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世界の終末が望むとき、神々は迷宮を制覇する  作者: 柊ヒイラギ
第一章:ギルド名『フィンブルヴェト』
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足りないモノ

前回のあらすじ

ジェイドが仲間に加わった!

「入団することに異議はない、だが流石に俺含めてまだたった二人しかギルドにいないとは思わなかった。」


「まあまだギルド作って一週間とかだからな、こっからこっから。」


 楽観的な言動を取るファルタに対してジェイドは半ばあきれていた。ファルタが想像以上に無知で愚かであったことに。


「こっからって、お前なあ、このギルド足りないものが多すぎるんだよ。」


「例えば?」


「まず、お前も積極的に探している仲間、仲間がいなけりゃ攻略が困難になるだけだ。次に拠点、拠点がないとギルド内でしか共有できない話や資源をおいておく場所がない。最低限休めるところが欲しい。あと装備、お前の剣はそれなりに優秀な代物だ。でも逆にそれしか使ってないと壊れたときとかに不便だ。せめてもう一組予備を作っとけ。」


「要件が多いなあー。」


「そして、何より金、さっき言ったものも金がなきゃ集めようがねえ。」


 いま自分たちに足りないものをある程度羅列する。仲間は金関係なくね?とも思ったが口にはしなかった。


「でも金って他のギルドはどうやって稼いでんの?やっぱダンジョンの財宝とか売ってるのか?」


「いや、たしかにダンジョン内にある金品は価値があるものもある。でも殆どが昔の物すぎてあまり高値で買い取ることができない。だからギルドは基本的にダンジョン攻略と同時に本部から支給される資金を使ってる。」


「でも物資と資金も毎日支給されるわけじゃないだろ。今すぐ集めるなんて無理なんじゃ。」


「確かに一定の期間で本部から資金等は支給される。ただそれとは別に本部受付で指定したダンジョンを攻略して来れば受付で報酬はもらえる。報酬の量はダンジョンやギルドのランクによって変わるが。」


 主にダンジョン攻略でもらえる報酬の量は

・Dランク:小遣い程度の小金

・Cランク:一週間は大丈夫

・Bランク:約一ヶ月十分な暮らしができるほど

・Aランク:一軒家一つ買えるほどの大金

・Sランク:莫大な大金とギルド本部へ一つ願いを叶えてもらえる

 また、ギルドそのものにもランクは存在しDランクダンジョンを十回以上攻略することでCランクギルドになる、つまり各ランクのダンジョンを十回以上攻略することでギルドランクが一つ上がる。Aランクギルドはギルド全体で約3割であり、Sランクギルドは1割にも満たない。高ランクギルドが低ランクのダンジョンを攻略しても報酬が減ったりそれの逆もあったりする。


「所で若干話し変わるけど、なんで本部はギルドに資金なんて渡してるんだ?ダンジョン攻略なんて殆どが趣味の一環だろ。」


「詳しくは知らないが、過去に攻略者が一向に出なかった発見済みのダンジョンが爆発してダンジョン内部の魔物(モンスター)が一部流出して、近辺の村一つが崩壊してしまったらしい。未発見のダンジョンから流出することはないようだが、一度でも誰かがダンジョンを発見して攻略しようとしたならば、同じようなことが起きる可能性がある。未発見のダンジョンは半径10m以内の人間を勝手に引き込んで勝手に発見させるしな。そんな理由で本部が建てられたらしい。」


「へえー、じゃあなるべく見つけたダンジョンは早めに攻略しなきゃ行けないのか。」


「要するに俺たちがやらなきゃいけないことはダンジョン攻略だ。幸いにも『フィンブルヴェト(俺たち)』はまだ駆け出しギルドでありながら俺たち二人だけでもCランク程度なら楽に攻略できるくらいには実力がある。明日の早朝、攻略に出発する予定で準備しとけ。ダンジョンは俺が手頃なやつを選んでおくから。」




 ジェイドと一旦別れてとりあえず腹ごしらえでもしようと喫茶店にファルタは立ち寄った。サンドイッチを2種類注文してテラス席で座って食べながら今後について考える。


(拠点とか装備とかそういうのはジェイドのほうが詳しいだろうから任せるとして、俺ができるのはやっぱ仲間を集めることだよな、掲示板とかで募集するか?でも無名なギルドにわざわざ入りたがるやつなんていないしな...)


 ぼうっと考えていたら周りをよく見ておらず、テーブルの上においてあったもう一つのサンドイッチを落としてしまった。


「あ、やべっ!」


 落としてしまったことを悔やもうとしたら、サンドイッチは地面にはつかず、テーブルの横にいつの間にか立っていた少女の手の上にあった。


「あ、えーと悪い、拾ってくれてありがとな。」


 素直に感謝しながら少女の手の中においてあったサンドイッチを取ろうとする。しかし、あろうことかサンドイッチはファルタの手ではなく少女の口に運ばれていた。


「何?その目。」


「え、いやそれ俺が買ったやつなんだけど。」


「じゃあ拾ってあげたお礼として受け取っておくわ。どうしても食べたいならまた自分で買えばいいでしょ。最初のダンジョン攻略に啖呵きって一人で行って余裕で帰ってこれる人ならそれなりに資金持ってるでしょう。私みたいな貧乏人に優しくしたと思ってさ。」


 どうやらファルタがギルドを作成したときに、本部の中にいたらしい。よく見たら装備も後衛の魔術師の装備としてはある程度充実していた。となると少しばかり気がかりなことがある。


「お前今貧乏人って言ったか?俺の最初の攻略の話知ってるなら少なくともどっかのギルドに入ってる攻略者だよな。装備的に魔導士か?」


 ギルドに入っているのならばそれ相応の資金や実力があるはずだ。それなのに貧乏人とはどういうことなのか。


「君には関係ないでしょ。人の秘密にズカズカ踏み込んでくる男は嫌われるよ。じゃあね。」


 最後遠回しに罵倒された気もするけど今は気にしないことにする。それよりも、


(なんであんなに、今にも()()()()()()かのような顔してたんだ?)




 翌日、ジェイドに言われた場所にやってきた。


「今から行くのは、Cランクダンジョン『ユーダリル』、主の名前は『ウル』、遠距離からの弓術による攻撃をしてくる。狙いは正確だが、素早く動いて避けてればそうそう当たらない。二人で散らばりながら距離を詰めるぞ。って、ちゃんと聞いてるのか?」


 ジェイドの説明を聞きながらも、ファルタはずっと昨日の出来事について考えていた。深く考えていても仕方のないことではあるのだが。


「聞いてたよ、さっさと行くとするか。」


 ダンジョン内に入ると、中は魔物(モンスター)()()()()()形跡があった。


「先客がいるのか。本部で誰も挑んでないって言ってたが、ギルドとは無関係なやつなのか。」


「痕跡的に魔道士がいるっぽいな。しかも結構優秀なやつが。」


 周りを見ながら進んでいると、奥の方で当の本人であろう魔道士の姿があった。その姿をファルタは知っていた。その姿は、つい先程まで頭の中で考えていた少女と同じ格好をしていたのだから。


「「なんでいるの?」」


 また変な偶然が重なってしまった。





色々設定公開する回、ジェイドは攻略者になって半年と少しぐらいだとか。次回はこの少女が重要になりそう。

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