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それでも、俺のライラックは虹色に咲く。  作者: 蛍石光
第13章 いつもみたいにできるはず
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どーしよー

第3部に入ります。

時間は少し進みました。けれど、彼らの夏休みはもう少し続きます。

 中学生にとっては今が楽しいかどうかが非常に重要だ。よくわからない見えない未来なんかよりも、今見えている現在が大事なのだ。

 だからといって、将来のことを考えていないわけではない。ただ、その将来というのがとっても近い将来のことが多いというだけだ。


 ピヨピヨッピヨピヨッ・・・


 あれ?電話だ。誰かな?お姉ちゃんのお仕事の電話かなぁ。

 そう考えながら家事の手を止めて受話器を取る。


「はい、もしもし。」

「あ、小暮さんのお宅でしょうか。私は茜さんと同じクラスの玉置と言います。」

「あれ?環菜ちゃん?どしたの?」

「あ、茜?良かった。家にいたんだね。」


 良かったって・・・どうしたのかなぁ。環菜ちゃんが電話してくるなんて珍しい。


「うん、いたよ~。どうして?」

「あ、あのね?ちょっとお話ししたいなと思ったの。それでね?良かったらどこかで会えないかなぁって。」


 へぇ~、環菜ちゃんが私と?珍しいこともあるもんだね。


「うん、いいよ。」

「ほんと?それじゃ、これからでも大丈夫?」


 これからすぐ?大丈夫だけど、そんなに急いで何の話があるんだろう・・・あっ・・・。


「え・・と、う、うん。大丈夫・・かな。」

「あ、マズいんだったらいいよ?また今度でも。」

「ううん、大丈夫。ちょっとお洗濯してたからそれが終わったらいいよ~。」

「そう?ありがと。じゃ、何時くらいなら大丈夫?」


 そう言われて部屋の時計を見ると、ありゃ?まだ9時半だ。まだこんな時間だったんだね。今日は朝からお家のお掃除もしてたからもっと遅い時間なのかと思ってた。


「そうだねぇ。う~ん、どこで会うのかにもよるけど、あと一時間くらい欲しいかなぁ。」

「じゃ、お昼食べてからのほうがいいかな?」


 お昼かぁ。何食べようかなぁ。ちょっと作るのは大変だし、できたら外で食べれた方が嬉しいんだけど。


「じゃ、お昼一緒に食べない?西友のフードコートとかで。ダメ?」

「うん、いいよ。じゃ・・・11時くらい?もうちょっと遅い方がいいのかなぁ?」


 本当はすぐにでも出られるんだけど、きっと夕人くんの話だよね。だったら、ちゃんと考えておきたいから・・・でも、あんまり遅いのも変だよね。環菜ちゃんって鋭いところもあるから。


「うん、大丈夫だよ。」

「それじゃ、11時に西友のとこで待ってるね。」

「うん、またね~。」


 ガチャンッ。


 どうしよう。

 話って絶対に夕人くんのことだ。

 どうしよう。

 この前、環菜ちゃんと話したし、翔くんちでお泊りした時のみんなでした話もあるし。どうしたらいいんだろう。


 正直に話したらイイのかな・・・あの時のことは後悔なんかしてないから。


 だって、夕人くん優しいんだもん。

 あ、もちろん、皆に優しいってことはちゃんと知ってるよ?

 運動もできるし、お勉強も教えてくれるし・・・それに、私の昔の話を聞いても今までと変わらず私に接してくれた。


 そして、こう言ってくれた。


『俺は庇っているわけじゃない。反省しても許されないなんておかしい。昔は昔、今は今だって。俺は今の茜を知っている。少しお姉さん的なとこがあって優しい女の子だって。もっと自信持ったらいいよ。』


 夕人くんのことを本当の意味で好きだと思ったのはその時だと思う。

 これはどうしようもないことだよね。


 でも、環菜ちゃんの気持ちも小町ちゃんの気持ちも知っていて、あんなことしちゃったっていうのは後ろめたい。


 でもでもっ、あの時はどうしてもしたいって思っちゃったから・・・。


 どうしよー。

 考えがまとまらないよぉ。

 こんなこと誰にも相談できないし・・・



 今は八月。夏休み真っ最中の平日。茜が悩んでいるのは今から一週間前の夜のことだった。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


茜は一人で悩んでいるみたいですね。

あの時のことなんて内緒にしておけばいいのに。

そう思うのは私がズルいからですか?


話が進んでいけばあの夜に何があったのかわかるはずです。

あ、あのことですよね?

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