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世界の終末が望むとき、神々は迷宮を制覇する  作者: 柊ヒイラギ
第三章:強者は集う、己の野望が為に
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双剣秘術

「ここからは4人団体で固まって行動しよう。得策とは言えないが、揃っちまったしな。それに、分かれて行動してもあまり得がないのは前半でわかった。後半はもう少し移動を素速くして行動しよう。」


 第一次審査、《混合迷宮攻略戦(カオスクエスト)》も後半戦、前半は効率よく主を討伐するために二手に分かれて行動していたファルタたちだが、Bランクの主はそう簡単に倒せるようなものではなかった。

 また、ファルタが多くの攻略者たちに狙われていることもあり、なるべく大人数で行動したほうが安全かつ効率もいいという考えに至った。

 しかし、今の状況に対してレイシャは些か疑問に思っていた。


「ねえ。今の作戦に異論はまったくないんだけどさ。今ボクたちって一応3位何でしょ?だったら無理して行動しなくても一次審査突破は容易なんじゃ?」


 レイシャの言うことも一理ある。ライカの活躍でフィンブルヴェトは現状第3位、1位と2位にギルドは2つしかないことからもそこまで焦る必要性は一切ない。

 しかし、だからといって気を緩めてはいけない。


「レイシャみたいな考えのやつは少なからずいるだろうな。俺も一回そういう考えには至った。けど、そういう油断してる奴らを狙って下の奴らが這い上がってくる可能性もないわけじゃない。むしろ今下位のやつは無理をしてでも上位を狙いに来るだろう。」


「確かに、保険として主をもっと倒しておくべきかも知れないね。」


 ジェイドは主をより倒しておくべきだと言う。ただ、ジェイドの場合はどちらかというと先程言っていた理由もあるだろうがアラナクのギルドに負けたくないというのが一番の理由だろう。

 ジェイドと似たような理由ならファルタも持っていた。


「何が余裕持っておきたいだ。目指すは当然1位、イスカたちに負けてられるかよ。」


 負けず嫌い、それとも強さへの渇望か。ファルタにとってイスカに負けることは二度と起こしたくないトラウマに近いものになっていた。


「ま、お前ならそう言うよな。了解、団長の意志には従うとするか。」


 イスカに先を行かれて焦っているように見えるファルタ。しかし、決して焦っているわけではなく、ただただ闘争心を燃やしているだけのようだ。


「とりあえずこっからはスムーズに行くと良いが........そううまくはいかないみたいだな。」


 即座に主の討伐に向かおうとする4人だが、4人の前には複数の人影が現れる。


「ファルタ・レイリオってのはそいつか?俺達はギルド《イザヴェル》だ。こっちは5人、人数差ではこっちが有利。俺達の言いたいこと、わかるよな?」


「「「「わからないしわかりたくもない。」」」」


 ギルド《イザヴェル》。中間発表ではフィンブルヴェトと同じ3位。どうやら彼らの目的もファルタのようだがファルタたちはわからないふりをする。対応が面倒くさいから。


「わかれよ。俺達の要求はファルタ・レイリオの殺害だ。黙って投降しろ。」


「そんなんで従うやつじゃないことくらいわかってるくせに。ファルタ、私が二人相手にするからジェイドとレイシャと3人で1対1で」


「双剣秘術《アマテラス》。」


 主を呼び出す事で人数不利を無理やりなくせるエルナが2人の相手を行おうとしたが静止を無視してファルタが前に出る。


(また、双剣秘術か。そろそろ聞いといたほうがいいか.......)


 ファルタが双剣秘術で敵陣へと突っ込む。アマテラスの能力は攻撃と同時に敵の視界を打撃や目潰しなどのあらゆる方法で奪い戦場を突破する技。イザヴェルの団員たちは視界を奪われる。目を覚ましたときにはファルタたちの姿は見えなくなっていた。



ーーーーーーーーーー






「ああいう奴らは無視するに限るな。戦闘を無理してやっても時間の無駄でしかないからな。」


「......なあファルタ。前から気になってたけど、双剣秘術って何?多分我流の秘術だよな?」


 ジェイドはファルタがレイシャと戦闘を行ったときから気になっていたことを聞く。


「我流?まあ我流と言われれば我流か。多分俺しか使ってないだろうし。」


「三大秘術の派生ってわけでもなさそうだし。我流の中でもオリジナル要素のある秘術ってこと?」


「三大秘術?」


 秘術というもののことも詳しく知らないファルタ。当然、三大秘術についても何も知らない。そんなファルタに呆れたジェイドは補足をする。


「一般的に秘術ってのは俺みたいな非神術者が迷宮攻略や神術者と渡り合うために使用される流派のようなもんだ。三大秘術ってのは世界で使用割合が高くて師範も多い、まあ簡単に言えばメジャーな秘術だ。」


《真剣秘術》

最も使用者の多い秘術。攻めの姿勢から次の行動への繋ぎが行いやすく一度ハマれば自分のペースに持っていきやすい。


《魔剣秘術》

攻めの姿勢を取る真剣秘術とは対象的に受けの姿勢を取る秘術。ジェイド、アラナクの使用している秘術。


《聖剣秘術》

攻め、守り、アシストと何をとっても平均以上に卒なくこなせる秘術。ただし、習得には圧倒的センスと、それ相応の努力が必要となる。


「この3つが三大秘術。秘術を扱ってるやつは8割位がこの3つで、全体の5割くらいが真剣秘術だな。残り2割はこれらの秘術を自分なりに組み合わせて使ってるやつや全く新しい戦闘スタイルで戦うやつ、いわゆる『我流』ってやつだ。」


「なるほど。じゃあ確かに俺のやつは我流なんだろうな。けどさ、我流のほうが型にはまってない分読まれにくいし強いんじゃないか?」


「そういうやつもいる。お前の双剣秘術ってやつも簡単に見切れる代物じゃない。けど、大抵のやつの我流はいたるところに穴がある。簡単に言えば不完全な秘術ばっかなんだ。三大秘術みたいに完成されていない分隙を晒すことが多い。」


 三大秘術はメジャーなものというだけ。それが合わないものだって少なからず存在する。そういう者は自らで戦闘スタイルを編み出していくほかないわけだが、長い間実戦を重ねない限りは我流のものに完璧と言える出来は巡ってこない。

 しかし、ジェイドが気になっていたのは、双剣秘術が我流かどうかという話ではない。


「ファルタ、お前の神術は秘術なんてなくても強力だ。秘術なんかよりも自分の神術を極めたほうがいいんじゃないか?」


 基本的に秘術は非神術者が神術者に対抗するために用いられる。つまり、神術者は無理に秘術を覚える必要性はない。

 神術が戦闘向きではないのであれば覚えておくべきであろうが、刻限(クロノス)は戦闘からアシストと幅広く応用できる強力な神術、秘術がなくても基本的に困ることはない。


「あともう一個、ボクからも聞いておきたい。双剣秘術ってファルタが考えたの?だとしたら戦闘スタイルが普段と違いすぎる。教えてよ。」


 レイシャの疑問も浮かんできて当然な問いである。ファルタは基本的に爆進や刻限における速度差での乱打、要するに手数で無理やり押し込む戦闘を行う。

 それに対して双剣秘術は相手の五感や死角、思考を利用して戦う知的な戦闘を行う。

 つまり、ファルタの神術と秘術は真逆の戦闘スタイルを持っている。


「んーーーと。簡潔にいえば、双剣秘術を考えたのは俺の兄貴で、俺はそれを真似してるだけだ。」


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