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それでも、俺のライラックは虹色に咲く。  作者: 蛍石光
第2章 気がつけば・・・
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俺の愛は世界に向けられているのだ

『反動形成』


この言葉を聞いたことがありますか?


抑圧されて無意識になっている欲求が,意識や行動に現れないよう,それと正反対の意識・行動に置き換えられる機制をいう(ブリタニカ国際大百科事典)。


子供の恋愛感情の表現もこれに当たります。


好きなのにイジメちゃう。

これって女性よりは男性の方が多く経験があることじゃないでしょうか。


どうですか?

思い当たること、ありましたか?

 あのビンタ事件から数日。あいつらは教室にやってくることはなかった。けど、


「おっす、竹中っ。」


 ドカンッ


「いってぇ。なんだ?誰だよ?」


 カバンか?今ぶつけられたのはカバンなのか?声の主のほうに目をやると、そこには椎名がいた。


「何しやがるっ、このクソ女っ。」

「誰がクソ女だ、このクソガキっ。」

「あぁ?なんなんだ?お前は一体。俺になんか文句でもあるのか?」

「うるせーよ。」



 別の日には


「・・・ぉぉぉぉおらぁ。」


 ん?遠くから声が聞こえ・・・バキィ・・。ぐあぁ。なんだ?今のは今まで感じたことのないような衝撃が背中に。おかげで前のめりに転んじまったじゃないかっ。しかも、背中には何やらやわらかい重さを感じる。


「いってぇな、チクショウ。」


 今のはドロップキックか?


「いてて。今のはちょっとやり過ぎたか。」


 背中から声が聞こえる。んん?もしかして、俺の上に乗ってるのか?


「ふざけんなっ、降りろよ、この野郎っ。」

「野郎じゃねぇよ、クソガキっ。」

「まぁたお前かっ、いい加減にしろっ。」

「ふん、うっせぇよ。」



 さらに別の日には


「こらぁ。」


 ガンッ。


「いってぇ。またお前かっ、椎名っ。」


 今日はケリかよ。なんで俺は躱せないんだ?


「相変わらずアホみたいな顔しやがって。」


 ニヤけた顔が余計に腹立たしい。


「あぁ、アホだと?アホはお前だ、椎名っ。」


「あの・・・ごめんなさい。」

「うるせぇ。誰だ?引っ込んでろよ。」


 って村雨?なんでこいつまで?


「窓花は黙ってろよ。」


 なんでこいつらがいがみ合ってるんだ?


「だけど、ローザ・・・。」


 なんで、そんなにモジモジしてるんだよ。


「ったく、お前らはめんどくせぇな。なんなんだよ、お前ら。」

「ごめんなさい。竹中くん。あのね・・・」

「はぁ?お前は別にどうでもいいんだよ。それより、椎名っ。今に見てろよ?この野郎。」

「だから、野郎じゃねぇって言ってるだろ。」

「ウザいから、もうかかわってくんなよっ。」

「あ、ちょっと待てよ、竹中っ。」


************************


 ある日の放課後。


「椎名先輩って、ちょっとひどいよねぇ。」

「そうそう、茜の言う通りだ。これはやるしかないね。」

「いや、だからやっちゃだめだよ。小町ちゃん。」


 玉置さんはまるで理性の塊だな。俺もいい加減キレそうだったんだが、おかげで少し冷静になれそうだ。


「あのね?ちょっと聞いたんだけど。」


 今日も栗林さん、六組に来てるのな。ここのところ、毎日来てるなぁ。


「なになに?実花ちゃん。」


 小暮さんって誰とでも仲良くなれるんだなぁ。


「あのね?椎名先輩って、実はモテるんだって。」

「まぁ、しゃべらなかったら美人だからね。で、それがなんなの?」

「あ、いや、青葉さん、もう一つあるんだよ。」


 そうなのか?杉田。


「へぇ。なんだろ?」

「あ、あのね?これは調べたことじゃなくて、私が感じだことなんだけど・・・。」


 栗林さんは、完全に青葉さんの気迫に押されてるんじゃないか?


「うん、どんな事?」


 小暮さんは現状打破よりも噂話に興味があるだけか?まぁ、はっきり言って他人事だもんな。それなのに、こんなに必死になって考えてくれてることに感謝しないといけないか。


「あの、なんか、もしかしたら違うかもしれないんだけど。椎名先輩の竹中くんへの感じが、小学生の男子に似てるなぁって。」


「だからさぁ。はっきり言ってよ。」

「うん、その、男子が好きな子にちょっかいをだす感じに似てると思うの。」

「はぁ?」


 栗林さんの発言に対して、間抜けな声を出す青葉さん。けど、青葉さんのその感想は俺にはよくわかる。だいたい、俺は顔も知らなかったわけだし、


「こいつのどこに惚れる要素があるのかねぇ。」


 青葉さんがありえないと言いたげに肩をすくめる。


「いやいや、それは言い過ぎだろう?」


 そう言って、見渡すと、女子たちが頷いている。泣けてくるぜ・・・


「杉田よぉ。お前はそんなこと言わないよな?」

「俺は・・・・竹中を愛せないからなぁ。俺の愛は世界に向けられているのだ。」

「おい、ここでその冗談は竹中とはいえ傷つくからやめてあげなよ。」


 青葉さんの一言が、慰められいてるのか、いじめているのかわからない。

 でも、こんな話に付き合ってくれてるんだから・・・冗談だよな?みんな。


 けど、やっぱり、へこむよなぁ。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


結局、椎名は何をしたいのでしょうか。


チーム竹中は比較的バランスの取れたメンバーです。

熱血少女、青葉小町。

冷静な分析官、玉置環菜。

情報通の栗林実花。

バランサーの小暮茜。

チームのブレイン、杉田翔。


あれ?

竹中夕人はなんなんでしょうね。

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