勇者、、じゃなくて「ざまぁ」ご一行通ります
予定通り、ダンジョンにやってきた俺達ご一行
物語の進行上、本来の実力を出さないようにしていたが今日は違う
真の主人公が居なくなった今、好き放題に暴れられる・・はずでしたが
「バランタイン!!そこでは力出さない!ああ、ミレイも魔力強すぎよ!!」
後方の崖の上でアンジェリカからのよくわからない激が飛ぶ。
目の前には本日のメインディッシュ ドラゴンが顔を真っ赤にして
怒っていらっしゃるというのに。
竜の口から吐き出された炎がミレイを襲う。
「『きゃあああああああ!!!』って言っておいたほうがいいのかしら?
あと、テンプレの『なんで私の魔法が効かなの?!』とか慌てたほうがいい?」
魔法障壁を展開し炎を半回避しながら俺に話しかけてくる。
「えっ、、、じゃあ、俺は『クッ!なんで俺の剣が効かないんだよぉぉ。
えくすぷろーじょぉぉぉぉぉん』とか言いながら必殺技だしてみようかな?」
「二人ともふざけない!もっと真剣にやられて~~~死んでも私が生き返らせるから~~」
アンジェリカのむちゃくちゃな要求がさらに襲う。
「これ以上になったらぁ、マジで服破けるからやだぁ。ほら!みて!もう髪の毛なんてチリチリだしぃぃぃ」
「なぁアンジェリカ。この辺でいいだろ?」
「んもう!仕方ないわね。」
そういうと、アンジェリカは崖から飛び降り、むやみに四肢を投げ出して転がった。
崖は数10メートルほどあり、着地音の代わりに嫌な音が響く。
「ふぅ。これで私もほどほどといった感じになったかしら?」
全身を砂埃だらけにし、左腕がちょっとあり得ない方向に向いて居ながらも微笑む妙齢な女性。
「・・・・・・・」
「相変わらず、無謀というかなんというか・・・」
「仕方ないじゃない!誰かが指揮しないとすぐやっつけちゃうんだから」
「そんじゃま、仕上げはダイノジ、まかせたぞ!」
「うっす!」
脇で控えていたダイノジが手に持っている大きなハンマーのようなものをふりあげ、壁に叩きつける。
何度も何度も。亀裂の入った壁が広がり、何度目かの打ち付けと同時に壁や地面の大半が崩れ落ちた。
しばらくしたのち。
「ううっ、ごほっ!ごほっ!」
あちこちからせき込む声やうなり声が響いてくる。後にがれきの下から手が伸びてかき分けて出てくる人物達。
「うぉーい。生きてるかぁー」
先にはい出たバランタインが埃舞う辺りを見回しながら声をかける。
「んーなんとか大丈夫よぉ」
右後方をみると、全障壁を作って退避しているミレイとアンジェリカ。
ダイノジは脇に防空壕のような堀を作っていてそこにはまっていた。
(こいつ、待ってる間に用意周到にあんなもん作ってたのかよ・・・)
「てめぇら、、、、、」
「はーいはい!ドラゴンもこの惨事でダンジョンの奥にもどったようですし。万事うまくいきましたわ」
「ちっ」
「怒んない怒んない。これだけボロボロになってれば、だれが見たってアタイ達が依頼失敗したと思うでしょぉ」
「はぁ~。毎回とは言えコレきっついよなぁ」
「仕方ないじゃない。そういうこと折込でここに居るんだから」
一瞬、静寂が漂う
「それよりも、さすがに腕がそれはマズいんじゃね」
バランタインはアンジェリカの腕を見ながら指摘する。
「ええ?!いかにもやられました感があってよくないですか?」
「いや、見た目がグロいから。お子様とかに見せたくないよね」
ミレイもダイノジも同意している。
「わかったわ、じゃあ腕治すわね」
淡い光がアンジェリカを包み、見る見る間に腕が正常に戻る。
「どう?これでいいかしら?・・・・だけど、こっちだけ綺麗になってるっていうのも不自然よね。バランタインちょっとその剣でちょちょいって傷いれてくれない?」
「はぁ?!いや、俺の剣でやったら絶対骨までいくって!!!ミレイに魔法で切り傷いれてもらったほうがいいだろ?」
「えーーーー。魔力操作すんのめんどいよぉ。その辺の土で汚しておけばわかんないってばぁ」
俺達がわあわあと騒いでいると
「誰か来る」
ダイノジが声高に叫ぶと、ダンジョン入り口付近から幾人かの人の気配がした。
「おお~い誰かいるのかぁ・・・あっ!貴方達は・・・・」