諱と字について
歴史的に、中国人は個人に特有の名として姓(氏)と諱(名)と字の三つの要素を持った。
諱とは、生前の実名。
生前には口にすることを憚られた。
諱で呼びかけることは親や主君などのみに許され、それ以外の人間が諱で呼びかけることは極めて無礼であると考えられた。
これはある人物の本名はその人物の霊的な人格と強く結びついたものであり、その名を口にするとその霊的人格を支配することができると考えられた為である。
字は、成人男子が実名以外につけた名のこと。
諱をそのまま字にする人も居たとか。
それから、諱と字は同じような意味にした方が良いそう。
分かりやすいのが、諸葛孔明です。
諱は「亮」。
字が「孔明」。
「亮」も「孔明」も「あかるい」という意味があります。
本編の主要人物、章絢は、「章」は「美しい模様。いろどり。明らかにする」、「絢」も「(織物の)美しい模様。美しいさま」などの意味があります。
そこから諱は、「彩」にしました。
「彩」は「いろどり。模様。色。つや。輝き。美しい」などの意味があって、大体同じかなと思いました。
「綾」や「綺」も考えましたが、「綾」は「リン」、「綺」は「チー」との中国語読みでしたので、「李」と合わせたときの響きで、「彩」の方を取りました。
女の子みたいな名前ですが、それはわざと。
本編で出すか分かりませんが、章絢は皇后の機転で、麒煉との後継者争いを避ける為、幼少期は公主として育ちます。
麒煉は、「麒」は「中国の想像上の動物。聖人や英才をたとえていう」、「煉」は「金属を火で溶かして精錬する。心を練り鍛える」という意味があります。
「麟」は「麒」とほぼ一緒ですが、「光りかがやくさま」という意味もあります。
そこに、婉曲的に、精錬されて高められた金属が光輝く様子を連想させて、「煉」に当てはめました。
その他にも「麟」にした理由がありますが、それは後々本編に出て来る予定です。
名前を考えるのは楽しいですが、難しいですね。
漢字にどのような意味があるのか、調べてみると面白いです。
大抵の漢字は象形文字から変化していますから、成り立ちにも想像を掻き立てられます。
怖い意味の漢字を知らずに名前に付けていることもあるでしょうから、大切な子供に名前を付ける時は、響きや字画、字形だけを見ずに意味、成り立ちを調べることをおススメします。