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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

そら豆と藁と炭〜二次創作を添えて

作者: 黒巫 狐

この話は一部原文から取ってきてるので微妙な違和感があるかもしれませんがご了承ください。



『藁とそら豆と炭〜二次創作を添えて』


昔々そのまた昔まだ人が電気という存在を知らなかった時のことです。


その頃食料や物と人間は互いに共存の関係にありました。食料や物には一つ一つ命があり、それぞれが言葉を話し、ものを考え人と共に暮らしていました。

もちろん人間も食料を食べなければ死んでしまうので食料は食べます。

ですが、食料にも選択する権利があり大半は食べられることに喜びを感じましたが一部は食べられることを拒み否定する者もおりました。



それはそんな時代に起こった出来事。


 

ある村に若いうちに夫を亡くし、貧しく年をとったおばあさんが住んでいました。

おばあさんはとても優しく心が清らかな人として村中に知られていました。

おばあさんはそら豆を一皿スープにする為にそら豆と炭、よく燃えるように藁を食料庫に取りに向かい朝食のスープ作りを始めました。


時は少し遡り食料庫へ、食料庫には仲の良いそら豆と藁、炭のトリオがいました。

そのトリオは食べられることを嫌いこのまま仲良くお喋りがしていたいと考えていました。

ある日そら豆と藁、炭はその日も穏やかに談笑を楽しんでいました。

しかしその日食料庫にやって来たお婆さんはあろう事か自分たちを運び食べようとし始めたのです。

そら豆達は大慌て、急いで何とか食べられないようにと話し合いました。

そして最初に炭がこう言いました。


「おばあさん、私はあの食糧庫によく燃える炭の友人を知っています。そいつと一緒に燃えたいのでここで一旦下ろしてください。此処からは自分で呼びに行ってきます。」


すると心の優しいおばあさんは


「あらそうなのね、それはありがたいわ。それじゃあお願いします。」


とにこやかな笑顔で言いました。


次に藁がこう言いました。

 

「おばあさん、私の体は湿っていて燃えにくくなっています。このままではおばあさんの役には立てないでしょう。ここに捨てていって下さい、後は自分で乾くように食料庫に戻ります。」

 

すると心の優しいおばあさんは


「あらあら、それは大変ねぇ…。それじゃあ気をつけて戻ってね。」


と優しく微笑みながら言いました。


最後にそら豆がこう言いました。


「おばあさん…私は……あっ後ろに!!」


そう言うやいなやそら豆は皿から飛び降り藁と炭を追いかけました。

そら豆の声に慌てて振り向くおばあさんですが後ろには何もありません。

 

「あらあら…ダメねぇ…。」


おばあさんは不思議に思いながらも持ってきたそら豆と藁、炭でスープを作り始めました。

 

おばあさんの家から逃げ出したそら豆達はお互いの無事に安堵すると共に今後をどうするか話し合いました。


そら豆が


「私たちはおばあさんを騙して運よく死ななくて済んだんだから、お互いに手と手を取り合って一緒にいましょう。ここだとまた悪いことが起こるといけないから、一緒に出て行って、よその国でやり直さない?」


と提案しました。


その提案は他の二人の気に入り、三人は一緒にでかけました。

 

まもなく三人は小さな川にやってきました。しかし橋も渡り板もなかったので、どうしたら向こうに渡れるかわかりませんでした。

藁が良い考えを思いつきました。


「僕がまっすぐ向こうに寝転がろう、そうしたら橋みたいに僕の上を歩いて渡れるよ。」


と言いました。

それでわらはこちらの岸から向こう岸へ体を伸ばし橋の役になりました。

炭は、せっかちな性格だったので、新しく建てられた橋の上で思いっきりつまづきました。

それでも真ん中に着きましたが、足元で水がゴーゴー流れているのが聞こえたとき、結局、怖くなり、立ち止まって前へ進もうとしませんでした。

炭は困って引き返そうしました、ところがわらが燃え始め、二つに割れて、川におちてしまいました。

炭はそのあとを滑り落ち、水に入った時シューと音を立てて最後の息をひきとりました。

 

そら豆は、用心してまだ岸に残っていましたが、その様子を見て笑わずにはいられませんでした。

そして笑い止めることができなくて、ひどく笑ったので破裂してしまいました。

破裂してしまった豆は酷く苦しみました。

このままだと藁や炭と同じ死という結末を悟ったのです。しかしどうしようもありません。自分たちはおばあさんを騙し抜き勝手に出てきた挙句身を滅ぼしかけているのです。


そら豆の生命の灯火が尽きかけたその瞬間頭上から声が降り注ぎました。


「おやおや、やっぱりこんなことだろうと思ったよ。」


そら豆が目を開けるとそこには先程騙し抜いた筈のおばあさんが立っていました。


「おばぁ……ん…なん…で…」


「馬鹿だねぇ…年寄りを見くびるんじゃないよ。何年生きてると思ってるんだい、これぐらい見破れないでどうするのさ。」


そう言いながらおばあさんはそら豆を拾い上げました。


そら豆は安堵しました。自分は助かったのです、藁や炭と違って自分は助かった、そう思った途端そら豆の体に黒い糸の付いた太い針が刺されました。


「あ゛っ゛っ! がっ!? 」


そら豆は痛みのあまり呻き悶えましたがおばあさんの手が止まることはありません。


「馬鹿だねぇ…本当に馬鹿だ。

あの時もそうさ…。アンタらはあの人と同じだ。私という女がいながら他の若い女の家に押しかけ夜伽に興じるあの人とね…。だからあの人は若くしていなくなったんだよ。まぁ…ヤったのは私だがねぇ…ヒヒッ」


おばあさんの顔からは微笑みは消え優しさを微塵も感じさせない言葉が出る中そら豆は必死に自分を呪いました。


(バカ野郎!何で気づかなかった!どう考えたってあんな三文芝居に騙される奴はいない!俺達は嵌められてたんだ!この善人の皮を被った悪魔のような女に!)


そしておばあさんの持つ針が遂にそら豆の半分と半分を縫い合わせました。


そら豆は白目を向いたままだらしなく肢体をぶら下げるだけとなりました。

そして体の中央には縫い合わされた糸が黒黒と光っていました。


その時からそら豆にはみんな黒い縫い目があるのです。









 

ありがとうございます。

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