外伝:希望を求めた少女
エルナの過去&裏話回、今回はエルナ視点で話が進むので地の文も一人称が私です。
私、エルナ・ヒェレナークは、かなり普通な家に生まれた普通な少女だった。ただ一点、魔法の才能を除いて。
「エルナ、あなた攻略者になりなさい!」
両親には攻略者になることを強く進められた。両親も攻略者を昔は目指していたようだが自身の力に限界を感じて諦めてしまったらしい。そんな自分たちの子供が魔法の才能に溢れていたのであれば自分たちの夢を託そうと想うのも無理はない。特別嫌な感情も持たなかったエルナは両親の言葉の通り攻略者を目指すことにした。
私には従兄弟がいた。その子は私よりも2歳年上で、そして、才能も私よりも遥かに上であった。だから親戚はだいたい従兄弟に期待していて、私に期待していたのは両親ぐらいだったかもしれない。
私が自分の神術に目覚めたのは10歳の頃だった。しかし神術の特性上、自分が神術を得ていることに私は気づいていなかった。そのため、神術を使えないと思いこんでいた私はひたすら自分の魔法の腕を磨いた。
私が15歳になった時、初めてダンジョンを攻略した。攻略したのは《ソルチカ》。初心者攻略者が必ず経験するDランクダンジョン。初心者用ダンジョンということもあって私はさほど苦戦することなく攻略することができた。そして次の日、私は自分の力に目覚めた。
「なに.....これ?こいつって......昨日攻略した.....確か、リトリアって名前の主.....」
私の神術は、どうやら攻略したダンジョンの主を呼び出し操ることができるというものだそうだ。私はこの神術を迷宮に封印されていた主、要するに神様を顕現させるということで名前を《封神》ということにした。
この神術は、正直強い力であると自分では思ってる。自分で操るという性質上、主は本来の力を扱えてはいないのかもしれないけれど、それでも、強力なダンジョンの主を操れるという神術は攻略者にとってかなり好都合な力だと思う。ただ、当然弱点もあった。
1つは、主を呼び出すのにかなりの魔力を使うこと。元々魔力量の多い私だけどそれでも主の顕現を5回ほど行うともう魔力にかなり限界が来る。呼び出す主によって魔力量は変わってくるけど、どれだけ最小限な使用を行っても6回が限界だった。ただそれ以上に苦しいのは呼び出したあとだった。
2つ目の弱点、それは主を操るのにかなり神経を要するということ。主の使用する神術の魔力は、半分が主当人から、もう半分は私自身の魔力を使用する。そのため主を多く出しすぎるとすぐに魔力がなくなる。また、主を操るときは主の神術、魔力量、魔法の有無、剣術など、それら全てを私自身が制御しなければいけない。そんな事をいちいち考えていたら、すぐに脳みそが焼き切れてしまいそうになる。だから主は同時に3体ほどが同時に操れる限界だった。
そして3つ目、強力すぎる主はたまに一体しか顕現させてなくても操るのが困難になること。まあ、これはただ単に私の力不足ってだけだから後々なんとかなるとは思う。
こんな神術を手に入れてしまった事もあって、私はこれから攻略と同時に神術をうまく扱えるようにすることも目標にするようにした。
攻略者を始めて2週間ほどたった。まだギルドに入っていなかった私はDランクのダンジョンをひたすら一人で攻略していた。知り合いには一緒に攻略してくれそうな人はいなかったため、ある程度主の力を集めるまでは一人で攻略するようにしていた。そんなとき、一人の青年が私に声をかけてきた。
「ねえ、君ってさ、エルナ・ヒェレナークであってる?もしよければ、僕のギルドに入ってみないかい?ちょうど後衛の魔道士が欲しかったから。」
私に声をかけてきた青年の名前はヘリオトープ・フリージア。魔法の才能がある攻略者はどのギルドにも必須であったにもかかわらず数が少ない。だから、前からギルドに誘われることは何度かあった。けれど、今まで声をかけてきた攻略者は、視線に少なからず下心があった。視線が自分の胸や脚に向けられていたり、話し方が明らかにナンパだったり。けれど彼の目は、ただただ紳士的だった。だから、信用してみることにした。結果的にその行動が自分を苦しめることにはなったけれど。
「よろしくおねがいします。」
ギルドの名前はブルームス、私以外にはバランスよく5人の攻略者がいた。団長、ヘリオトープ・フリージア。副団長、アイリス・シクラメン。他にも、様々な状況に対応できる神術を持つネリオス・インパチェンス。奇抜な発想と異常なほどの幸運で戦況を動かす少女、アベリア・アスチルベ。情に厚い性格で味方を鼓舞し、仲間のためにどんな恐怖にも耐えうる精神性を持つ男、ネモフィラ・ブーゲンビリア。全員私のことはある程度好意的に受け取ってくれてすぐに馴染めそうだなと思ってた。
いつからだろう。自分に嫌な視線が向かれるようになったのは。視線の正体は実際すぐに分かった。副団長のアイリスだ。ただ、睨まれる理由はずっと分からなかった。 ただ、睨まれただけでそれ以上の嫌がらせはされていなかったため特に気にしなかった。
「今度、Bランクのダンジョンに挑戦したいと思ってる。」
ヘリオトープは私達に言った。今まではCランクダンジョンを多く攻略していた。けれど、次のステップに移動するためにも私はその提案を拒もうとは思わなかった。でも、今の私は、その選択を後悔していると思う。だって、この選択が、私を地獄へと陥れたのだから。
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その日、団長が死んだ。団長は私を敵の攻撃から庇ってそのまま死んでしまった。私は罪悪感で立ち直れなくなりそうだった。団員の人たちは私を責めようとはしなかった。ただ、アイリスは少し複雑な感情を抱いているようだった。
数日後、私はギルドを脱退するよう言い寄られた。いろいろと理由があったようだがそれらすべてはただの言いがかり、濡れ衣だった。団長は私のせいで死んでしまったかもしれない。でも、結果的に動いたのは団長だ。全部が全部私が悪いわけじゃないと思ってる。でも、決定してしまったことは仕方がない。そう思い込ませて急いで私は支度を始めた。
私がある程度支度を終えてアジトを出ようとしたとき、アイリスとネリオスの会話が聞こえてきてしまった。
「なんで.....あんなこと言ったんだろ。正直に話してれば、良かっただけなのに。ヘリオトープが、エルナを襲おうとしてるって、ちゃんと言えれば、良かったのに.....」
アイリスは、決して私を見捨てたかったわけじゃないらしい。どうやら恋敵を減らすために私を陥れる罠をいくつか用意していたようだが、直前でヘリオトープが死んでしまったことで混乱してしまい奇行に走ってしまったらしい。
「.......もう、人を信じるのは.......やめよう。」
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ブルームスを脱退してから数日後、ファルタに出会った。最初は、自意識過剰な自己中攻略者という、最悪なイメージを持ってた。でも、彼は、仲間を信じることを何よりも大切にしていて、そんな彼に、私の心は動かされた。ファルタは、私の人生を変えてくれた希望の光だった。
ダンジョンを一緒に攻略したあとの帰り道、ジェイドと話すファルタを見ていると、不思議と鼓動が早くなるのを感じた。その時、私は理解した。
(ああ、そうか。私は、この人に恋をしてるんだ。)って。
恋心のせいで人生が破滅しそうになったのに、結局私もこんな感情抱いちゃうんだなーと、私は自分の気持に半ばあきれていた。だから、心の半分くらいは、恋心を認めたくはなかったんだと思う。
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「エルナ、何書いてるの?」
レイシャに問われるエルナ。
「ああ、これ?日記だよ。攻略者っていつ死んじゃうかわからないからさ。だから私の思い出を書き留めておこうかなって。」
日記を書くのはエルナにとって趣味の一つでもあった。エルナは夜空を見て思う。いつか、この日記帳が部屋を埋め尽くすほどの、多くの思い出をみんなと、ファルタと作り上げていきたいと。
作中でも何度か言われてますがエルナは胸が大きいです。容姿もいいです。高校でマドンナって呼ばれそうなくらいには美人だと思います。はい。




