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世界の終末が望むとき、神々は迷宮を制覇する  作者: 柊ヒイラギ
第二章:戦死者の魂は、狂者を奮わせる
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反撃開始

「俺の仲間に結構なことやってくれたじゃねえかよ、オーディン。」


 オーディンの視線の先にはレイシャを抱えて離れるファルタと回復を行うエルナの姿があった。


「大丈夫かレイシャ、随分とひどいやられようじゃねえか。」


「ハハ、流石に....ボクもやばいと思った。助けてくれなきゃマジで死んでたと思う。でも、君が来る前に倒しといたら面白そうだなーって思ったからさ。やりたくなったらすぐに実行に移すタイプだからさ。」


 レイシャを床に下ろしてファルタはオーディンに向き合う。


「貴様は....確かそこの者の仲間か。ファルタと言ったか、懐かしくも腹ただしい名前だな。」


「初対面のやつに懐かしいとか使うなよ。正直不安な気持ちもあったんだけど、レイシャ一人でそこまで追い詰められるぐらいの強さなら、案外すぐ終わるかもな。ジェイド、エルナ、行けるか?」


 離れていたジェイドはファルタに近づく、エルナは今だレイシャの回復を行っているため少し時間が必要になりそうだ。


「俺は大丈夫だ、見ててわかったことなら伝えられる。」


「ごめんもう少し待ってて。レイシャの回復が終わったらすぐに加勢するから。」


「いや、ボクの回復は後で良い。さっさと加勢しに行きなよ。」


 レイシャはそういう。しかしレイシャの体は決して万全と言える状態ではなかった。切り傷や捻挫もしているように見える。


「流石に今ほっとこうと思うほど私は薄情じゃないよ。少なくとももう少しは」


「確かにそうだけど、ボクは今魔力がほとんど残ってない。だから回復した所でほとんど加勢できない。だったらその残ってる魔力、全部あっちの二人に使ってあげなよ。ボクは魔力と一緒に体力の自然回復を待つよ。」


「....分かった。その代わり私達の邪魔になるようなことしないで、大人しくしててよ。」


「先の拳はなかなか良いものだったが、貴様らは我が認めるに値するか、楽しませてもらうぞ。」


 オーディンは不敵な笑みを浮かべながら槍を構える。


「オーディンはレイシャとの戦闘でいくらか疲弊してるはずだ。一気に攻め入るぞ。」


 まず最初に切り出したのはファルタ、リサナウトを抜き爆進(ブースト)で攻め入る。それに反応したオーディンは槍をファルタにむかって投げる。


「俺に当たるわけ無いだろ、そんな攻撃!」


「どうだろうな。」


 背後へと抜けたグングニルは方向転換してファルタに襲いかかる。


「勝手に向きが変わった!?まじかよ。」


「《氷楔の檻(ウェッジズプリズン)》。」


 ファルタに向かって行くグングニルをエルナは凍りの塊で受け止める。グングニルは一度こそ動かなくなったが早い段階でオーディンの元へと戻っていく。


「サンキューエルナ、追尾は防ぎきれたか。というかなんだよあの槍、普通の武器じゃないのか?」


「あれは神物グングニルだ。能力は3つ、投げた時に相手を自動追尾、投げたあと手元に自動で戻って来る、攻撃を当てた相手の魔力量がわかる。他に何があるかは分からない、だが、こんな能力がなくともアイツの槍さばきがそもそもやばい。不用意に近づいたらすぐやられる。距離を取って地道に攻めていかなきゃだな。」


「なるほどな。でも、俺の速さだったら多分避けれるんじゃないか?」


 ジェイドも大方そんなことを言うだろうなー、って思っていた。なぜならファルタっていう男はどれだけ死ぬかもしれない状況でもだいたいなんでも挑戦しようとする性格なのだから。しかし、今回こそはジェイそも流石にきつく言う。


「お前なあ、さっきのレイシャの状況を見てたからこそ言わせてもらうけど、多分避けれるかはすごい微妙だ。どれだけ速くても」


「はいはいそういうの良いから。まずは挑戦してみないと分からないだろ。ヤバそうだったら下がるからまずは試す。爆進無法《(はやぶさ)の太刀》!」


(速いな...だが、それだけで躱せるほど我は甘くないぞ。)


 世界最速の速さを持つ動物の一種、隼。その速度は時速300km以上にも達すると言われている。その速さで突き進むファルタはオーディンの槍を躱しながら突き進む。


「どうした?当てられるんじゃないのか?」


「....貴様の神術、ただ速くなる神術ではないようだな。ただ速くなるだけなら前に進むだけで目の前からくる素早い攻撃を反射で交わすことは不可能なはずだ。それを完璧に躱しているということは、本質は速さというより時間に関係しているようだな。」


「へー、今の一瞬でそこまで見抜けるのか。じゃあこれはどうだ?」


 ファルタは一度後ろに下がり、代わりにジェイドが前に出てくる。


「ファルタ、ここで良いんだな?」


「ああ、同時に行くぞ!」


「爆進無法《疾風切り(ブラストラッシュ)》!」「悪魔の構え《悪魔の骸》」「封神無法《光輝の狩猟(ウル)》」


 3人の術は混ざり合い、一つの技となりオーディンへと向かって行く。


「「「合成無法《神罰の矢》」」」


(合せ技か、範囲もなかなかに広い、どうするか....周りから動いて攻めてくるのも見える。ならば、受けるとしよう。)


 オーディンに向かって行った矢はきれいに命中する。


(避けなかった!?俺とファルタが左右から動いていたのが見えていたとしてもダメージを最小限にするなら避けるのが正しかったはずだ。受けることでメリットがあったのか?)


「....流石に....今のは体にくるな。だが、丁度いい痛みだ。瀕死の数歩手前でとどまって良かった。」


「避けなかったのには理由があるってことか。理由が何かは分からないがなにかするんだったらさっさとするんだな。ファルタ、同時に攻めるぞ、エルナは援護頼む。」


 敵の体力がギリギリなのは事実、ここがチャンスと見てジェイドとファルタは攻め込む。


「流石にあんたもレイシャに加えて俺達の攻撃を諸に受けたら苦しいんじゃないのか、痩せ我慢も大概にしとけよ!」


 同時に攻める二人だがオーディンの動きは決して衰えることがなく未だに隙はほとんど生まれない。どれだけ速く動こうと、左右から攻め込もうとしても、すぐさま反応して対処してくる。


(こいつ、どんだけ視野広いんだよ。でも、流石に二人が限界だろ、左右を注意すれば、後ろが空くだろ。)


 左右から攻め込むファルタとジェイド、そして背後からは金色の矢が飛んでくる。


「狙撃無法《光輝の矢(ブライトアロウ)》。」


 3方向からの攻撃、常人であればまずすべてを対処することは不可能。しかし、同時に攻めてくる攻撃にもオーディンは冷静に対処してくる。


「まじか、3方向からの攻撃も防ぐとかやばすぎるだろ。」


(このまま攻めても無理なのか、どこか隙はないのか?というかこいつ、あれだけのダメージを受けておきながら動きが一切鈍ってない。それどころかむしろ動きのキレが良くなってるような。レイシャと戦っていたときより明らかに強くなっている....まさか)


「ファルタ、エルナ、一旦攻撃を中断しろ。確実に当てられる強力な攻撃以外はなるべく当てるな。」


「はあ!?当てなきゃ倒せないだろ。」


「いや、あいつにむやみに攻撃しないほうが良い。余計な攻撃をするとやつは強くなる。」


 ジェイドの言っていることがどういうことなのか、その時ファルタとエルナも理解する。


「つまり、そういうこと!?」


「要するに、俺達はグングニルや異常な強さの槍さばきに注目しすぎて忘れてたってわけだ。あいつの神術の存在をな。」


「オーディンの神術?でもさっきからなにかしているようには見えないけど。」


「そこの青髪、なかなか優れた観察眼を持っているな。良い良い、我が説明してやろう。我の神術は、自身が受けたあらゆるダメージの総量に比例してあらゆる能力が上昇する《逆襲(リベンジ)》、先の拳闘士の分も含めて、我の力は通常時の倍以上に上がっている。」


「そりゃきついわ、ここからが本番てとこか。」



オーディン戦もは残り2話か3話ぐらい、そろそろ新しいキャラを登場させたい。

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