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イタズラはほどほどに

2階に連れて行かれた夕人。

なんとなく何をされるのかは予想がついているのだと思いますが・・・

まさか・・・ね?

とは思いますけど・・・

 あっという間に2階の部屋まで連れていかれる。


「ちょっと待っててね。呼んだら入ってきてね。」


 そう言って部屋の中に入っていく。


「うん。」


 お、部屋の中で何か音が聞こえる。何か探してるのかな?


「いいよ~、入ってきて。」


 はいはい。まったく何されるかわからないから怖いよ・・・


「入るよ。」


 そう言って扉を開ける。うっ、暗い。・・・まったく、勘弁してくれよ。


「早く、入ってきてよ。」

「その前に電気をつけろよ。暗いだろ?」

「いいから、入ってきて。」


 イヤな予感しかしない。

 俺の本能が『入るな危険』を感じ取っている。

 絶対何か悪戯を考えてるはずだ。

 そう考えた俺は部屋の中に腕だけ入れて手探りで部屋のスイッチを探す。普通の家なら入り口の近くにスイッチがあるはずだ。

 そうやって探していたら、腕を引っ張られ部屋に引きずり込まれた。


「うわっ。」


 そして、後ろでドアが閉まる音がした。しまった。やられた。茜はこれも読んでいたっていうのか?

 暗い。暗すぎる。あの時はまだ夕方だったから少しは光が入ってきて部屋の中が見えたが、残念なことに今は夜だ。光は外からは入ってこない。頼りになるのは入り口の足下からかすかに漏れる廊下の明かりだ。


「ねぇ。こんな感じだったの?」


 近くから茜の声が聞こえる。


「もうやめてくれよ。」

「そんなにイヤ?」

「だってさ。・・・わかるだろ?」

「そっか。そうだよね。ゴメン。電気つけるよ。」


 俺の隣を人が歩く気配を感じた瞬間だった。


「イテッ。」

「キャッ。」


 俺の発した声と茜の悲鳴が同時に聞こえた。そして茜が俺に倒れこんできた。


 ゴンッ


 なかなか派手な音がしたぞ。茜がどこかをぶつけたのか?

 いや、ぶつけたのは俺か。後頭部に痛みが走る。そして、すぐに重さを感じなくなる。茜が立ち上がったのか?


「ゴメン、夕人くん。大丈夫?」

「大丈夫・・・だと思う。だから電気をつけろって言ったのに・・・」


 その途端に電気が付いた。少しだけ眩しくてホワイトアウトしていたがすぐに目が慣れてきた。そして茜の姿を探した。残念ながら(当然ながら)茜は服を着ている。

 チッ。

 じゃない。

 ホッ。


「ゴメンね、夕人くん。頭ぶつけた?」


 そう言って俺の正面に屈み込んで頭を撫でてくる。


「ちょっとね。後頭部を。」


 そう言って後頭部をさすろうとした。しかし俺の手よりも早く茜の手が後頭部に移る。


「本当にゴメン。」

「もう・・・これまでやってくるとは思わなかったよ。まったく・・・」

「ごめんなさい・・・」


 茜が反省したのか俺の頭から手を放して正座のような姿勢になる。


「ま、いいけどさ。で?これはどんな悪戯をしようと思ったんだよ?」

「え?・・・んとね。夕人くんが入ってきてドアを閉めたところで『わっ』って脅かそうかと思った。」

「はぁ・・・そんなことだろうと思ったよ。」

「だって・・・裸になるのはさすがに・・・」


 そう言って顔を赤くする。


「当たり前だろ?何考えてるんだよ。」


 まったく、茜ってこんな奴だっけ?


「でもでも、見てもらいたいのがあるっていうのはホントだよ?」


 そう言って取り出したのは小学校の卒業アルバム。


「えへへぇ~。これなんだ。見せたかったのは。」


 それなら居間に持ってくればいいのに・・・いたずらのためとはいえ、よくやるよ。


「そっか・・・」

「あー、今『こんなものか』とか思ったでしょう?」

「思ってない思ってないっ。」


 必死に否定する。まぁ、少しそう思ったのは事実だけど。


「む・・・これには環菜と小町も写ってるんだよ?」


 そうだろうなぁ。三人は同じ小学校の出身だからな。


「そうだろうね・・・」

「あれ?見たくない?」

「そんなことないけどさ・・・そろそろ帰らないと。」


 茜の家に着いてから結構時間が経っている。そろそろ帰らないと結構遅い時間になってしまう。それに腹も減ってきた。


「そっか・・・そうだよね。」

「そうだよ。腹も減ったし。」

「ご飯まだなの?」

「まだだよ。茜は?」

「私もまだ。夕人くんが帰ったら買い物に行こうかと思ってたの。」


 なんだって?これから買い物?っていうことはこれから自分で料理を作るのか?


「これから?」

「そうだよ。帰ってきてからしばらくは実花ちゃんがいたし、その後はお洗濯してたから。」


 そっか、茜は家事を全部一人でやってるんだ。


「茜、悪いんだけど電話貸してもらえる?家に電話したいんだけど。」

「うん、いいよ。そこにあるから。」


 そう言って部屋の一角を指さす。部屋に電話があるのか?


「自分の部屋に電話があるの?」

「うん、一人のことが多いから。」

「・・・そうだった・・ね。うーん、でも聞かれると恥ずかしいからさ、他のとこに電話無いの?」

「居間にもあるよ。でも、私が下に行ってるから夕人くんはここから電話していいよ。」


 そう言って立ち上がって部屋から出て行った。


「さて・・と、なんて言うかが問題だよな。」


 夕人は軽く息を吐き、何かを決心した様に受話器を手に取った。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


よかったですね。

流石の茜も裸にはならなかったみたいです。

しかし、夕人のリアクション、「チッ」って。

いや、気持ちはわかりますけどね。

なんだか夕人も昔に比べると随分と素直になった様な気がしますね。


それにしても、電話を借りて何を話すつもりでしょうか。

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