集う強者たち
中央大陸の中心部に位置する大国《フルガ》、そこで行われる数年に一度の行事、《精鋭攻略者選別戦》。そしてその開催日、世界中の攻略者が一同に集まり開催式が始まろうとしていた。
そして、とある宿屋にて、一人の青年は立ち上がる。
「.....ついにか。あいつと、俺の運命を決める日。............行くか。」
ギルド名《フィンブルヴェト》の団長ファルタ・レイリオは立ち上がる。因縁の相手との戦いに決着をつけるために。
ーーーーーーーーーー
精鋭攻略者選別戦はフルガの中央にある王都にて行われる。王都内に存在するギルド本部が運営する闘技場に攻略者は集う。
「お、ファルタやっと来た。もうちょっと早く来れなかったの?」
「悪いエルナ、いろいろ気持ちの整理が追いつかなかったっていうか。まあでも、気持ちはいくらか整理してきたつもりだ。絶対に、勝つぞ。」
ファルタの気合の入った言葉にフィンブルヴェトの団員たちは同じく気合を入れる。エルナは、この一週間で19種類の主の力を集めてきたらしい。以前よりは少ないらしいが十分戦力になる。
ジェイドはいつも使用している剣は背負っておらず青く輝くまだファルタたちが見たことのない剣を持っていた。どうやら大事なときに使用するいわゆる勝負服のようなものらしい。
レイシャは腕につけているグローブや靴など装備品が大きく変化していた。どうやら一週間のうちに自分専属の裁縫師がいるらしくその人に頼んで作ってもらったらしい。
ライカは、深くフードを被り普段はつけていない仮面までつけていた。死神と呼ばれている攻略者の正体が自身であるということが意地でもバレたくないのが伝わってくる。先程から数人正体を探ってきてはいるが慣れているのだろう、あっさりと追い返している。
「にしても、結構人数多いんだな。」
「確か過去最多の57のギルドが参加してるって言ってた気がする。一つのギルド5人だから今ここには285人の攻略者が集まってるってことだね。」
「王国守護攻略者になれるのは6人。なれるのは大体2%ぐらいか。そう考えるとやっぱ残るのって厳しいんかな。」
以外にも計算が早いファルタとレイシャ。単細胞に見えて実際には熟考派なのだろう。
「さあね。でもあんたたちは一回Aランクを攻略してる、そんな簡単に負けたりしないでしょ。」
ファルタに対してあまりいい印象を抱いていなそうなライカであったが実力は認めてくれていたらしい。そこで突然、一人の攻略者がこちらへ寄ってくる。
「あれ、もしかして........やっぱりジェイドだ!久しぶりー!」
年齢はファルタたちとほぼ同じだろうか。背は女子にしては少し高めで背中に一本剣を背負っている。
「ん?あー、アラナクか。お久〜。ここにいるってことはお前も」
ジェイドが話し始めたとき、ジェイドの視界が塞がる。目の前に何かが降ってきた。それが後に精巧な大刀であることに気づく。
「貴様、なんだその呼び方は?馴れ馴れしいにもほどがあるな。お前はこの方が、我々《ユグドラシル》の団長、アラナク様であるとわかっての発言か?」
「はいはい落ち着いてクルーシェ。別に私は気にしてない。というかこの呼ばれ方は慣れてるし。そっちの人たちはジェイドのギルドの人?どうもー!私ギルド《ユグドラシル》で団長やってます、アラナク・アリアヴァンです!ジェイドとは幼馴染なんでまあ仲良くしてやってください。」
アラナクと名乗った少女はどうやらジェイドの幼馴染であるようだ。しかし、二人は真反対とも言える性格であまり気が合うようには見えないが。
アラナクに続いてファルタたちも一人一人簡単に自己紹介をする。
「でも意外だなー。ジェイドって仲間と協力するの苦手なのにこういうイベント参加するなんて。いつも無茶言って見捨てられるのがオチじゃん。」
「うるせー。俺の作戦についてこれない奴が悪い。それに、このギルドの奴らは今までの奴らとは違って、居心地がいいしな。」
「ふーん。というか、今日はそっちの剣持ってきたんだ。てっきりもう使わないと思ってた。」
幼馴染であるアラナクは今ジェイドが背負っている剣の正体を知っているようだがあまりいい表情は出さなかった。
「......お前が、来てると思ったから持ってきた。まぁ、俺の戒めみたいなやつだし。」
「そっか。ならいっそのこと」
「アラナク様!これ以上は時間の無駄です。ここに集った以上我々は敵同士、過度な接触は控えた方がよろしいかと。」
アラナクの話を遮って隣に立っていたクルーシェという人物が撤退をしようとする。
「えー、まあいいけど。じゃあジェイド、また後でね。」
「おう。またな。」
簡単な挨拶をして離れようとするアラナク。そばにいたクルーシェはどこか気まずそうな表情をしていたが、社交辞令というやつか、自身の名前だけでもと名乗ってきた。
「俺はクルーシェ・レリテクスだ。二次まで残れるといいな。」
クルーシェと名乗った男はジェイドに対して煽りとも捉えられる言葉を残してアラナクと共に去っていく。アラナクの背を見るジェイドの目は少し苦しそうであり、覚悟を決めたような目でもあった。
「お前、なんかあったのか?」
「....まあ、昔な。お前とイスカみたいなもんだ。個人の話だし気にしなくていい。」
気なさなくていいとは言われてもファルタとイスカと同じと言われると流そうにも聞き流さない。しかし、当の本人はかなり嫌そうな顔をしていたので深追いはしなかった。
「あの、ファルタさん!」
呼ばれた方を見てみるとそこにはオリエンタ・カスラートの姿があった。
「リタか!久しぶりだな。ここにいるってことは、お前たちのギルドも参加するってことか?」
「はい!正直今の俺たちがここにいる人たちに通用する実力を持っているかはわからないです。けど、何もしないで負けるのは嫌なので!それに、俺はあなたと戦いたいですから。」
リタも以前に比べて相当実力をつけているのだろう。この選抜戦に参加したからには全力をもって挑んでくるだろう。そして最後の意気込みにファルタは答える。
「当然、負けねえけどな。俺もお前とは戦ってみたかった。勝てよ。」
「はい!」
二人が互いに宣戦布告したところでファルタは遠目に見覚えのある人物を見つける。その人物もファルタの存在に気づいたようでこちらに歩み寄ってくる。
「イスカ.....もう、この前みたいにはいかねえからな。次は絶対俺が勝つ。」
「勝手に言ってろ。この短期間でお前がそれだけ強くなったのか、どうやって強くなったのかはあらかた見当がついてる。けどな、強くなったのはお前だけじゃねえ。絶対に、俺がお前を殺す。」
イスカの発現と風格にその場にいたリタは足がすくむ。余計な言葉はいらないのかイスカはそれだけ言ってすぐさま元の場所へと帰っていった。
そしてその直後、闘技場の上階におそらく運営者の一人であろう人物が現れる。
「皆様、ご注目ください。」
闘技場内にいるすべての人物が一点に集中する。
「これより、精鋭攻略者選別戦の概要を説明します。また第一次審査の詳細も続けて説明しますのでよく聞いておいてください。」
世界中から集った強者たちの祭典がついに幕を開ける。
多分次回も導入で終わる。




