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世界の終末が望むとき、神々は迷宮を制覇する  作者: 柊ヒイラギ
第二章:戦死者の魂は、狂者を奮わせる
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アマノカゼ

 巨大な鷲フレースヴェルグ、爪はとても鋭くやわな鎧では意味がなさそうである。


「あんなのに攻撃されたら一撃で終わりだね、一切攻撃受けないって言ってるようなもんじゃん。」


「爪が当たらない程度に距離を開け続けることを意識しろ。近距離攻撃主体のやつはなるべく攻撃に参加しないで敵の意識をそらすことに集中しろ。」


「なら必要なのは....封神無法《応えるもの(アルスヴィズ)》、そして...《光輝の狩猟(ウル)》。」


 エルナによって速度を上昇させるアルスヴィズと最強の弓使いウルが呼び出される。


「援護はやったよ、これ以上は魔力的に厳しいから援護は最低限になるかも。」


「いや十分だ、俺とジェイドで攻め込むぞ、レイシャは錯乱頼んだ!」


 そうして一旦距離を取り体制を立て直すファルタたち、するとそこでファルタたちのことを見ていたフレースヴェルグが体を大きく揺らす。


「フェア゙ア゙アァァア゙ア゙アアァ!」(神風無法《アマノカゼ》)


 唐突にフレースヴェルグによって起こされた突風によってファルタたちは後方に吹き飛ぶ。


(まじかよ、今の風、威力が半端じゃねえ!しかもこの風...吹き飛ばすだけじゃねえ、風速がヤバすぎて体が切り刻まれる!」


 そう、フレースヴェルグにおいて注意するべきところは決して巨大な爪ではない。フレースヴェルグの最も警戒しなければいけないところはその巨大な翼から放たれる突風である。どんな生物でも吹き飛ばしてしまうその風速は約25m/sである。

 また風の中に小さく細かい羽を混ぜることで風に切り裂く力を付与しているため、無理やり進むことも厳しい。


「こりゃ厄介だな、風ってなると避けるのはほぼ無理だぞ。」


「どっか一方に風を集中して送り込めればいけそうじゃない?その間に後ろから攻撃すれば勝てるんじゃ...」


「いや多分意味がない、そもそもこの鳥、他の魔物に比べて知能が異様に高い。多分適当な考えで突っ込んでもやられるな。」


 勝ち筋が全く見えない魔物に苦戦する、しかしそこでレイシャが言う。


「ならさ、こんな作戦はどう?」


 そういうレイシャの発言を聞く。


「何だそれ、そんな作戦で本当に行けるのか?」


「ボクだって確証はないよ。でもむやみに攻めた所で勝てないならとりあえずこうするのがいいと思ったんだけど。」


「まあ他に択がないのも事実か....エルナ、できる限り強固な壁を建てられるか?」


「できるけどそれだとオーディンのときの魔力が予定より少なくなるけど。」


「大丈夫だ、臨機応変で頼む。」


「封神無法、《守護するもの(フリーン)》。」


 フリーンによって造られた防護壁はファルタたちの周囲に広がった。そう、レイシャが考えた作戦、それは...


「今から攻撃の選択を捨てて守りに入る。魔物である異常体力は無限じゃないはずだろ、だからあいつの動きが鈍るまで意地でも耐えて守り続ける。どう?」


 ジェイドは思った。こいつは馬鹿なんじゃないかと?しかしあの突風では意味がないと判断し賭けに出ることにした。


「爆進無法、《天星のほうき星》!」


「女神の構え、《女神の加護》。」


 エルナが精霊で防護壁を貼り、守りきれないところからの攻撃はファルタとジェイドで防ぎ切る。そしてレイシャはフレースヴェルグの動きが鈍くならないかをひたすら見続ける。


(まだ....まだ....早く....早く....)


 ただただ延々と風を吹かし続けるフレースヴェルグ、その動きは衰える様子があまり見られない。


(まずいな....やっぱ待ってるだけじゃ意味がないのか?このままジリ貧になっても意味がないし一旦引いたほうが良いか....くそ、何か弱点は....)


 そうしてフレースヴェルグを観察しているとレイシャはあることに気がつく。


(なんだ?さっきより風の攻撃力が落ちてる?いやこれは....()()()()()()()のか?)


 フレースヴェルグは風の中に羽を含めて攻撃することで風の攻撃力をあげている。しかし当然再生能力でもない限り羽にも限界はある。つまり羽がなくなればただ勢いのある風である。


(なるほど、あいつの風の中にある羽は表面の一部の硬い羽だけってことか。遠目から見ても羽の量なんて変わってないのと同じに見えるけどちょっとずつ羽は減ってってるんだな。)


「どうだレイシャ、そろそろ限界が近いんだけど。」


「待って....もうすぐ...」


(まだ....まだ....まだ.......今だ!)


 そしてレイシャはファルタたちの話を無視して一気に攻め込む。その目はまさに獲物を狩る狩人のような目であった。


「予測無法、《無限の手(インフィニティ)》!」


 レイシャの渾身の一撃をくらったフレースヴェルグは大きく吹き飛ぶ。それに続いてファルタとジェイドも攻め込む。


「ここからは簡単だ!ただ攻撃をする暇もないほど隙のない攻撃をし続ければ良いんだよ!」


 3人は攻撃を与え続けてフレースヴェルグを蹂躙する。その光景を見てエルナは(結構エグい事やってるなー)と思ったとか。


「これで....終わりだー!」


 最後の一撃をレイシャが叩き込みフレースヴェルグは討ち取られた。


「ハア....ハア....あっぶねー、道中でこんな強いやついるとかやばすぎるだろ....もう少し魔力とか温存してから行きたかったんだけどな。」


「まあ倒せただけ良いでしょ。とはいえ道中でこの難易度、主のオーディンはもっと強いってことかなー。」


「一概に主が一番強いとは言い切れない。ただ同等かそれ以上の力は確実に持っていると考えていいだろうな。ここからはなるべく魔物との戦闘は避けてオーディン戦に備えて行動するぞ。」


 そうしてフレースヴェルグを討伐したファルタたちは先に行くことにした。


「ん?....何だあれ?」


 先に行こうとするファルタであったがフレースヴェルグの胸元に見覚えのあるものが描かれていることに気がつく。


「これって....兄貴の....」


「どうしたファルタ、早くしろ。」


「あぁわりい。」


 ジェイドに呼ばれて先に進むファルタたち、しかしファルタの脳裏には先程の光景が焼き付いていた。


(あれって兄貴が自慢してたマークだよな....俺たちのシンボルとか言ってたっけ。)

ウルとか登場させといて活躍の機会を与えないっていうね。いや風を操る魔物に弓矢攻撃とか効かなそうじゃん。ウルの弓なら効いたのかな。フレースヴェルグは正直レイシャの観察眼について言及したくて登場させたに過ぎないので。オーディン戦は5〜6話位を目安に書くつもりです。

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