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世界の終末が望むとき、神々は迷宮を制覇する  作者: 柊ヒイラギ
第三章:強者は集う、己の野望が為に
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初めましてさようなら

「3つに道が分かれてるけど.....どっちから行く?」


 過去最大規模の攻略者が集った精鋭攻略者選別戦の第一次審査、《混合迷宮攻略戦(カオスクエスト)》が開始した。最初の道は右、左、直進に分かれており、誰がどの道を進むかで走りながら話し合っていた。


「どこから攻めてくれても構わないけど、私は先に出口まで向かってるよ。」


 この審査ではどれだけ主を倒しながら効率よく進めるかが大切である。それなのに先に進もうとするライカをファルタは静止する。


「待てライカ。どういうつもりだ?俺達に協力するつもりがないのか?」


「別にそういうつもりじゃない。少しは考えなよ。まず、どう考えたって入り口付近の主はほとんどの攻略者の標的になる。逆に出口手前にいる主は狙おうとする人が少ない。だから先に出口付近の主を狙うってだけ。当然進んでる最中に主がいて倒せそうなら倒す。それに、私と同じ考えの人は少なからずいると思うから、あんまり期待しておかないでね。」


 それを言われてファルタは冷静さを取り戻す。ジェイドあたりもその作戦は考えついていたが実行に移すかは悩んでいた。Bランクとはいえ出口付近の主はそれなりに強い可能性がある。ソロでの攻略は難しいと考えていたがライカならばその心配をする必要性もないだろう。


「分かった。じゃあ俺とエルナで右から攻める。」


「じゃあ俺とレイシャは左から攻める。二人だからってやられんじゃねえぞ。」


 ライカは真ん中の道から周りを気にせず直進していく。ファルタたちは右から、ジェイドたちは左から。反対へ進めば途中で合流することもないだろう。ジェイドの方向を見るとそこにはイスカたちの姿もあった。


(イスカはあっちから行くのか。いろいろ話すのは二次審査でいいか。)


ーーーーーーーーーー


「にしても.....まじで広いな。」


 ファルタとエルナも右の道を進み始めて5分ほどたったがいまだに主に出会わない。ファルタたちよりも先に行った攻略者は一人か二人だけだったはずなのでもう倒してしまったということはおそらくないだろう。


「この混合迷宮、想像よりも広いって考えた方がいいね。ゆっくり行くわけではないけど焦る必要もなさそうだね。」


 広大な迷宮に苦戦する二人だが状況は他の攻略者も同じ。無理に攻めて墓穴を掘るようなことをする必要はない。


「このままだと合格どころか出れずに人生終わるぞ。周りに人もいねえし。もう少し人気のあるところに」


 ファルタとエルナが話している時、目の前に多量の魔法が放たれる。


「!?誰だ!どこにいる?!」


「上ですよ。初めましてファルタ・レイリオ。私はギルド《アイリスク》団長、シスレスと申します。」


 ファルタたちが周囲を見渡しても姿はなかった。それもそのはず、敵はファルタたちのいる部屋の天井にいたのだから。


「天井に立ってる?いったいどうやって.....というか、私たちに何か用?」


「天に足をつけているのは、私の神術《吸着(アドソーブ)》によるものです。あなたたちに用がある.....というよりは、ファルタ・レイリオに用があって来ました。」


「俺に用?一様確認しとくけど初対面だよな?」


「ええ、私が一方的に知っているだけです。ですが、あなたが私を覚える必要はありませんよ。なぜなら.....今から私があなたを殺すので。」


 シスレスと名乗ったその男はファルタに向かって無数の魔法を無差別に放つ。


「あっぶね!?お前、急に何すんだよ?俺たちが何かしたってのか?」


「別にあなたは()()()何もしていませんよ。深い理由なんてないです。自身が審査を突破するために敵を始末する。理にかなっているではないですか?」


「確かにそうかもしれないわね。けど、だからって殺す必要性は皆無なはずよ。殺しがバレたら、いいえ、私たちがあなたの殺人未遂を告発するだけであなたはもう普通の人生を送れない。そこまでのリスクを背負うってことは、やっぱり何か理由があるんじゃないの?」


 殺人は選抜戦のルールとしても禁止されている。そもそも世間的に許されない行為だ。攻略者として参加しているのに殺人を犯すのは何か大きな理由がなければ必要がない。


「.....無駄に勘が冴えているようですね。まあ確かに、理由はありますよ。けれど、あなた方が知る必要はやはりない。それに、私が興味あるのはファルタ・レイリオのみ、あなたは邪魔をしなければ見逃します。」


「......じゃあ何もしない。ファルタ、後は頑張ってねー。」


 こういうときはそんなの関係ないと言って加勢するものではないのか、とファルタは思ったがエルナはそんな事一切気にせず傍観している。


「懸命な判断ですね。自身の安全のためならば味方であっても身代わりにする。人間の心理というものでしょうか。ファルタ・レイリオ、あなたは仲間に恵まれていないようです。」


「は?俺が仲間に恵まれていない?どこがだよ。良いやつばっかだけどな。あとお前、多分勘違いしてる。」


「勘違い?なんのことですか?私からすれば勘違いしているのはあなたの方ですけど。」


 シスレスからすれば仲間がファルタを見捨てたようにしか見えないであろう。しかし実際はエルナが余計な魔力を消費したくなかっただけである。要するに、


「多分お前一人なら、俺一人で余裕だって話。エルナが戦わないのは俺を信じているからだ。よく知りもしないで適当言ってんじゃねえ。」


「.....ほう。私なんてただの障害の一つに過ぎないということですか。良いでしょう、今ここで、あなたを全力で葬ってあげましょう。吸着無法《自由蜘蛛(フリーウェブ)》。」


 シスレスは天井から足を離す。そのまま落下していくと思われたがシスレスは宙を蹴り高速で移動していく。


「どうですかファルタ・レイリオ。これが私の神術《吸着(アドソーブ)》の真骨頂!私の体とこの空間のあらゆるものを吸着させ空間内を自由自在に動き回る!この状態の私を追い続けることは不可能でしょう?ささ、反撃できるものならしてみなさい。」


「高速.....ねぇ。」


 実際、シスレスの動きは素早かった。空を蹴って移動するため動きも予想外になることが多く普通の人間なら目で追うのも難しいだろう。しかし、今シスレスが対峙しているのは、時間に干渉できる攻略者である。シスレスがファルタに近づいてきたタイミングで神術を使用すれば相手の速さはほぼ意味を成さなくなる。


「あと100倍速く動ければ苦戦してたかもな。」


 ファルタに向かって突撃してくるシスレスにファルタは余裕の表情で反撃する。初見で対応されたことに驚いたのか、シスレスはまさかの一発ノックアウト。


「こいつ、全然強くないじゃん。」


「どっちかって言うとファルタと相性が悪かったって感じもするけど。まあファルタなら神術なしでも勝てたか。」


 効率重視でファルタは神術を使用したが、時間に余裕があれば神術を使わずに落ち着いて攻略していただろう。


「それよりも、さっきこいつが言ってたことだけど、」


 ファルタが戦闘?を終えて一息ついていた時、また眼の前に魔法が放たれる。背後には5人組の、おそらく一つのギルドで固まって行動している魔道士の集団がいた。


「はぁ!?またかよ!なんでこんなに狙われなきゃいけないんだよ!しかも数が多いし。エルナ、ここは一旦逃げるぞ。」


「了解!それにしても、さっきのやつといい、この魔道士集団といい、ファルタが異様に狙われてる。さっきのやつに関しては殺すって言ってたし、こいつらもそれが目的かも。」


「エルナを狙ってないあたり、全員目的は俺個人。でも、狙ってくる奴らは別に面識があるわけじゃねえ。てことは多分、俺を殺すように指示しているやつがいるな。」

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