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チート能力解放するにはヘタレを卒業しなきゃいけない  作者: 植木鉢たかはし
ワクワク! ドキドキ! 小人ライフ!
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国をわたる!

 さーて、そんなわけで、フローラも冒険者登録を終え、正式にパーティーを組んだ僕らは、隣国、ミネドールへと向かう。

 特に大きな問題はない。まぁ、山を越えなきゃいけないからドラくんを呼んで、みんなで移動してるわけだけど。それはいい。それはいいんだが……。



「……改めて聞きますよ? なんで僕がパーティーのリーダーになってるんですか?」



 そう、パーティー登録が終わり、新しく情報が書き加えられたギルドカードを見たら、『パーティーリーダー ヤナギハラ・ウタ』と書いてあったのだ!



「だってほら、リーダー決めなきゃいけないっぽかったからさ」


「僕はてっきり、アリアさんがそうなのかと……。何か意味があるんですか?」


「…………ウタ、」



 いつになく真剣な顔でアリアさんが僕を見る。



「お・と・こ・だ・ろ!?」


「そこで性別出さないでください!」


「あっはは! しょうがねーよウタ兄! 事実だし?」


「そうですよ。ポロンって訳にもいかないじゃないですか」


「おっ、おいらは任されても大丈夫だい!」


「こら、お主ら……。我の上であまり暴れるな。気をつけてはいるが、落ちるぞ」


「「「「はーい!」」」」


「ぷるぷる(まったく)」



 あきれたようにドラくんがため息をつく。三日の道のりも、ドラくんなら一日とかからない。本当に助かります!



「にしても、すごいですよね! こんなドラゴンを使役できるなんて!」


「普通の僕じゃあまず無理だよ。色々とミラクルが重なってね」


「でなければ、我がウタ殿に仕えるわけがあるまい」


「ひどい!」


「しかし……ミネドール、か。我はあそこはあまり好かん」


「は!?」



 ちょっとしたドラくんの言葉にアリアさんが大きく反応し、ドラくんの体をよじ登り、顔の近くまでいくと、首の辺りをべしべし叩いた。



「なんでだよ! 人は優しい、自然は豊か、ご飯もおいしい、技術的にも進歩している! これ以上ドラくんはなにを望むんだ!」


「ま、待て待てアリア殿。我は別にミネドールが悪い国だと言っているわけではないぞ? ただ、我の個人的な悩みがあるのだ」


「悩み?」



 ドラくんは小さくため息をつき、ボソッと言う。



「怖いのだよ、あそこを通るのは」


「怖い? なんでだ?」


「こう……我が思っていなくても、危害を加えてしまいそうでな」



 ドラくんがそういうと、アリアさんは納得したようにうなずく。他の僕らはちんぷんかんぷんだ。



「ん? ……もしかして、ポロンもフローラも行ったことないのか? ミネドール」


「おいらないよ」


「私もないです。名前は知ってますけど、その他は……」


「そうか……。なら、行ったらビックリするだろうな!」


「……はい?」



 何が驚くんだろう……。



◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈



「我はここから先は行けぬ。お主らだけで行け」


「ありがとうな、ドラくん。大丈夫だ。5時間もすれば着くだろう」


「ドラくん! ありがとうございました!」


「また、よろしくね」


「いつでも呼べ、我が主君」



 ドラくんが空の上の方へと舞い上がり、やがて見えなくなると、アリアさんが僕らを誘導して歩き始めた。



「こっちだ。馬車で通ったことがある」



 辺りは完全に森の中。明るい木漏れ日差し込み、包み込むように僕らを照らす。

 魔物なども見当たらす、ただただ、平和な時間が過ぎる。お互い会話などはほとんとなかったが、不安になったりら、気まずくなることもない。……平和だ。


 しばらく歩き続けていると、やがて、何か大きなトンネルのようなものが山に掘られていた。ぽっかりと口を開けたそのトンネルは、暗く、どこか恐ろしくて……違和感のある状況だった。思わず足が止まる。

 ふと、フローラがアリアさんの服を引く。



「……あの、アリアさん、まさかこの中に……?」


「ん?! そうだね、入るよ?」


「あああぁぁぁぁぁぁ……」


「ウタ兄、しっかりしろ。お・と・こ・だ・ろ?」



「ほら、いくぞ」 



 こ、この中に入ったら、出てこれない気がする。でもしかたない! 意を決して中にはい――



「おい! 貴様ら! こんなところでなにしている!」


「はい!?」



 若い男性の声がする。きょろきょろと見渡しても、人らしき影が見つけられない。でも、僕以外の人影は見当たらない。

 僕だけじゃなくてみんなにも聞こえてるってことは、幻聴じゃないみたいだけど……。と、ふと見たアリアさんの表情は、とっても明るかった。



「アリアさん! 視線! 視線かんじませんか」


「あぁ、感じるなぁ、下から」


「下から?」



 僕は不思議に思いつつ視線を落とす。するとそこには、身長20cmほどの人が仁王立ちしていた。



「なにしにきた!」


「いや、国王に挨拶に」


「国王を暗殺!?」


「全然違う!」


「こ、こうしちゃいられない。いいか! 今からお前たちを城の前へつき出すからな!

 ……よっと」


「え?」



 視界がぐるんと一周する。あぁ、空が青いなぁ……って、そうじゃない!

 逆さまになってしまった亀の甲羅をしたから持ち上げたのと同じような格好だと気づくのに、そう時間はかからなかった。


 ……いやいやいや! 僕、あんな小さい種族に目つけられた! と、突然、僕を抱えたちっちゃい人が走り出す。


 って! あー! 待って! アリアさーん!



「ま、待ってくれ! そいつは私の」


「心配するな! お前らも道連れだ!」


「待っ……うわぁぁぁ!?」


「うぇっ?! な、ちょっと待てよ!」


「わぁっ!」


「ふ、フローラ!?」



 ……え? え? え?!


 ヤバイよこの人。片手に僕とフローラ、もう片手にアリアさんとポロンくんのせて走り出したよ!? どうやってるの!?

 そんなカオスな状況から、僕らはミネドールに入国したのだった。

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