選別戦と5人目
「当然だ、フィンブルヴェトも参加する!」
「....迷いはないようだね。」
「その選別戦、あんたの言い方からしてイスカも出るんだろ?さっきのリベンジもしたいし、それに....過去の因縁を終わらせたい。」
ディーレはファルタとイスカの過去については何も知らない。しかし、ファルタの目から強い意志を感じることができる。ディーレは微笑み語りかける。
「やはり君は、良い器だ。分かった、じゃあ選別戦の詳細についてはレセカにお願いするよ。彼女は今回の選別戦の最高指揮官なんだ。多分僕よりも頼りになるから色々聞くと良いよ。」
(ディーレさんが.....私に期待してくれている!ここは意地でも素晴らしい対応をして私の凄さをアピールしなければ!)
「じゃあまず選別戦の大まかな流れについて。選別戦では一次審査と二次審査があって一次審査を通過したギルドのみ二次審査に参加できる。審査内容は毎回違うから詳細は教えられない。そして優勝したギルドにはなにか一つだけ、何でも望みを叶えられる権利が与えられる。」
「なんでも!?」
何でもというのは言葉の通りの意味だろうか、もしそうなら借金返済はもちろん兄について知れるかもしれないという先ほどの話にも納得できる。
「当然限度はある。時間を止めたいとか世界を滅ぼしたいとか明らかに不可能だったりしてはならない望みは叶えられない。でもその他なら可能、やろうと思えば国王の地位を得ることだってできる。」
限度はあるもののそれも最低限、基本的にどんな願いでも大丈夫なのだろう。
「選別戦の最中は当然殺害、殺人未遂等の行動は禁止。ポーションとかの利用も基本的に禁止。それ以外の武器の利用、持参は大丈夫。後は審査の時に追加で色々言われるかもしれないけど臨機応変に対応してね。」
「....選別戦って毎回どのくらいのギルドが参加するんだ?」
「その時によって結構バラつきがあるからなんとも言えないけど、平均してみればだいたい50前後の数のギルドが参加してるんじゃないかな。」
50、多いか少ないかは人それぞれだろうがこの中から一つのギルドのみ勝ち残るとなるとかなり至難の業であるのは確実だろう。
「多いかもしれないけど、ファルタ君たちなら大丈夫でしょ。期待してるよ。」
「じゃあ参加するってことで良いんだよね?」
「あぁ!もちろん、フィンブルヴェトは参加する!」
「じゃあこの紙にギルド名と団長の名前を」
「ちょっと待って。」
参加の手続きを終えようとするとディーレが割って入ってきて参加を遮る。
「実は、ファルタ君たちはまだ参加できないんだ。」
「え?なんで。」
「この選別戦、ギルドでチームを作るんだけど一つのチームの人数は5人で固定なんだ。」
一つのチームにつき人数は5人、4人以下でも6人以上でもだめということである。また同じギルドに所属していないものでチームを組むことも出来ない。よって一般人を参加させることも出来ない。
ところで、現在フィンブルヴェトの団員はファルタ、ジェイド、エルナ、レイシャの四人である。つまり
「あと一人足りないってことか?」
「そう、だからファルタ君には急いであと一人ギルドに引き入れてもらわないといけない。」
「まじか、でもあと一週間もあるじゃん。頑張れば出来ないことも」
「ちなみに参加の締切は明日までだから。」
ファルタは今明確に怒りを覚えた。この人大切なこと伝えるの遅すぎじゃないか。
「じゃあ明日までにギルドに入ってくれる人見つけろっていうのか!?そんなんいくらなんでも無茶だろ!だいたいあんたがもっと速く伝えてればこんなことにはならなかったはずだろ!」
「あのねファルタ君、君たち攻略者と違って僕たちは国王直属の精鋭、いつも暇な時間があるわけではないんだ。最近は運営の件もあって忙しかったからね。」
「嘘つかないでくださいディーレさん。後輩の恋バナとか合コンとかばっかしてたじゃないですか。」
「レセカ、本当にその癖治せ、頼むから。」
兎にも角にもファルタはあと一人団員を集めなければいけなくなった。ディーレは伝えるだけ伝えてそのまま帰っていった。
「まじでどうしよう....とりあえずあいつらに相談するか。」
一人で考えていても埒が明かないためファルタは団員に協力を持ち込もうとする。おそらくファルタよりも知り合い者が多いため心強い味方になるだろう。
「というわけで、明日までに5人目を探さなければいけないわけなので協力お願いします。」
「また随分な無茶振りだな。わかった、俺達もできる限り協力してくれそうな人を探す。ただ俺のことは当てにするな、知り合いの殆どが別のギルドに入ってる。」
「私もかな、というか昔のギルドの人は私のこと嫌いだから協力してくれないだろうし正直私は一切心当たりがないんだよなー。」
「ボクもそんなに多くはないよ、一応一人だけあてはあるけどどこにいるか分からないからなんとも言えないな。」
新たな団員を探してくるよう頼みはしたがどうやら他の3人もあまりあてがないらしい。しかし諦めるわけにもいかないためファルタも僅かな希望を頼りにとある人物に会いに行く。
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「先生、いるか?」
「....その声はファルタか、何しに来たんだい?また修行をしろとでも言うのかい?」
ファルタは国の中央から大きく外れた場所にある一軒家を訪れた。その中から少し年老いた老婆の声が聞こえてくる。
「修行じゃねえよ。今回は別件、実は」
「もしあんたのギルドに入れとでも言うならぶっ殺すよ。」
先生と呼ばれた老婆はファルタの望みをすぐさま読み取り答える。
「やっぱだめか、まぁ端から期待してなんてなかったけど。いいよ、別のやつを探るから。」
ファルタも最初から協力してもらえるとは思っていなかったためあっさり諦める。しかし一つだけ言葉を残して。
「じゃあ先生、無理しろとは言わねえからさ。今度の《精鋭攻略者選別戦》、見に来てくれないか?俺とイスカが戦う、愛弟子二人の勝負くらい見に来いよ。」
そう言うとファルタはすぐに家をあとにした。
「....別に、私が見たいのは愛弟子が戦い合う姿じゃないよ。できれば、3人で協力し合う姿を見たかったんだがね。」
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「しかしやっぱ先生もだめか、本当にどうしようか。他にいるっけ?実力がそれなりにあってどのギルドにも入ってなくて俺達に協力してくれそうなやつ。」
そんな都合の良い存在がいる可能性は極めて低い。ファルタは記憶を巡らせて誰か協力してくれる者がいないかを探る。その時ファルタは思い出す。
「待てよ?いるじゃん。俺に協力してくれるクソ強いやつ。よし話しに行こう。」
するとファルタはギルド本部に向かい受付に経っている少女に話しかける。
「なぁライカ、俺のギルド入って選別戦参加して。」
「..........はぁ?」
そう、ファルタが思い至った一人の人物それは受付嬢として働きながら魂喰者という異名を持つ少女、ライカであった。
「俺のギルドあと一人だけ参加に必要な人数足りてないんだよ。頼む、俺のギルドに入って参加してくれ!最悪ライカとしてじゃなく死神としてでいいからさ。」
「いや、私が気にしてるのそこじゃないんだけど。なんで参加しなくちゃいけないの。というか、私としてでても死神としてでても変に注目浴びるのは変わらないでしょ。悪いけどほかを当たって」
「えー?良いのかなー?俺は別にお前のその秘密言いふらしても良いんだよ?そしたらめんどくさくて今まで通りの生活はまず無理だよ?自分の正体バレるくらいなら死神として世に知れ渡るだけのほうがダメージが少ないと思うけど?」
「........................分かった。。あんたのギルドに入れば良いんでしょ?そのかわり、選別戦が終わったら私はギルド抜けるからね。」
紆余曲折ありつつも、無事に5人目発見。
ライカは元からフィンブルヴェトに入れるつもりでした。




