ハゲに人権は無い
この作品はフィクションです、実在の人物とは関係ありません!
2099年、世界は増えすぎた人口によって様々な問題を抱えていた
人口制限の法案が次々と乱立したが、その効果は無く……遂にとある国は人減らしの為にある決断をした
───2111年、毛根死滅罪が公布された
俺はフードで頭を隠し路地裏を走り抜ける
逃げ延びる為だ、毛根管理局……別名ズラ狩りに捕まったら、俺は工場へ送られ人工肥料にされてしまう
こんな所で捕まってたまるか
だが袋小路に追い詰められた俺は、とうとう一人のズラ狩りに追い詰められてしまったのだ
「俺は人間だ!遺伝でハゲただけの人間なんだ!俺にだって人権はある!!」
「はっ、ならお前はゾンビに噛まれてゾンビになったやつにも、人権はあると思っているのか?」
「話をすり替えるな!ゾンビは知能が低下して、第一もう死んでいるんだぞ!ハゲと一緒にするな」
「いいや一緒だね、ハゲは頭毛が減って毛根が死んでいるんだ、ゾンビと同じで噛まれたらハゲになるかもしれないだろうが」
「なるか!」
「悪いがこれも人類の為だ、死んでくれ」
「ハゲたくらいで死んでたまるか!これでも喰らえ!」
男は油断していたのだろう
俺が懐に忍ばせていた水鉄砲の一撃が、男の顔に命中した
「なっ!こ、これはまさか」
「クックックッ、そうご存知脱毛剤だ!これでお前もハゲの仲間入りだな」
「き、貴様ー!」
「諦めて我らハゲスタンスの情報提供者になるんだな、そうすれば非合法カツラを与えてやってもいいぞ」
「まさか最初からそれが狙いで……誰が反政府組織なぞに魂を売るか!私の忠誠は書記長様にあるのだ、貴様らなぞに屈してたまるか!」
「ほほーう、だがその書記長様がハゲだったとしても同じ事が言えるかな」
「なっ……そんな事は……」
「お前も、いやほとんどの国民が気付いているだろ?あの書記長は天辺ハゲだと」
「うるさい!書記長様はハゲてなどいない」
「いーやハゲだね、何故なら我らハゲスタンスが書記長のズラを作っているのだからな」
「なん……だと」
「お間抜けな話さ、奴はウィッグ社をハゲスタンスだと知らずに、秘密裏にズラを作れと命令してきたのだからな」
「嘘だ…」
「あ、これが製作の時に撮った頭頂部の写真な」
俺がスマホに記録していた写真を見せると、男はガックリと膝を着いた
「もうそれをネットにばら蒔けよ」
「無駄だ、合成写真だと言われたら証明しようがないのだからな」
俺は男に手を伸ばす
「毛根な不毛な戦いを終わらせるためにも、一緒に戦ってくれ」
電池で頭が光る超人類が誕生します