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世界の終末が望むとき、神々は迷宮を制覇する  作者: 柊ヒイラギ
第一章:ギルド名『フィンブルヴェト』
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拳で語り合う

前回のあらすじ

レイシャとかいう戦闘狂に遭遇

(まさかレイシャが女だったとは。いやまあ別に男って聞かされていたわけではないから何もおかしくはないんだけど、戦闘狂って言われると何かゴツい男が出てきそうじゃん。)


 ファルタたちが遭遇した少女、レイシャは見た目は普通の少女だった。身長は170cmないくらいだろうか、真紅な髪色のアシンメトリーな髪型、中肉中背の少女は、傍から見たら魅力的だと思う人もいるだろう。しかし性格は全く持って見た目に合わなかった。


「君たちって攻略者?ギルドランクどのくらい?誰が一番強いの?」


(こいつ、勢いがすごいな、完全に自分の世界に入ってやがる。)


 自分のペースで勢いのある発言を繰り返すレイシャ。ほんとにこんなやつで大丈夫なのだろうか。


「ああごめんごめん!ボクの名前はレイシャ・アライシュ、好きなことは強いやつと戦うこと、てことで誰か一緒に闘おうよ!」


「レイシャ、ちょっと落ち着いてくれないか。俺たちは別に戦いに来たわけじゃない。率直に言う、俺のギルドに入ってくれないか?」


「やだ。」


 問に対して一秒経ったかすらあやふやな速さで即答された。もう少し悩んでくれてもいいだろうに。


「えーっと、なんで?」


「さっきも言ったけど、ボクは強いやつと戦いたいんだよ。それなのに弱いやつについて行ったら弱いやつとしか戦えない。少なくともボクと同等、もしくはそれ以上の強さがほしいかな。それが証明できないんだったらボクは君たちのギルドには入らない。」


「じゃあ俺たちが強いことを証明すれば良いんだろ?だったら()ろうぜ、今ここで。そんで勝てば良いんだろ?」


「へえ、結構な自身だね。負けるって可能性は頭にないの?負けたとき後悔しても知らないよ?」


「いいぜ、負けると思ってないからな。じゃ、早速始め」


 ファルタがそこまで言った所で周囲に衝撃が走る。レイシャの背後で先程殴られて気絶していた暴食狼(タイラントウルフ)の仲間が大勢やってきた。


「まじかよ、数が多いな。ファルタ一旦離れて牽制を」


「「てめえら......今いいとこだから邪魔すんじゃねえ!」」


 ファルタとレイシャは怒号を発しながら暴食狼(タイラントウルフ)に向かって行く。そして二人はほんの十秒程度ですべての暴食狼(タイラントウルフ)を倒してしまった。


「......ねえジェイド、もしかしてファルタって結構脳筋と言うか、馬鹿だったりする?」


「お前それ今更すぎるだろ。あいつは意外とノリと勢いでなんとかしようとするタイプだ。恐怖心って言うもんがないんだろうな。」


 余すことなく倒された暴食狼(タイラントウルフ)の足元で暴れまわった二人は同時に発言する。


「「疲れたーーーーーーーー!」」


「よくあんな動けるなお前ら。そこだけは褒めてやるよ。」


「うるせえよジェイド。悪いレイシャ、俺今日もう動きたくないから戦うの明日でいいか?」


「うんいいよ、ボクも疲れたから今からは無理かな。じゃあまた明日集合ね。」


 そうして『フィンブルヴェト』とレイシャのファーストコンタクトは幕を閉じた。




「はあ〜やっぱ怖いな〜。」


「なんで戦わねえエルナがビビってんの。」


 翌日、フレバの宿屋で目を覚まし、近くの喫茶店で朝食をとるファルタとエルナ。ジェイドは情報整理をするとか言って宿屋に残っていた。約束の時間まであと一時間ほど、エルナはなぜか異様にビビっている。


「そういうファルタは怖くないの?ファルタが強いのは知ってるけど、だからといって簡単に勝てる相手じゃないでしょ。」


「それはそうだけど、なんか怖くないわけではないんだよ。ただ怖いって感情に()()()せいで全然焦ってないな。」


「え、なにそれ。怖いに慣れるとかあるの?どんな生活してたらそうなるのよ。(でも何事にも勢いよく挑もうとするところがファルタの良いところなのよね)。」


「...そんな事今はどうだって良いだろ。それよりこの後だけど、俺の双剣、預かっといてくれないか。」


「うん......って、え!?ファルタ武器無しで戦うつもりなの?」


「あっちが拳で戦うなら俺もそうするに決まってんだろ。フェアな戦いのほうが盛り上がるしな。」


 エルナは驚きを隠せなかった。レイシャは確かに武器を持っているような相手ではなかった。しかし、暴食狼(タイラントウルフ)を素手で倒すほどの威力のある攻撃をしてくる。慣れ親しんだ武器を手放すのはフェアと言うよりハンデに見えた。


「元々勝ち目があるか分からないのにわざわざハンデを背負わなくてもいいのに。」


「確かにフェアじゃないかもな。でもそれでいい。あいつは強いやつと戦うためすなわち、強いやつに着いていこうとしているわけだ。ハンデがある状態で勝たなきゃまたすぐに追い抜かれるだけだ。」


 レイシャにとって自分が常に上の立場にいることが条件、つまり普通に勝ったところで運が良かったで済ませることができてしまう。ならばハンデがある状態で勝ってこそ意味があるというものだ。


「じゃあそろそろ行くぞ。」





「お、ちゃんと来たんだ。ボクにビビって逃げ出したんじゃないかって不安だったんだ。」


 予定よりも若干遅れて到着したファルタたちにレイシャは言う。


「誰が逃げるんだよ。そっちこそボロボロに負けるんじゃないかって不安でビビってるんじゃないのか?」


「そっくりそのままお返しするよ。じゃあ早速始めようかなルールはどっちかが気絶、戦闘不能、あるいは降参するまで戦う。」


「オーケー、じゃあ始めるか。エルナ、審判頼む。」


「じゃあこれよりファルタとレイシャの決闘を始めます。それでは......始め!」


 エルナの合図と同時にレイシャは動き出す。対してファルタはその場で様子を伺っていた。


「爆進無法『刹那の拳』。」


 ファルタは拳を素早く動かすことで一瞬で多量の拳を振るう。しかし、レイシャは攻撃を()()で感じ取り攻撃を躱す。


「危な!やっぱり君、神術者なのか。()()じゃん。」


「どうした、攻めてこないのか?来ないんだったらこっちから行くぞ!」


 今度はファルタが爆進を使って動き出す。拳に力を込めて勢いに乗ったまま攻撃に移る。


「直撃当ててやるよ!」


 勢いを上げて拳をふるおうとするファルタ。しかしファルタは直前で切り返しレイシャの背後に回る。


「なんてな、素直に直撃当たるやつなんていないもんな!」


 背後に回ったファルタの攻撃はそう簡単に受け止められるはずがなかった。切り返しから即座に反応しても防ぎきれないだろう。防ぐには、最初から背後の攻撃を()()()()必要があるのだから。


「っ!また防がれた。どんな反応速度だよ。色々おかしいだろ。」


「いやーボクは別に反応速度が早いわけじゃないよ。ボクはただ()()で予測しているだけ。」


「そんなの説明になって......いや......まさか?」


「お、理解したって感じだね。そう、ボクの神術は『予測(ビジョン)』、自身に起こる事象が直感的に頭の中に流れてきて行動できる。要するに、君の攻撃は当たらないよ。」


(未来を予測する神術、どう考えてもトップクラスに強い神術、勝つのは結構厳しいかもな。でも、)


「そんぐらい強い神術持ってるやつならますます仲間に引き入れたくなってきたなぁ!」


 ほぼ反則とも言える神術、しかしファルタは決して諦めようとはしない。


「良いじゃん、それぐらいやる気がなくちゃ、こっちもつまらないからな!」


 そうしてただ全力で戦うファルタとレイシャ、隅で見守るエルナはただ傍観することしかできなかった。立ち尽くしていると、ジェイドがいつの間にか来ていた。どうやら何かを知らせに来たようだ。


「ファルタはもう戦っているのか。」


「うん、結構苦戦してるっぽい。武器も持たないで戦ってるからね。」


「この試合、おそらくだがファルタに()()()()()()。」


「えっ、そんな言い切らなくても。確かにレイシャが使う神術は未来予測できるとかいうやつだけど、それだけで勝ち負け決めるのは。」


「いや、それだけじゃない。さっきディーレさんのくれた情報を整理していたんだが、そこで神物(アーティファクト)に付いての情報を見ていたとき確信に変わった。」


「えーと、要するに何が言いたいの?」


「レイシャは、神物(アーティファクト)()()()()()()。」 

いやレイシャ強すぎだろ。元々そこまで強くする予定はなかったのにいつの間にかチートキャラになりかけてる。

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