VS 元最強
やはりファルタは、王国守護攻略者の第一位をも上回る潜在能力を秘めている。
「神術を使っていたとしても結果は結果、しっかり反応できてるじゃないか。このまま同じように繰り返していけば、そのうち神術なしで防げるようになるさ。」
「だといいけどな。」
「よしファルタ、今回はここで一旦終了だよ。次は夕方だからしっかり休んでな。」
「は?なんでだよ。まだどっちも倒れてないだろ。」
ファルタが自身の苦手な攻撃に反応することができたことは事実だがファルタもガーデニクスも倒れていない。今までの流れであれば戦闘を再開するのが普通である。
「ちと調べたいことが出来ただけさ。夕方までには終わる、それまで好きに修行をしてな。」
「なんだよそれ。納得いかねえけど仕方ないか。じゃあダンジョン行ってくるから出来れば時間測っといて。」
そしてファルタはすぐさまダンジョンに向かって走って行った。
「....はぁ。まあ実際はあの反応力をしっかりと見に付けてほしいからなんだけどね。」
ファルタは自身の苦手な部分を克服できたとはいえまだ一度防げただけ、実践で再び反応できるようになるかは分からない。そのためなるべく実践を経験させてしっかりと実力を身につける必要がある。
「あいつは、どれだけ強くなれば満足するんだろうねぇ。まるで限界が見えやしない。このままあいつは最強ってやつになっちまうのかねえ。この様子じゃ、あたしの理想を手にするのも時間の問題だね。」
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「戻った!何分だった!?」
「....これは流石にあたしも驚いたね...。12分、わずか2日でここまで早くなるなんて、天才を通り越して異常だよ。」
どれだけ困難なことでも繰り返し行うことで体が覚えていき最終的には見違えるほど成長する。とはいえファルタがここまで異常な速度で成長するのはガーデニクスにとっても想定外な事態であった。本来なら一週間はかかるであろう実績をファルタは僅か2日で成し得たのである。
「ここまで来たら、次のステップに言っても良いころかね。」
「次のステップ?」
「いいかいファルタ、強いやつが戦闘中に常に行っていることは数えたらきりがない。いくつか言うとすれば、自分の思考力に体が追いつくようになること、先の出来事を予想しながら行動すること、ときに残酷な手段を取る覚悟を持つこととかかね。」
ガーデニクスも過去に最強と言われた存在、戦闘中にこれらの思考は常に頭の中に入っているのだろう。仲間との友情を重んじるファルタにとって特に3つ目に言われたことは心に強く響いた。
思い表情を崩さないファルタにガーデニクスは追い打ちを仕掛ける。
「なあファルタ、これはあたしの勝手な思い込みなのかもしれないけどね。あんた、もし仲間が今にも死にそうなとき、自分の命をかけることで助けられるなら、自分の身すら犠牲にするんじゃないのか?」
仲間のために自身の命を失う。仲間に命を賭けることはあるだろうが誰かのために本当に死んでもいいかと問われると簡単に頷くことは出来ない。ただし、それは一般論であり、ファルタ・レイリオは仲間のことを溺愛と言っていいほど大切にしている存在である。
「.....多分、時と場合によるとは思うけど、あんたの言うとおりだと思う。流石に全く強くない見知らぬやつを助けようとは思わないけど、うちの団員とかなら迷わず庇うと思う。」
「なるほどねぇ、そう言うと思ったよ。まぁ、別にあたしはそれが悪いって言いたいわけじゃないんだ。ただ、そういう考えを持つならその先のこともしっかり考えてほしいってことさ。いいかいファルタ、命をかけて助けたあんたは、世間から英雄扱いかもしれない。けどね、あんたが助けた本人にとってあんたは、ただの呪いにしかならないんだよ。」
自分のせいで誰かが死ぬ。実際には相手が勝手に行ったことなので当の本人は一切悪くないのだが、それでも自分に責任を押し付けて意図せず苦しめてしまうのが人間である。
「あたしが言いたいのは要するに、覚悟をしっかり持ちなってことだよ。あたしが教えたかったのはそれだけさ。」
「.....覚悟か。俺にも持てるとき来るんかな。まあそれは後々ってことで、今はあんたに勝たなきゃだからな。」
「ふん、そんな簡単に負けてたまるかって話さ。さて、2戦目と行こうか。」
ガーデニクスが話し終わったところで2日目の2回目の戦闘を開始する。今まではある程度様子を見ながら戦闘を行っていたファルタだったが今回は早々に神術を使って一気に攻め込む。
不意を突かれたガーデニクスは反応に少し遅れる。
(先手必勝ってことかい!しかもその後の動きも隙がほとんどない。ほんとに昨日と比べて見違えるほどに強くなっとるね。)
その後、結果的にはガーデニクスが勝利したが、着実にファルタは勝利に近づいていた。
〜3日目〜
修行3日目、ついにその時がやってくる。
「さてと、3日目。いつでも良いよ!」
「んじゃ、いくぜ!」
先日同様神術を早々に使い先手を切るファルタ。ガーデニクスも即座に反応するが昨日とは違いファルタは特殊な行動に出る。
「な!?武器を....投げた!?」
ファルタは手に持っていたフリィティングの片方を思いっきり投げる。想定外のファルタの行動に驚きガーデニクスは視線が投げられたフリィティングへと向けられる。その隙を見逃さなかったファルタは神術で一気に距離を詰めもう一本の剣でガーデニクスに攻め込む。
「速い!けどね、あんた片手剣は慣れてないだろう?剣技であたしは負けないよ!」
「別に片手で戦う気なんてねぇよ!」
そういったファルタは神術で投げた剣を速攻取りに行った後再び剣を投げる。そして取りに行くという行動を繰り返す。
(投げて取りに行く行動を繰り返すことで四方八方からいつ攻撃が来るか分からない状況を作り出す!これが、刻限無法《刻の拷問》)
ファルタが放った技は攻撃の回数を極限まで増やすことで敵の意識と反応速度を削ぐ技、どれだけ視野が広くても刻限によって時間に干渉するファルタの速度には最終的にはついていけなくなる。
「.....まさか、たった3日で成し遂げるなんてねぇ。」
隙をついたファルタの剣はガーデニクスの首元ギリギリまで迫っていた。一瞬でも動けば切りつけられる位置、つまりファルタがガーデニクスを倒したのである。
「勝ったぜ、先生。」
「まさかあんたにこうも簡単に負けるなんて、あたしも老いぼれたもんだね。まあ、平和ボケでほとんど動いてなかったのもあるけどね。でも、負けは負け、あんたの勝ちだよファルタ。」
「とりあえず第一目標達成ってとこだな。でも、俺はまだまだ未熟もんだ。先生だってどうせ暇だろ?当日までなるべく自分の弱さを補填しておきたいから頻繁に通わせてもらうからな。」
修行に一旦区切りがついたとはいえ修行が終わったわけではない。仲間に会えないという縛りが解除されただけなので別に修行を辞める必要性は一切ないのである。
「まあ好きにしな。でも、まずはあんたの仲間にあってやりな。」
「ああ、というか俺も会いたいし。」
ということでファルタの修行編、終了。
修行編は書くのが難しい。




