理想とは現実にありえないものであり、どこかに違和感がある
半分ネタ回
「よーお前ら、久しぶり。て言っても3日か4日ぐらいしか経ってないけど。」
「あれ?ファルタ帰って来たの?てっきりもっとギリギリに帰って来ると思ってたんだけど。」
「よーレイシャ、お前しかいないのか?」
フィンブルヴェトが住み着いている宿屋の一室にはレイシャ一人しかいなかった。
「ジェイドはここ最近顔を見せてないよ。エルナだったら一人で勝手にダンジョン攻略してるからそのうち戻ってくると思うんだけど。」
そんな事を言っていたらちょうど入口からエルナが入ってきた。やけに精神的に疲れていそうな顔で。
「ちょっと聞いてよレイシャー、昔行ったダンジョン入ったらファルタがさー」
「俺がどうかしたのか?」
「実はファルタがねーって、...............へ?」
戻ってきてそうそうエルナはファルタを見てやたらと動揺していた。ダンジョンでなにかあったのだろうか。
「なななななななんなんなんなんでファルタがいるの!?」
「いや俺もさっき帰ってきたばっかだけどさ。修行に一通り区切りがついたから一旦戻ってきたってわけ。で、俺がどうかしたのか?話聞くけど。」
「ごめん、無理!ファルタ一回どっか行ってきて!」
エルナは半ば強引にファルタを部屋から追い出した。ファルタは一切状況が呑み込めていなかったがなにを言っても部屋に入れてくれないので外を出歩くことにした。
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「なんで、いるかなー.....」
「急にどうしたのエルナ、ファルタのこと避けるなんて珍しいね。なんかあったの?」
「.......ちなみにレイシャって私がファルタのことどう思ってるのか知ってるの?」
「どう?信頼しあってる仲間?」
エルナはそれを聞いて胸を撫で下ろす。エルナがファルタに対して好意を抱いていることがバレていないか不安だった。もっともジェイドにはバレているが。
「でもエルナってたまにファルタのことすごい好きだなあって目で見てるよね。」
前言撤回、思いっきりバレてた。レイシャは恋愛面に関しては鈍感な方だと思っていたのでレイシャにバレているとなるとファルタにもバレているのではないかと不安になってしまうのである。
「その反応見る感じやっぱファルタのこと好きなんだ。で、なにがあったの?」
「好きなのは認めるけど.....いやーさっき行ってきたダンジョンの主が使ってくる神術が信じられないくらい厄介だったんだよね。」
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遡ること一時間前、エルナは一人ダンジョンの攻略に来ていた。ダンジョンそのものの難易度はBランク寄りのCランクということで少し難易度の高いダンジョンではあったが道中は特に苦戦することはなく最奥までたどり着くことが出来た。
「あれが主《スュン》、確か魔道士タイプだった気がするから後方から魔法を数打てば勝てるかな。」
スュン姿は大きな杖を持った明らかな魔道士タイプであった。エルナが魔法を打とうとすると同時にスュンも魔法を放つ。
「《灼熱の一線》」
「幻惑無法《夢幻の蜃気楼》」
(....魔力の、霧?)
スュンは魔力で作られた霧を辺り一帯に撒き散らす。霧による攻撃は普通の攻撃と違い簡単に避けることができるものではない。
(この霧は避けれない.....攻撃が来たら瞬時に反応するしかないか。)
最奥の部屋全てを魔力の霧が埋め尽くす。しばらくして霧の中に一つ、影が浮かび上がる。
「無事か!?エルナ!」
「え?なんで、ファルタがここにいるの?」
霧の中にはなぜかファルタの姿があった。今現在ファルタはガーデニクスの元で修行を行っている。暇つぶしにダンジョン攻略をしている可能性がないわけではないが数多の数存在するダンジョンの中からエルナがいるこのダンジョンを選ぶ確率は極めて低い。
「なんでって、お前が心配だったからに決まってるだろ。」
「心配?」
「俺は、お前のことが大切なんだ。一生大切に守っていきたいと思うくらい。」
その時、エルナの思考回路は一気にショートした。
「な、へ、ちょ、まっ、ファルタ、急に何いってんの?」
「そんな変なこと言ったか?好きなやつのこと心配して助けたいって思うのは普通だろ。どうせなら、もう、このままここで一緒に過ごそうぜ。」
(ファルタと一緒にここで過ごす.....そんな未来も別に良い...........って、)
「良いわけ無いでしょ!」
一瞬、ファルタの言うことに流されそうになったエルナだったが直前で意識を取り戻す。自身の事を好きでいてくれるファルタなんてエルナにとって最高の人物なのだが。
「あんたはファルタなんかじゃない。ファルタなら、仲間のことをもっと信頼してる。Cランクなんかで私が苦戦するなんて思ってない。心配して助けに来るなんてありえない。」
ファルタは仲間のことを深く信頼している。しかしそれは仲間の実力を認めているからである。よほどのことであれば流石に助けに行くが些細なことであれば大丈夫であろうと割り切って自分を優先する。
「私が好きになった人はお前みたいに仲間の実力を認めていないようなやつじゃない。偽物はさっさといなくなって。」
エルナはファルタ(偽)に向かって明らかなオーバーキルの威力な魔法を放つ。そしてそのまま、スュンにも向かって高威力な魔法を放つ。ちなみにスュンの神術は《幻惑》、幻や現実ではありえないことを実態として作り上げる。先程のスュンの技は相手の理想を実態として登場させる神術である。
「私の理想で、弄ぶなぁぁぁぁぁ!」
ほぼ半分怒りに任せて投げやりに魔法を放つ。人とは、感情に身を任せたときに利益を得る時もあるらしい。
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「なんというか、エルナ普段そんな事考えてるの?」
「いや私そんなやばいほど独占欲持ってないから。.....まぁ少なからずそういう気持ちを持ってるのも否定はしないけどさ。」
「好きなやつがいるってのは大変だな。」
エルナとレイシャが話していると部屋にジェイドが入ってきた。
「おおジェイド久しぶり、ていうか今までどこ行ってたの?ここ数日ずっと姿見せてなかったけど。」
「......実家。ちょっと予定があった。そんだけだ。それよりもファルタはどこだ。まだ戻ってきてないのか?」
「あーーそのーーえーーっと、ファルタは一回戻ってきたんだけど訳あってまたどっか出かけてるよ。多分そろそろ戻ってくるんじゃないかな。」
エルナがそんな事を言えばちょうど部屋の扉が開く。
「エルナ、そろそろ入っていいか?もういい加減一人寂しいんだけど。」
「ああごめんファルタ、もう良いよ。さっきはごめんね。」
そうしてファルタが入ってきたことで久しぶりにフィンブルヴェトの四人が集合したことになる。そして最後にもう一人、部屋に入ってくる人物がいた。
「まだ仕事が残ってるから、なるべく手短にお願い。」
「ライカ、お前も来たのか。」
まだ夕方なので仕事は残っているのだろうが途中で抜け出してきたのだろう。
「よし、これで五人全員揃ったな。ライカも悪いな、無理して時間作ってもらって。」
「そういうの良いからさっさと話して。」
「分かった。じゃあまず俺が五人集合させた理由だけど、結論から言えば、俺達は個が少し強すぎる。つまり、連携があまりとれてない。でも、一人ひとり確実に実力はある。ならやることは一つ、ズバリ、連携力をつける。特にライカは入団してまだ数日、俺達の動き方も分かってない状況、そんな状態で選別戦に挑んでも最悪一次審査も落ちる。」
「なるほどな、要するに俺達が今からやるべきことはお互いを理解して協力する力をつける。て、言うことか。」
「そういうこと。だから今から俺達は時間が許す限り一緒に行動して互いを理解する時間を作る。選別戦までに、俺達の実力向上だ。」
フィンブルヴェトは覚悟を決める。ファルタはもう一度気を引き締める。そして、決戦の日までの時間はすぐに過ぎ去っていく。
書く予定はなかった話ですがなんか書きたくなったので書き始めた話です。正直物語の本筋には一切関係ないです。




