異色の気
「で、お前誰?」
ファルタの斬撃をアイリスを守る形で男の剣士が受け止める。
「ネリオス・インパチェンス。ギルド《ブルームス》の2代目団長だ。」
ネリオスと名乗った男はブルームスというギルドの団長、この選別戦の参加者ということであろう。アイリスを守ったことから、おそらくアイリスも同じギルドの人間という考えで大丈夫であろう。
「ふーん。で、邪魔だからどいてくんない?用があるのはお前じゃなくて後ろのやつなんだけど。」
「俺がどいたらアイリスは斬られるんだろ?それが分かってて避けるわけ無いだろ。」
「そいつは俺の仲間を侮辱した。受けて当然の報いだ。」
「元はエルナがやったことだろ。アイリスから話を聞いておいて、まだそいつの味方をするのか?」
「昔の話に興味はねえ。俺は今のエルナを信頼してる。だから貶したそいつを斬ろうとした。なにもおかしくないだろ。」
ファルタにとってエルナは信頼における仲間、ただそれだけである。昔になにがあろうと今のエルナには関係ないと割り切っている。
「まあいいさ。俺達はお前たちの足止めに来たんだ、こうなることは重々承知だ。後のことは他のやつに任せてある。突破したけりゃ、俺達を倒してからにしな。」
「目的が俺達....?」
目的がファルタとエルナ、エルナが狙われているのはアイリスとネリオス関係だろう。しかしファルタのことも狙っているとなると結論は一つ。
「エルナ、多分こいつら。」
「うん、さっきの奴らと同じ。ファルタを狙ってる奴らの協力者だと思う。」
「なら、俺だって無関係ってわけじゃない。時間もないし、手短に済ませるぞ。」
ファルタを狙ってきたという発言からファルタ殺害を目論む者の一人だと考える二人。相手はファルタの神術や戦闘スタイルを理解していないがファルタたちはエルナの元仲間である二人の情報を持っているため状況的にはファルタたちに分がある。
「アイリスは非神術者だけど剣術も魔法も器用に扱うオールラウンダーなタイプ、苦手分野が少ないから二人で剣術と魔法で攻めるよ。ネリオスの神術は」
「2VS2じゃなくて1VS1で勝負しようぜ。」
エルナが解説している時、ネリオスがファルタを別の部屋まで吹き飛ばしてしまう。
「ファルタ!?ネリオス!あんたもう少し手加減てやつを」
「あんたの相手は私だよ。」
エルナたちの望んでいない1VS1が始まってしまった。
ーーーーーーーーーー
「.....痛ってぇ。何だよあいつ、急にぶん殴ってきやがって。早くエルナのとこ戻らねえと。」
「その必要はないぞ?」
エルナのもとにすぐさま帰ろうとするファルタだったがそこにネリオスが立ちはだかる。
「お前、ネリオスって言ったか?さっき俺をふっとばした時、すげえ素早かったな。そういう神術なのか?」
「そのうちわかるさ。エルナはアイリスに任せたから、俺はお前を倒す。」
「ふーん。じゃあついでにもう一個、お前に指示している攻略者は誰だ?俺の事を狙うようにそそのかしてるやつ。」
「ん?何の話だ。お前を狙ったのは単にエルナの仲間だからってだけだが?」
「......え?」
「ん?」
エルナの仲間だから、それはつまりファルタのことを殺す気など一切ないということであろう。完全に想定外な回答が返ってきて驚くファルタ。
「.....あー、そうなんだ。悪い、変な勘違いしちまって。」
「別に、そっちだって事情があるんだろ?まあだからって手加減をするつもりなんて一切ないが。」
「手加減はしない、か。まあ敵だからそりゃそうなんだけど。でも悪いが、お前にかまってる時間はないんだ。さっさと突破させてもらう。爆進無法《貫突切り》!」
(速いな......でも攻撃自体はシンプルな斬撃か......なら)
「黒白無法《蒼》。」
ファルタは勢いをつけて斬撃を繰り出した。その攻撃はネリオスに受け止められこそしたがクリティカルヒットしたと言っていい。しかしネリオスはびくともしない。
「こいつ.....硬え!」
「防御に能力を振っておけばそりゃ固くもなるよ。そんじゃ次は、こっちの番だ。黒白無法《紅》。」
(今度は紅?でも防御に能力を振ったって言ってたし、落ち着いて受け止めれば...)
先程の攻撃からファルタはネリオスには攻撃力はさほどないと推測する。しかしファルタの予想は外れることとなる。
「っ!?」
ネリオスの攻撃でファルタは再びふっとばされる。
(何だよこいつ、攻撃力も異常なのかよ。というか、最初に俺を飛ばしたときもこんくらい強かったか。どこをとっても能力が最高クラス、さらに言えば、あいつの神術もよくわかんねえしって........ん?)
攻撃を行ったネリオスの姿を見てファルタは違和感を覚える。先ほど攻撃してもびくともしなかったネリオスがファルタを攻撃した衝撃で体を震わしていたのだから。
(こいつ、さっきまでと能力が変わってる?黒白無法.....そういうことか。)
「あんた、自分の能力いじれるのか。」
「ほう、よくわかったな。その通りだ。俺の神術は《黒白》、自身に様々な色の気を纏わせることで自身の能力を強化する。今使った紅は攻撃値の強化だ。」
(自身の能力強化.....シンプルに強いな。紅が攻撃強化なら、さっきの蒼は防御強化ってところか。なら)
相手の神術を理解したところでファルタも再び神術で距離を詰める。
「爆進無法《暴風乱》!」
「黒白無法《黄》。」
ファルタは爆進でネリオスを翻弄しようとするがネリオスはそのファルタの動きにいとも簡単についてくる。
(こいつ、クソ速いな。黄色く光ってるってことは、黄色は速度上昇か。ここまで速いと攻撃も簡単には当たらねえな。それでも、攻撃しなきゃ倒せないしな。)
当たる可能性は低い、あたってもまた蒼を使われてしまえば意味がない。それでも、攻撃しなければ勝つことができないため一か八かで攻撃をする。
「黒白無法《蒼》。」
ファルタの攻撃に備えてネリオスは蒼を使用する。ファルタは神術を合わせた渾身の一撃を与えるがネリオスにはやはりあまり効果がない。
「何回攻撃したって、蒼を使ってる俺には意味ないさ。さっさと降参してくれればこちらとしてもありがたいんだけど。」
余裕そうな表情を崩す様子が一切ないネリオス。その時、ファルタとネリオスがぶつかりあった衝撃で天井から少しサイズの大きめな瓦礫がネリオスの頭上に降ってくる。
「っと!?危ねえな。こんなの当たったら頭勝ち割れるっての。」
その言葉にファルタは違和感を覚える。
(勝ち割れる?こいつは今、蒼を使っているのにか?俺の神術で増強した攻撃は余裕で耐えたのに降ってきた瓦礫は耐えられないのか?一体何で......)
今目の前にいるネリオスは蒼い気を纏っている。その状態ならば瓦礫程度で致命傷を負うはずがない。その時、ファルタの中に一つの可能性が浮かび上がる。
(よし、試すだけ試してみるか。)
ファルタは一度距離を取り再び神術を絡めた攻撃をネリオスに当てようとする。
「何度やっても同じだぞ。蒼を使っている状態の俺にそんな攻撃通用しな」
ファルタがネリオスの直ぐ側に接近し、技を放とうとする。ネリオスに攻撃が当たる瞬間、ファルタは自身の神術を解除する。攻撃が命中したネリオスは衝撃に耐えられず吹き飛ばされる。
「なにが.....起きたんだ?俺の蒼が、耐えられなかった?」
「耐えられなかったっていうよりは、蒼が機能してなかったって言ったほうが正しいかもな。お前は、蒼い気を纏っている状態の時、防御力が高まる。にも関わらず、お前は降ってきた瓦礫を避けた。俺の攻撃に耐えられるやつがわざわざ瓦礫を避ける必要は殆ど無い。そこで俺は考えた。蒼の能力は防御力を高めるんじゃない、神術への耐性を高める能力なんじゃないかってな。だから俺はさっきの攻撃の瞬間神術を解いた。予想は当たったみたいだな。」
蒼の能力は神術耐性増加、つまり何の能力も付与されていない攻撃は普通に通用するということである。
「よくわかったな。攻撃の直前で神術を解除なんて、簡単にできることでもないだろうに。」
「というかお前、素の防御力は低いのな。一撃で終わりかよ。」
「そこはいつになっても俺の課題さ。まあ、時間稼ぎはできただろ。アイリス、あとは頼んだぞ。」
「やべ、お前にかまってる暇ないじゃん!じゃあな、一次審査突破できるといいな!」
エルナがやられていないか心配になったファルタはネリオスをほっといてエルナの元へ戻ろうとする。そこでネリオスはファルタに言う。
「ファルタ・レイリオ。さっきはあんなこと言ったが、俺は別にエルナのことも、お前のことも、特別嫌いじゃないからな。」
その言葉がファルタに届いていたかはファルタがすぐに走り去ってしまったのでネリオスにはわからなかったっが、言いたいことを言えたのでネリオスはしばらく休むことにした。
黒白無法について
蒼:神術耐性上昇
紅:攻撃能力上昇
黄:行動速度上昇
の3つが出てきたんですが一応他にも使える技として
翠:防御能力上昇(神術耐性は上昇しない)
灰:知能能力上昇
?:??の??が上昇
?:??の??を??する
みたいなのもあったりします。?の部分はなにが入るんだろうな〜(棒)




