異世界保護機構
プロローグ 世界と異世界
―――――異世界保護主義とは
外の世界から来た凶悪な異世界の人間にルールを設け、その世界の人間の地位や安全を守るべきという原則である。
異世界の能力者がその世界を支配してしまうという事を防ぐためにこの原則を支持する組織が多くの異世界に設けられた。
それが『異世界保護機構』である。
そして俺が住む日本においても異世界保護機構が支部を作り、
異世界の住人が起こすさまざまな事件を次々と解決していった。
そんな組織が出来るくらいに俺の世界では異世界の住人が増えたということだろう。
この世界に来た異世界の住人たちは、この世界にはない「疑似魔法」といった技術をもたらしそれによって俺たちの生活は一変した。
それまでの電気やガスといった動力がなくても疑似魔法と呼ばれる特殊な電気物質によって電化製品が動いている。
―――――まさしく魔法。
となればそれを悪用する人間もいる。
それによってまた事件は複雑化し、
異世界保護機構に頼らざる負えない体制が出来上がってしまっていった・・・。
そんな訳で今日もまた俺の部屋のテレビでは異世界保護機構の人間が事件を解決したというニュースが取り上げられている。
ニュースではもうすぐ8月に入るという今日この頃、蒸し暑い夏と対比するかのように涼しげに受け答えをしている黒髪の美少女が映し出されていた。
凍えるような青い瞳にどこかクールな印象を醸し出している異能の少女。
彼女がこの地区担当の異世界保護機構だ。
名前は 須方真菜見と言っただろうかネットでも彼女の名前はよく見かける
俺の通っている魔術大学の異世界学科に在籍しているらしく大学の連中が噂をしているのを耳にする。
「今日も事件を解決されたということで、ネット上ではこの地区のエース候補だとの声も上がっています!凄まじい活躍ですねっ!」
というインタビュアーの質問に
「いえ・・わたしの能力だけではこの事件の解決は無理でした・・皆さんの協力おかげです・・」
と表情を顔にはださずに淡々と答える少女。
ネット上ではそのミステリアスな雰囲気が一定以上の人気がある。
彼女が質問に答えるたびに歓声が上がる。
テレビには大勢の現場にかけ寄せたファンが映し出され感謝の言葉もインタビューされていた。
その中のファンらしい男性は意気揚々に彼女について語り出す。
「彼女はこの街のエースですよっ!この街のh・・・」
―――――――――――――――っと・・・
一瞬テレビの後ろに魔術の気配を感じ俺はとっさに身をそらす。
そこでテレビはバックスタブを撃たれたように異空間から来た魔術によって穴が開き俺めがけて飛ぶ。
これではもうテレビは映らないだろう。
ついに見つかったか・・
俺は急いでこの部屋から「移動」する。
「まあ・・。仕方ないか・・・うん・・。」
ここ一日、このどす黒い魔術と鬼ごっこ中の
俺、眞井夕木にとってこれが日常になってきいる。
『俺は今異世界の住人から狙われている。』
もちろんただ逃げてるだけじゃない異世界保護機構の知り合いに助けを求めているがそれがなかなかこない。
知り合いというのは異界者きっての天才と自称する転生者の少女だ
名前は水島つゆりという少女、
・・・・・がしかしなかなかこない。
まあそもそも俺は1日中『空間』を移動しながらこの魔術から逃げているのでなかなか合流できないのは当たり前ではあるが。
なぜこのような状況になってしまっているか。
それは『俺が小さな頃からとある能力をもっていること』
と『誰かがこの世界の空間を改変していること』によって起きている。
異世界の住人が「疑似魔法」をもたらしたようにとある有名な能力者がもたらした
「空間魔法」という能力を俺は持っているらしい。
俺が持つ能力それは空間を操る能力だ。
まあ異世界の住民である異界者なら空間を移動する能力は必須だが俺のはそれより少し上の能力らしい。
といっても俺はその全ての力を使いこなせるわけではなく3つくらいしか使えない。
1つ目は自分や物の位置を移動する事。
2つ目は空間の位置を察知すること。
3つ目はなんと例えたらいいのだろう位置をめちゃくちゃにすることが出来る。
この2つ目の能力が原因であり、性質上空間を使うために15分おきに確定した位置をログとして記録している。
もちろん膨大な情報なので魔術を介した機械端末こと魔術端末に記録される。
15分ありさえすれば相手がどこにいるか分かるというかくれんぼではおおよそ最強の能力といえるだろう。
しかしごくたまにこの記録に矛盾が生じる。
大きな事件が起きるたびにその矛盾現象は起きた。
その記録ではでは死んだ人間の位置は動かなくなる。
しかし事件の数時間後には動かなくなったログがまるでそれがなかったかのように再び位置を記録し始め
る。
「死んだ位置に関する記録」→「生きていることに関する位置」の順に記録が映し出される。
俺はそれが誰かの能力で空間そのもの改変しているのだと思う。
―――――――――子供のころからそれが誰かを気になっていた。
あの殺人事件も
あの衝突事故も
あの暴行事件も
みんな改変され俺だけがそれを知っている。
『そして誰もそれを覚えておらず記録のある俺だけが知っている』
それが誰の能力知るために俺は田舎を出てこの首都に引っ越してきた。
それがこの追尾してくる魔術に追われる原因にもなるのだ。
首都に引っ越して1か月その現象が起きたのは
電車のホームでの出来事だった。
能力は残念ながら電車が15分前に起きた事故によって大幅に遅れる事を示していた。
つまり遅刻する。俺の魔術大学では遅刻は厳禁なのだ。
しかし電車はちゃんと時間通りに駅に着き俺は遅刻せずに大学に行くことが出来た。
人々の間では事故などなかったかのように振舞われる。
それを俺だけが知っている。
そして次に起きた事件が俺の住む地域の廃墟で起きた殺人事件である。
1人の若い男性が死亡した事件。
犯人はまだ捕まってない。
俺の能力は確定した位置の記録を送ってくる。
記録された魔術端末によって表示される。
能力上ではまた矛盾が記録されていた。しかし今回はいつもとは違う記録のされ方だった。
今までは死亡している事実がなくなっているのに対して
今回は死亡しているが記録上では生きている。
そもそもそんな事件はなかったかのように能力上では男性の存在が感知できた
ゆらゆらと動く気配・・・能力上ではその男性はまだ存在していることになっている。
俺はそれに興味をもってしまった。
能力を使いそれがなんなのか確かめてみたいと思ってしまった。
それが失敗と言えるだろう。
俺はその日、ゼミを受けていた。
とある有名な能力者の女教授が設ける授業。
俺と歳は変わらないくらいなのに魔術の知識に長けていてそれによって教授にまで
上り詰めた人だ。
その人のおかげで空間を見るコツについてだいぶ理解できた。
多くの人は疑似魔法を通して空間を察知するが
俺はその能力がゆえに直接空間を見ることが出来る。
そのゼミの帰り道俺はその事件の廃墟に行ってみることにした。
能力を使い廃墟に行く。
空間を見る。
俺のいる空間の3個先の空間に人影を感じた。
さらに空間をよく見ようと俺は一歩進む。
その時だった。
空間が地雷を踏んだようにそれがスイッチになり、
俺はその空間へと吸い込まれたようだ。
前に人影が見える。
それはまぎれもない人間だった。
ただうつろな目で歩き回る死体と変わらない人間。
そいつは俺を見ると口の中をもごもごさせ何かを吐き出す。
魔術だ。
どすぐろい魔術。
汚物まみれの魔術は俺を目掛けてはじける。
魚が釣り針にかかるように俺は釣られてしまったらしい。
黒いもやがかかった光が俺を見たと感じるほどにこちらに向かって飛んでくる
と同時に光が刃物へと変化する。
その空間に人が入り込むと発動するらしい。
俺は急いで空間を移動して逃げる――――――――――
――――――最初は屋根の上
――――公園の中
――橋の上
さまざまな場所を瞬間移動し追尾してくる魔術から逃げている。
魔術はしつこく俺を狙い続け、それが来るたびに俺はまた能力を使い移動する。
それの繰り返し。
数時間後やっとのこと撒いたと思った俺は自分の部屋に戻ってきた
というのが今の現状だ。
「くそ・・まだあいつは来ないのか・・」
能力を使い自分の部屋から向かいのマンションの屋上に瞬間移動した俺はつぶやいた。
しばらく魔術は俺を見失うだろう。
そう思っているとふいに背後に気配を感じた。
俺は刃物を突き立てられたかのようにゆっくりと振り向く。
「ほう・・あの女を釣るための仕掛けた魔術にここまで粘るとはな。
まあお前を見せしめにすればあの女も現れるだろう。」
振り向くとそこには今までいなかったはずの男が立っていた
髭の生えたスーツをきた男性。背は俺よりも20センチ高い。
爪を噛みながら心底面倒くさそうに俺を見ている。
手には鋭利なナイフを握りしめている。
そばには俺を追ってきた魔術が展開されている。
・・・ショックだった。
まさかこんな奴が改変を行っている可能性がでてくるとは・・・・。
俺は改変してる人間の事を子供の頃から英雄視いていた。
だからこの改変が多い地区である首都に越してきたのに。
がしかしこの状況にも目を向けなけらばならない。
この魔術との鬼ごっこまだ空間を移動する速さにおいては俺の方が分があった。
それが本体となるとまだ力を使いこなせていない俺の方が不利だ。
『異界者同士の戦闘は同じ場所では行われない』
なんども空間を移動し戦いその中で後ろを取られたりやスキを作ったものが負ける。
これが今の能力者同士の戦い。
未熟な俺の方が不利だ。
3つ目の能力を使うしかない・・・。
「そんなに驚くな。俺自身でさえも魔術が放出された先を見ることはできないんだ。まさか無傷に近いとはな。」
と目の前の男は冷静にかつ俺が移動すれば襲い掛かると言った体勢で口を開く
「あんたがいつも空間を改変してるのか・・?」
俺は時間を稼ぐために質問をする。
「ん?・・違うさ俺もそいつを狙っているんだ。お前はそのための餌になれ。」
と言い終わると同時に男はナイフを投げる。
―――――――投げられたナイフは先端から消えていく。
別の空間を通して俺を目指して移動する
俺が防げぬように7個の空間を経由し確実に俺の喉元へ・・・
刺さる前に別の方向へナイフが落ちる。
「ん・・・・・・・?」
声を上げたのは2人同時だった。
やつはナイフが落ちたことに対する声
俺はこのマンションの1階に誰かいることに気づいた声
強い魔術の気配だ。
この気配ただものじゃない‥
異世界保護機構の人間だろうか・・?
「お前さっきのナイフどうやってかわした?それがお前の能力か・・?」
もちろん俺の能力だが、今は下にいる人間が気になる。
エスカレーターをつかいこちらに向かってくる気配。
15分経たないとわからない俺の能力が忌まわしい。
やつの仲間が来ているかのせいだってある。
俺は空間を移動し屋上から階段へと降り立つ。
やつも空間を移動するが逃げている俺の移動が先行している。
ここでやっと『能力者同士の戦いらしい』空間の移動合戦が始まる。
空間を移動し現れては消える
階段に
廊下に
他人の部屋に
――――――――――現れては消える。
それがこの世界での能力者同士の本来の戦い。
やつはさっきのナイフが落ちたことで本気になったらしい。
それにつれ下にいた人間が上にあがってくる。
今のところ寸でのところでやつの攻撃から逃げている。
しかしやはり経験の差が出たのか。
7階廊下に移動した瞬間にやつに先回りされてしまった。
やつは魔術を放つ。
俺はかわし切れずに重い攻撃を受ける―――――
俺の身は飛ばされ階段まで吹き飛ぶ。
階段は俺がかわしてきた刃物でボロボロになりその中で俺は倒れる。
くそ・・いてえ‥くそ・・・
痛みに耐えながら俺は逃げるため階段の踊り場へと逃げる。
―――――――――――逃げ出た先、階段の踊り場に一人の少女がいた。
気ままにやっていきます
設定分からないとこあったら感想ください
感想ブックマよろしくお願いします