い方してたら魔力がすぐに無くなるんじゃ……」


「長い間維持することはできない……だから、さっさと移動しなきゃだ。悪いジェイド、もう一回背負わせてくれ……」


「あいよ。にしてもほんと、何でもできる神術だな……」


 ファルタの神術で迷宮内の移動が想定の何倍も早く行うことができた。程なくして、出口であろう場所が見えてきて全員が胸を撫で下ろす。この調子で行けば全員が無事に突破できるであろう。


「出口だ!このまま突破するぞ!」


 出口までは残り数十メートル。ここまでくれば、ヌシに襲われることもない。しかし、この瞬間で時の流れがもとに戻ると同時にファルタがひどく項垂れる。


「ファルタ!?大丈夫かよ…あと少しだ。頑張ってくれ…」


「悪い、魔力が尽きた…流石にちょっと無茶しすぎたかもな。」


「いいから寝てろ。俺が最後まで運んでやるからよ!」


 限界が来てしまったファルタだったが、出口まで残り僅か。ジェイドもずっとファルタを背負っていたので体力にはかなり限界が来ているはずだ。それでも、残り僅かの道を気合で進んでいく。

 一番最初に出口を通ったのはライカ、その後ろをアイリス以外の《ブルームス》の団員とレイシャが通っていく。ジェイドはファルタを背負っていたので他の者よりも足取りが重かった。エルナは元々運動が特別得意なわけではないため単純に運動能力が低く後ろについてしまった。アイリスはそんなエルナを見守るような形でついて行っている。


「よし、このまま出口に……」


 ときに、人とは、もう大丈夫であろうと心配した瞬間が最も警戒を解いた隙のある瞬間になる存在である。そのため、今この場に居たジェイド・ファルタ・エルナ・アイリスは奇襲に対する警戒を一切していなかった。










「……!ファルタ、危ない!」


 何者かがファルタに向かって剣を振りかざしてきた。その気配にいち早く気づいたアイリスはファルタを庇って代わりに背中に傷を負ってしまった。

ブルームスの他の団員戦闘も書こうとしたんですけど面倒くさくなりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ