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11.王宮に守護竜様と向かう事になりました

 昨夜の騒ぎの翌日。

 私はラフィーネから、再度、通信を受け取りました。


「はあ。ダメーナ子爵家の取り潰しですか……」


 彼女が言うには、今回の騒動の責任を追求され、ダメーナ子爵家がお家取り潰しの憂き目に遭っているとのことでした。


『ダメーナ子爵家の行いを明らかにするため。こんなこと頼める立場ではないんだけど、イリスちゃんにも何があったのか証言して欲しいんです』


 そんなラフィーネの言葉。


 正直なところ、もう関わりたくもないという気持ちもありました。

 それでも自分は、この件に無関係という訳ではないでしょう。

 私は王宮に向かうことを決意しました。


「アルペジオ様。私、王宮に行ってきます」

「いきなり、どういうことだ?」


 彼に問われ、私はラフィーネから王宮に来るようにと言われたことを伝えます。

 

「そのような場所――イリス嬢だけを行かせてなるものか」


 アルペジオは付いてくると言って聞きませんでした。

 そうして私は、守護竜と共に王宮に戻ることになったのです。




◆◇◆◇◆


 王宮の謁見の間には、国王陛下と宰相、そして大臣たちが勢ぞろいしていました。

 そんな状況で、両親が居心地悪そうに小さくなっていました。

 機嫌が悪そうな妹も一緒なようです。


「私の祈りは、たしかに守護竜に届くものでした。そんな言いがかりを付けられるなんて、はなはだ不愉快です」

「もうじき全て分かるわよ」


 ティアナのそばには、ラフィーネが居ました。

 なにやら言い争っているようです。



「お姉さま、その男は誰ですか? このような場に無関係の方を呼ぶなんて、随分と常識外れなことをなさるのですね」


 やがてティアナがこちらに気づき、意地悪く微笑みながら、そんなことを言います。

 ラフィーネが止めようとするも、間に合わない――そんな最悪の早業でした。



「ティアナ、口を慎みなさい。この方は守護竜の人化した姿。ある意味、誰よりもこの場に相応しい方よ」

「な、なにをそんな馬鹿なこと……!」


 ティアナは何やら反論しようとしていましたが、


「――ッ!」


 アルペジオがひと睨みすると、声を失ったように黙り込みました。

 竜の威圧――その覇気を受けて、なお逆らえる者など居ません。


 アルペジオ様はつかつかと城の窓を開けると――



「竜の息吹!」


 空に吸い込まれていく力強い光。

 それは人々を怯えさせてきた竜の怒り――竜の息吹にほかなりませんでした。



「まだ我が守護竜であることに、疑問を挟むものは居るか?」

 

 アルペジオはそう言いながら、あたりを見渡します。


「あ、アルペジオ様! 強引すぎます!」

「すまない。だかあの女を前にすると、冷静で居られなくてな。これもイリス嬢を守るためだ……」


 咎めるような私に、アルペジオは申し訳なさそうに答えました。


 守護竜が人化して、王宮を訪れたらしい。

 しかもどうやら、生贄として送り込んだ人間と友好関係を築いているらしい。

 信じられないものを見るような目が、私たちに向けられました。


 


「これより聖女ティアナから話を聞き、何が起きたかをすべて公正に判断させてもらおう」


 やがて気を取り直したように、国王陛下がそう宣言しました。

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