憂鬱な日々
妹の部屋の窓から光が漏れていた。
(なんか嫌な予感がする。普通電気ついてないもん、絶対)
恐る恐る家のドアを開けようとした時、家の中から声が聞こえた。
「・・・!」
鮮明には聞こえないが、この声は妹の声だ。
少し泣いているようにも聞こえる。
ドアを開け、家の中に入る。
異変が起きている予感のせいか、廊下がとても長く感じた。
リビングの扉を開けると、泣いている妹と妹を宥めている母の姿があった。
「な、なんかあったのか?」
「あら海、おかえり」
母は怒っている風でもなく、いつも通りの優しい声だった。
「...お兄ちゃん、おかえり」
海の妹、目黒 由美は、現在中学1年生だ。
しばらく泣いていたのか、目が真っ赤になっている。
「大丈夫か?由美」
妹は、嗚咽を必死で止めながら少しずつ話し始めた。
どうやら、ネット通販の偽サイトに引っかかり、キャッシュレスアプリのお金を勝手に使われていたようだ。
その総額6000円。中学生からすると大金だ。
(人が亡くなったとかじゃなくてよかった。でも、由美も不憫だな、なんとかできないか...?)
しばらく考えてみたが、考えが浮かばない。
「もう寝るね...おやすみなさい」
「「...おやすみ」」
由美は悲しい顔をしながら部屋へ戻っていった。
海は、兄でありながら妹を励ますことをしなかったことを後悔した。
「...俺も風呂入ったら寝るわ」
「うん、とりあえずこのことは警察に連絡するわ」
この事件は警察に任せて、早く寝て体を休めよう。
明日は憂鬱な月曜日、学校だ。
お風呂に入り、歯磨きをする。
1日のルーティンを終わらせ、ベッドに飛び込む。
「ふう、明日学校だ。めんどくせー。行きたくねー」
なんだかんだ言いながらも羊を数えて寝ようとする。
「羊が26374匹...羊が26375ひ...くかー」
羊を26375匹まで数え、ようやく寝た海。
とっくに時間は0時30分。
明日は6時までに起きなければ間に合わないが、大丈夫なのだろうか。
高校2年、丸一日勉強せず、入眠。
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ジリリリリリリリリリリリ
朝6時を知らせる目覚ましが鳴り響く。
もしかしたら近所迷惑になりうる大音量だが、海は未だ起きない。
「んぁ〜?いまなんじだぁ?」
ようやく目を覚ました海は、アラームを止め、体を起き上がらせる。
目やにがカピカピになって瞼にくっついている。
「へっ!?なんでベッドが逆転してるんだ!?」
ベッドが逆転しているのでは無い、海の寝相が悪いのだ。
「これがホントの運動、なんちゃって」
理科の「運動」と自分の寝ている間の「運動」を...かけているつもりだが、あんまりかかっていない。
若干周りの気温が下がった気がするが、気のせいだろう。
バン!と大きな音がして扉が開く。
「もう!お兄ちゃん朝からうるさい!!」
由美は昨日は散々泣いていたが、今はすっかり元気を取り戻している。
「朝から妹が元気でよかったでーす」
「気持ち悪い喋り方しないで!早くご飯食べるよ!」
「妹がしっかり者で兄は嬉しいでーす」
海は無言で顔面を殴られ、強引にリビングへ連れて行かれる。
もう既に父は朝食を食べていて朝から筋トレをしていた。
「おはよう、二人共!朝の筋トレは良いぞ!やるか?」
若干父は暑苦しいタイプだが、優しい人間だ。
「それ毎日やってるよね。お兄ちゃんがやりたいって言ってるよ?」
「え、俺言ってn」
「そうか海はやりたいか!ほらこれ持て!10キロだ!」
「うがっ!おもた!」
「ほらワンツーワンツー!」
「せめてまずは朝ごh」
「ワンツーワンツー!」
どうやら父は聞く気は無いらしい。
今日も目黒家の楽しい一日が始まろうとしていた...
由美ちゃんのプロフィール。
髪型:ボブ
体格:???
誕生日:6月20日
身長:153cm
体重:???kg
好きなこと、もの:読書、フライドポテト、理科
嫌いなもの:喧嘩
性格:自分に対して厳しく、負けず嫌い