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チート能力解放するにはヘタレを卒業しなきゃいけない  作者: 植木鉢たかはし
ワクワク! ドキドキ! 小人ライフ!
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サラ・ミネドール

 姫の姿が見えない、と、じぃと呼ばれた……執事さん、だろうか? が駆け込んできた。

 国王陛下は大きくため息をつき、頭を抱えた。



「まったくあの子は……姫という立場をわきまえていないのか」


「あ、あの、失礼ながら陛下。サラ……さんがいないのは、いつものことかと思うのですが」



 アリアさんがそういう。すると、陛下はうなずきながらもいう。



「そうなんだけどなぁ、実は先週、式典をサボって街に行っていたことが判明してな。それでじぃが、罰として謹慎、ということにしたんだが……」


「意味がなかったと……」


「はぁ……どうしたものか」



 再び頭を抱える陛下。ふと、何かを思い付いたようにアリアさんがこんな提案した。



「なら! 私たちが探してきましょうか?」


「いやいや、客人にそんなことをさせるわけにはいかないよ。何人か向かわせるから大丈夫さ」


「でも、私たちは特にやることもありませんし」



 ……なんか、アリアさん、そうしたそうだな。僕と同じようなことを思ったのか、女王陛下が言う。



「そう……なら、お願いしようかしら」


「よろしいんですか?」


「そうしたいんでしょ? なら、お願いします」



 すると、アリアさんは目を輝かせ、僕の手をとった。



「ありがとうございます! ほら、ウタ、行くぞ!」


「え、ちょっ……アリアさん!」


「ま、待ってください!」


「待てよアリア姉っ!」



 アリアさんに引っ張られるようにして城を出ていく僕ら。後ろの方で、なごやかな女王陛下の笑い声が聞こえた。



◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈



 軽い足取りで街を歩いていくアリアさん。その後ろを追いかけるように僕らは歩いていく。

 ミネドールの街は、地面に赤い煉瓦が敷き詰められていて、家はベージュっぽい暖かみのある色だった。花壇には花が咲き、人々が歩いている。アリアさんは帽子をかぶったりしていないが、隣国ということで、誰も気づいてはいない。



「な、なぁアリア姉。おいらたち、その、サラって人のこと知らないんだけど」


「わたしが知ってるから問題ないさ」


「いや、そういう意味じゃないんですけどね。探すといっても、どこを探すんですか? なにか、心当たりとか」


「あの人の行動範囲はバカにならない。神出鬼没とはあぁいう人のことを言うんだ」


「……それ、見つかります?」


「大丈夫さ。街の人はあの人のことをよく知ってるはずだ。聞いてみればいいよ」



 そういうとアリアさんはすぐちかくにあった八百屋さんに声をかける。



「すみませーん」


「はいはいいらっしゃい。あらー! 可愛らしいお嬢ちゃんたちじゃないの! 今日はね、美味しい果物があるのよー」



 すると、八百屋のおばさんは奥から真っ赤な果物を出してきた。見た目はリンゴにそっくりだ! えー、す、すごく美味しそう……。



「おお……! 確かにうまそうだな! な、せっかくだから買ってかないか?」


「いいなー、おいらも食べたい!」


「わ、私も食べたいです!」


「じゃー、僕が買いますよ。三つでいいですかね……。いくらですか?」


「一つ鉄貨一枚だから、鉄貨三枚だね」



 僕はアイテムボックスから鉄貨をとりだし渡す。するとおばさんは紙袋にリンゴ(だと思う)を四つ入れてくれた。



「はいよ、一つはおまけだよ」


「ありがとうございます!」


「……えっと、すみません。人を探してるんですけど」



 と、ここでアリアさんが本題を切り出した。



「へぇ、誰かな?」


「サラ様を探しているんです」


「あっらー! サラ様かい? それまたどうして」


「えっとー……こいつが! ファンなんですよ!」


「ええええっ?!」



 アリアさんが僕を指差しながらそういう。……いやいやいや、僕、顔も知らないんだけど!



「そうなの……残念だけど、ここにはいないのよ。一時間前くらいにはいたんだけどねー」


「そうですか。今、どこにいるか分かりますか?」


「さぁね……サラ様はずっと動き回ってる方だものね。役に立てなくてごめんなさいねぇ」


「いえいえ! 大丈夫ですよ」


「うーん、他にあたってみるか」



 しかしその後、魚屋さん、文具店、お肉屋さん、民家、レストランに宿屋といろんなところの人に聞いてみたが……。



「サラ様? 知らないなぁ……」


「少し前までいたんだけど」


「ごめんなさい、分からないです」


「おー! さっきうちで食べてったよ! え? 今? 知らねーな」



 ……とまぁ、おお外れな訳で。



「だぁーめだぁー!」


「疲れましたぁ……」


「うーん、ちょっと休みます?」


「そうだな……」



 アリアさんはキョロキョロと辺りを見渡す。おしゃれなお店が何件かと、サーカスの宣伝かなにかなのか、風船を子供たちに配っているピエロがいるだけだった。



「あー、ほら、そこに喫茶店がある。お茶にしよう」


「あぁ、いいですね!」



 そうして、僕らが喫茶店に入ろうとしたときだった。



「あっ!」



 後ろで子供が叫ぶ声がした。見ると、ピエロにもらったらしい赤い風船がふわふわと空に上っていく。



「僕の風船っ!」



 アリアさんが走り出そうとする。と、その横を通りすぎていく影が一つ。



「はっ! っと、」



 颯爽と現れたその人は地を蹴り、壁を蹴り、一瞬にして風船に追い付くと、その紐をとって地面に降りた。



「はいよ、気を付けてな」


「わぁ! お姉ちゃんありがとう!」


「おう!」



 肩より少し下で切られた、燃えるような赤い髪、琥珀色の瞳、ショートパンツに、ベストの上にはマントを左肩だけに羽織り、首には太陽を模したペンダントをかけ、ニコニコ笑うその人。

 直感的に感じていた。


 ――この人だ、と。


 そして、子供が行ってしまうと、その人はまたどこかへ行こうとする。と、その人をアリアさんが呼んだ。



「サラ姉さん!」



 ……姉さん?

 アリアさんの声に振り向いたその人は、優しく笑う。



「…………アリア。久しぶりだな」



 嬉しそうに駆けていくアリアさんを、その人はぎゅっと抱き締めた。

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