カウントダウン2-2
ゴキュッ!ゴキュッ!ゴキュッ!「ぷふぁぁ~~~~・・・うめぇ・・・」
キンキンに冷えたジョッキを一気に飲み干し俺は唸った。
「ちょっとぉ。さっきのへんな袋。アタイにぶつかりそうになったんだけどお」
目を半分にすわらせたミレイがすごい形相で睨んでくる。
だからそうイイ顔で俺をみるな!!!邪な気持ち湧いちゃうだろ!!!別のオカズにしちゃうぞぉ!!!
「ゴメンゴメン。さっきブラブラしてたとき旨い肉串屋があったから。みんなで食べようって思ってもらってたのうっかり忘れてたわ~」
2杯目のビールを頼みながら俺は必死(?)に謝る。
「・・・くれたの?無料で?」
「正確に言うと、勝手に奪って、屋台ぶっこわして、金だけおいてきました!!」
「アンタ。指令もないのにそうこうこと出来るのほんと~~~に社畜よねぇ」
ルルンを見つけて俺達はやっと一息ついた。
男爵家から出た時間も遅く、あまり滞在できる時間が無いが半月もお預けだったんだ!
皆も同じ気持ちだったようで看板を発見次第突入した。
「ところで肉串どうした?」
「はぁ?あんなもん消し去ったわよ!!当たり前でしょぉ!!!」
めちゃくちゃ美味しかったんだけどなぁ。しょぼーん(´・ω・`)としつつ、今度はゆっくりとビールを味わう。
くぅ~~~~。
一緒にたのんだチョリソーをほおばりつつ。さらにビールを飲む。あ~~~俺今生きてる。
皆もそれぞれに好きなものを頼み楽しんでいる様子だ。
「ところでよ。俺今日リュカ見たんだよね。例の噂の獣人の子と一緒だった」
皆の反応は・・あまり無かった。たぶんそれだけで分かってくれたと思う。
「・・・あさっての俺達の手抜き理由どうする?なんか男爵さん勝手にリュカのせいだと思ってるみたいだけど」
「そうね。男爵のいうことにうんうん言っていればどうにかなるわよ」
枝豆をつまみながらアンジェリカも同じくジョッキを傾けた。
俺は3杯目に芋焼酎を選択。今日はロックで締めたい気分。
気分よく飲み干したところで今日はお開き!
ほろ酔い気分で外に出て今夜の宿をさがそかなぁ~と歩いていると、ハイペースで飲みすぎたか足元がふらつく。
どんっ
通行人のおにいちゃんにぶつかってしまった。
「あ~サーセーン」
「おい・・・サーセーン・・じゃあねーだろうが!!!!」
おにいちゃんが顔を真っ赤にしてキレながら俺の胸座をつかむ。
「どうすんだよ。オレの服が汚れちまっただろうが!!!!」
いや、ぶつかっただけだし。。って、うぇっ!!!!!なんでそんなにおにいさんの服べったべったなの?!
ふと、俺の服を見ると・・・あちゃー俺の服もべったべったなんだけど?!なんで?!
懐を探ると・・・あった・・あったよ肉串。
そういえば、屋台をぶっこわした時に、追加で奪ってたっけ、もったいないって思って・・・・肉串。
オロオロしていると、気弱だと思われたのかおにいさんが一発殴ってきた。
とっさに当たったフリは出来たけど勢いで地面に転がる俺。
「結構イイ女連れてんじゃん」
おにいさんの取り巻きの二人組がミレイとアンジェリカに絡む。
「危ない!!!!」俺は叫んだ。
「あーん?クソ弱ええのに女かばうのかよ。兄貴の服の詫びにちょっと付き合えや~」
「ぐふふふ。こんな奴よりもオレたちと一緒にいた方が楽しいですよぉぉぉ」
ミレイとアンジェリカをつかもうと二人の手がのびる。
その瞬間、二人の手首から先が飛び、ぽとりと俺の目の前に落ちてくる。
「ひょっ・・・・・うああああああああああ!!!」
あ~あ~折角危ないって言ったのに~。特にミレイに絡むなんて命要りませんっていってるようなものだよ・・。
落ちた手首や腕からは一切血しぶきはあがらない。いつもながら器用だよなぁ~。とぼんやり寝っ転がりながら眺める。
アンジェリカはその手首を拾うと、手首がなくなり慄いている取り巻きの一人の腕に充てた。
淡い光が立ち上り、そうして。。。
「あはははっ♪見て見て。指10本よ~~~~~えいりあーーーん!!!!」
とびきりの笑顔を見せながらその腕をつかみ、無邪気に笑うアンジェリカ。
「ひ、ひぃぃぃぃぃっ!!!!」
なんとあいつ、片腕に両手首くっつけやがった。。。。しかも、ちゃんと動く!!!
・・・絶対酔ってる。てか、両手首がガチョーンって動いてエイリアンって。。くっ!!
俺もたまらず、笑ってしまった。
騒動を聞きつけ、夜、遅いにもかかわらず、俺達の周りには小さな人だかりが出来つつあった。
「何の騒ぎだ?」
「あれって確か勇者の・・・」
ひたすら笑っていたせいか、酔いも醒めつつあった。
俺はむくりと起き上がるとわめいている取り巻きとそれを茫然と眺めているべったべったのおにいさんに向かって言った。
「君たち、俺達がどういう人かわかってんの?」
とたんに、3人は土下座をして「すいませんでした!!!」
「今度から気をつけな。今日は(笑かしてもらって)気分がいいから見逃してやる」
今回原因は最初にぶつかった俺だしな、と、お詫びもかねて懐から肉串袋を出して置き、アンジェリカには手首を元に戻してやるように言う。
3人は泣きながら何度もすいませんと言い、手首が治ると肉串袋を抱きしめてダッシュで居なくなった。
うん!もう腹いっぱいだったから肉串いらなかったけど役に立ってよかったよ!
肉串だけで1話半もひっぱってしまいました。後、ダイノジもちゃんと居ます。ほんとに次は月曜に更新予定です。