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世界の終末が望むとき、神々は迷宮を制覇する  作者: 柊ヒイラギ
第二章:戦死者の魂は、狂者を奮わせる
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全てを込めた

今回は長め

逆襲(リベンジ)か。なかなかに厄介な神術だな。レイシャのときの分も蓄積されてるってなると流石に人数差も関係なくなってくるな。」


「貴様らの実力はあらかた理解した。ある程度の強さは認めてやろう。しかし、本気の我に勝てなければ、認める気などないが。では、構えろ。逆襲無法《本能破壊爆発キラーエクスプロージョン》。」


 オーディンは地を蹴り突き進む。その速さは先程の倍以上であり、ファルタと同等の速さにまで上昇している。


「速すぎだろ!?ジェイド、エルナが狙われないように誘導するぞ!」


「貴様はもう少し自分の身を案じたらどうだ?」


 一気に突っ込んできたオーディンはファルタに強力な突きを行う。咄嗟にリサナウトで槍の直撃は防いだが異常な速さによる突きの勢いに耐えられず壁に向かって吹き飛ぶ。


「ファルタ!まずい、あいつの能力上昇、本格的に対処できなくなるぞ。エルナ、狭くていいからなるべく強力な壁を建てて」


「戦闘中は余所見厳禁だぞ青髪。」


 ファルタに続いてジェイドも大きく吹き飛ばされる。


「さて、貴様はどうする?そのまま死ぬか、無駄に抗って死ぬか。」


「ちょっと、女の子には優しくないとだよ。当然、選ぶのは3つ目、お前に勝つ!封神無法《守護するもの(フリーン)》。」


 オーディンとエルナの間に強固な壁が出現する。しかしそんなものに臆することなくオーディンは不敵な笑みを浮かべる。


「ほう、フリーンか。あいつの能力となるとなかなか厄介だな。だが、貴様自身はどうとでもなる。ゆっくり攻め」


「無視してんじゃねえよ!」


 吹き飛ばされた後、即座にオーディンのとこ復帰するファルタ。勢いに任せて剣を振るいオーディンを後退させる。その後ファルタに続いてジェイドもファルタのもとに戻る。


「エルナ、ジェイド、無事か!?」


「私は大丈夫、ジェイドは?」


「俺もとりあえず無事だ。だが、あの速さはどうしようとも簡単に対処できない。アイツがグングニルを手放してくれれば少しは勝機が見えてくるが。」


「なら、俺に作戦がある。」


 ファルタの作戦、それは無謀でもありかつ希望の見える作戦でもあった。


「あいつの槍が邪魔なんだろ、でもあいつが手放した所ですぐに手元に戻る。てことはさ、あいつから武器を奪うには、あの槍を壊す以外ないだろ。」


「お前、正気か?確かにグングニルを破壊すれば勝てるかもしれない、でもそれはあいつを倒すのと同等の難易度だろ。あいつが素早く動かす槍を性格に見極めてピンポイントで強力な一撃を与える必要がある。そんなこと簡単にできるわけがない。」


「ジェイドの言うとおりだよ。私の力じゃあいつを足止めすることだってできない。それにそもそも近づいた状態で避けることだってできない。いくらなんでも非現実的すぎるよ。」


「いや、いくらなんでも俺だって勝算の低い作戦を無理にしようとは思わない。多分俺なら、避けれる。確証はないけど、俺を信じてくれ。」


「....もし、無理そうだったらすぐに切り上げて別の作戦に切り替える。今のところそれが最善だからやるだけだ。絶対に死ぬなよ。」


 お互いに作戦を理解し自分の役割を理解する。そしてファルタは再びオーディンの前に姿を現す。


「作戦会議は終わりか?我を倒す算段はついたようだが、我は貴様らに手を抜くつもりは毛頭ないからな。」


「ああそれで大丈夫だ。それに今からは俺と一対一だ。後ろの二人は俺を倒してからな。」


「....ほう、随分な自信だな。」


「お互い様だろ。」


 二人は武器を構える、そしてぶつかり合い、剣を交える。オーディンの重く、光速の槍さばき、それに対応するファルタの音速にも匹敵する剣さばき。まさに二人の戦いはとてつもない高レベルの戦いであった。


(この作戦は、俺がどれだけ耐えられるかにかかってる。こいつが、神術を使うまで耐えれば....多分!)


「我の動きについてくるか、貴様の剣技は一級品だな。しかし、それだけだ。我についてこれても超えることはできない。3人で攻めなければ勝ち目はないぞ。」


「勝手に言ってろ、どうせ勝つのは、俺達だ!」


「そうか、ならその無謀な勇気を、打ち砕いてやろう。逆襲無法《心念の反撃》。」


(来た!こいつの神術、あとは....お前の出番だ、ジェイド。)


 オーディンが神術を使うと同時にファルタは数歩距離を取る。そしてジェイドが後方から前線に上がってくる。


「死神の構え《地獄の洞穴》。」


 オーディンによって飛んでくる爆発的な一撃をジェイドは完璧に受け流す。オーディンは僅か1秒にも満たない時間、動きを停止する。たった1秒、されど1秒。戦闘においてこの1秒は大きな意味を持つ。


「ナイスだジェイド!エルナ、頼んだぞ!」


「了解、封神無法《勇気ある心(ヘルモール)》!」


 ジェイドによる敵の圧倒的な隙、エルナによるファルタの攻撃力の上昇、全てが噛み合ったときファルタはリサナウトを構える。


(今ここで使えば、仲間(あいつら)にも被害が入るかもしれない。使いこなせる保証なんてないのに。でも、それでも、あいつらは俺を信じてくれた。だから俺は、ここで決める。ここで本気の一撃をぶつける!)


(我を狙うか、ならば神術で体のダメージを最小限にするまでだ。)


「逆襲無法《悲観の怒り》。」


 ファルタは、自身の魔力をこの一撃に込める。


()()()()《刹那の夢》。」


 ファルタが今まで封印していた奥の手《刻限(クロノス)》、刹那の夢の能力は世界のときの流れを百分の1として自身の動きを周りの百倍以上にする。その勢いによる一点を集中して狙う強力な一撃。その時間をも操る一撃はグングニルに直撃する。


ーーーーーーーー


「ファルタ君、もう一つだけ良いかい?」


 レイシャに会う前、ディーレと話していたファルタはこう言われる。


「君のその武器、一級品だしそう簡単には壊れない、最高品質のものであることは確かだ。でも、どんなに優れたものでも必ず限界が来る。その剣も、もう長くは持たないだろうね。その時新しい武器が必要になるけどその剣と同等の武器が見つかる可能性は低い。だからその武器を今後使うときは、あまり無茶して使っちゃだめだよ。」


ーーーーーーーーー


 グングニルとぶつかったリサナウト、オーディンの手には少し傷の入ったグングニル、そしてファルタの足元には砕け散ったリサナウトの破片が散らばっていた。


「ハァ....ハァ....マジ....かよ?」


 目の前でおきた衝撃の事実にファルタは唖然としている。それを見たオーディンの顔は先程までとは打って変わって怒りにも近い感情が湧き出ていた。


「貴様....なんだ今のは?刻限だと?まさか貴様本当に....は、ハハハ、しかし貴様、見誤ったな。神物(アーティファクト)がそう簡単に壊れるわけがないだろう。貴様の攻撃自体は良かったが、武器がそれに耐えうることができなかったようだな。」


(最悪だ....武器がないとこいつに勝つことなんてできない。このままじゃ、負ける。)


「もう少し遊んでも良かったが、予定が変わった。今ここで、貴様を殺す!」


 グングニルを大きく振りかざすオーディン、直前でジェイドが引っ張ったためなんとか躱すことはできた。


「大丈夫かファルタ?お前の武器ああなっちまったが、戦えるか?」


「無理だ....リサナウトがないと俺はここじゃただの邪魔者だ。このまま戦った所で勝ち目なんてない。悪い....また、俺のせいで....負ける。」


 ファルタの心はすでに折れていた。しかし、それでも彼女は決してめげなかった。


「ふざけないで、私はあなたを信用してるからここにいる。あなたが何か一つ失敗した所で攻める気なんて一切ない。それに、私はまだ勝機があると思ってる。」


 その言葉を聞いて、ファルタは衝撃を受ける。しかし、エルナの目は本気だった。決してただの慰めでないことが伝わってくる。


「要するに必要なのは武器でしょ、だったら私が用意する。ジェイド、15秒、全力でオーディンの気を引いて、15秒経ったらファルタはオーディンにむかって走り出して。そのタイミングに合わせるから。」


 何をしようとしているのか、それは一切わからなかったが、今はただ信じて従うまでである。


「よし、行くぞ!」


 まず、ジェイドが前に出る。オーディンはジェイドに微塵も興味を示さないがそれでもジェイドはオーディンに食らいつく。


「頑張ってジェイド、封神無法《優れた名工(ヴェルンド)》。」


 エルナは優秀な鍛冶師ヴェルンドを呼び出す。


「彼に合う最高品質の二刀流の武器をお願い、対価は....私の今ある全魔力、そして、私が持つ神の力全てよ。」


 エルナの発言にヴェルンドは頷き、それと同時にジェイドとファルタは入れ替わるように動き出す。


「ファルタ、これで満足でしょ!最高品質の武器、私の全てを込めた武器。名前は、《フリィティング》!」


 武器を手にしたファルタはオーディンの前に立つ。


「良いねえこの武器。最高だ。」



オーディンの神術解説


《本能破壊爆発》

大層な名前をしてますが簡単に言うと高速移動です。地面に強力な負荷を与えて地面に無理やり反撃を行わせその反動で移動するというもの。多分いちいち地面殴んなきゃいけないから使い勝手は悪そう。


《心念の反撃》

簡単に言うとカウンターです。ただジェイドの使った技が相手の技を無効化するものだったので不発に終わりました。


《悲観の怒り》

体の憎悪や復讐心を原動力として体を鎧で包むというもの、多分ファルタの攻撃受けてたら相打ちぐらいまでは行くんじゃないかな。

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