第拾漆話 とりあえず爆破して証拠隠滅すればだいたいなんとかなる
「ねぇねぇ、リシュナちゃん、マオちゃん。
昨日の騒ぎが収まっていないんだけどどうしよう・・・」
「奏、この国の常識がわかってないので確認なのですけど、放っておいても収まらないのですか?」
「さすがに何ヶ月かすれば有耶無耶になると思うけど、しばらくは騒ぎが続いちゃうわね」
「カナデさん、ワタシが捕まれば解決しますか?」
「ダメよ!もう、マオちゃんがどうにかすれば良いって状況じゃないし、マオちゃんに責任を負わせたくないわ!」
「でも、そうするとどうしたら・・・」
「どうにかして、犯人がいなくなった事を知らしめればなんとかなると思うのだけど・・・」
「それでしたら、幻影魔法で魔王のニセモノを作り出して捕まえさせますか?」
「リシュナちゃん、それで捕まった幻影はどうなるの?」
「捕まったあとに消せば、解決しないですか?」
「それだと、脱走した事になってまた戻っちゃう可能性があるわね・・・そうだわ!
幻影魔法で作り出したニセモノのマオちゃんを爆破して海の藻屑にすれば有耶無耶にできるかもしれないわ!」
「爆破・・・ですか?」
「そう!爆発して粉々になって海に消えてしまうと、証拠も残らず犯人が居なくなったと言う状況を作れるわ!」
「奏、言いたいことは大体分かりました。
けれど、ここから海ってすぐ行けるのですか?」
「大丈夫よ。電車に乗れば1時間もかからずに行けるわよ」
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と言うことで、朝食を済ませてからお出掛けの支度をして海へ行くことに・・・海と言っても人がある程度見ている場所が良いからと言うことで目的地はお台場にした。人が集まるというのもあるけど、リシュナちゃんとマオちゃんにちゃんとした服を買ってあげたいから、そういう意味でもお台場は都合が良い。今はとりあえずあたしのファストファッションのお店で適当に買った普段着だから、せっかくの美貌も台無しにしてしまっているしやっぱりちゃんと着飾りたいという想いがある。
お台場へ着くまでに初めて触れる電車に大興奮のふたりを諌めたり、人の多さにマオちゃんが怯えてしまったり、新宿駅の乗り換えで勇み足で先を進んだリシュナちゃんが埼京線のホームでりんかい線直通と間違えて相鉄線直通の電車に乗り込もうとしてしまったりと、ちょっとしたトラブルはあったものの無事に東京テレポート駅へ到着した。
リシュナちゃんと最終調整をして、お台場海浜公園から台場公園のコの字になっている3方から見えやすい位置にニセモノマオちゃん変身前を登場させ騒ぎを起こし、警官隊が囲んで陣を構えたところでダイナマイトで自爆して海の藻屑になったように演出した。
その後で海上自衛隊も出てきて大捜索になったようだけれど、すぐに犯人は自爆して居なくなったと判断され都内に張り巡らされた警戒態勢は解除された。
後ろめたい気持ちはあったけれども、洋服店でリシュナちゃんとマオちゃんを着飾ってあれこれ悩んでいる内にその気持ちも小さくなっていった。
何と言っても、リシュナちゃんもマオちゃんも喜んでくれていたのでそれが一番良かった。