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それでも、俺のライラックは虹色に咲く。  作者: 蛍石光
第11章 Girls Night -女子会-
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女子たちの想いとお気楽な男子たち

実花の発言から不穏な空気が漂っています。


女子会、第三幕の開演です。

どう行った流れになっていくのでしょうか。

「なぁ、翔よぉ。」

「どした?」

「女子たち、騒いでるなぁ。」

「そうだなぁ。なんか楽しい話でもしてるんじゃないの?」

「そうなんだろうな。俺たちもなんとなくイメージはできてきたよな。」

「おうよ。これで試作してみて、問題点をピックアップしていけばいいかもしれない。」


 女子たちの修羅場を何も知らない二人は、翔の発明品完成に向けて力を注いでいた。


**********************


「え・・?なにそれ?どういうこと?ねぇ、茜は知ってたの?」

「・・・」


 茜は小町から目を逸らして無言でいる。それは肯定してしまっていることと同義だ。


「入学式のことは知ってるでしょう?あの時のゴタゴタ以降、環菜と夕人くんは仲良かったのよ。でね、4人で出かけたんだ。あたしと環菜と夕人くんと翔でね。まぁ、その時のことはイイとして・・・その後に夕人くんがね。」

「実花ちゃんっ。もうイイでしょ?それ以上は・・・。」

「いいよ、茜。ありがとう。私から話すから。」


 環菜は何かを決意したように言った。


「環菜・・・」

「全部話すよ。小町も聞いてくれる?」

「うん。」


 ハァっと深い息を吐いて環菜が語り始める。夕人との出会いのこと、4人で行った街でのお出かけのこと。それから夕人に告白されたこと。全員が静かに聞いていた。


「・・でも、私はその時、気持ちの整理がついてなかったの。それに『好き』っていうことがどういうことかよくわかって無くて。それに・・・夕人くんの気持ちがわからなかったの。だから断ったの。」

「ふ~ん。それは知らなかった。環菜ってさ。よくわからないとこがあったんだよね、昔から。だから、あの時もあたしと翔は夕人くんにどうしたらいいって聞かれたときになんて答えたらいいかわからなかったんだよね。」

「そんなことがあったんだね。知らなかった。」

「ゴメン。隠してたわけじゃないんだ。でも・・・」

「ううん、言いにくいよね。わかるよ。」


 小町は穏やかな顔で環菜に言う。


「いいの・・・(さっき、はっきりとフラれてきたから。)」


 そう言った環菜の目には涙が浮かんでいた。後半は言葉にはしなかった。いや、声に出したくなかったのだろうか。


「え?なに?」


 小町には当然聞こえていない。


「ううん、何でもない。」


 そう言って涙を指で拭き取る。


「それにしても、実花ちゃん?なんであんなこと言ったの?」


 茜が実花に厳しく詰め寄る。


「え?あたし?」


 自分の顔を指さし、少しだけ恍ける実花。


「だって、環菜は今日のお昼ご飯作るの手伝ってくれなかったじゃない。だから、ちょっとだけその仕返しをしたくて・・・」

「もうっ、それなら他にも方法はいくらでもあったでしょ?よりにもよってあんなこと言わせなくてもいいのにっ。」


 茜が両手を腰に手を当てて実花にさらに激しく詰め寄る。


「わ、わるかったわよぉ。まさかこんなことになるなんて思ってなかったから。環菜、ゴメンね。」


 両手を顔の前で合わせ、拝むようにして許しを請う実花。


「ううん、いいよ。たぶん、いつか聞かれるだろうなって思ってたし。皆に話せたから一回で済んでよかったよ。こんな話何回もしたくないし。」


 環菜は少しだけ寂しそうな笑顔を浮かべて言った。


「あははぁ~、そう言ってくれると助かります。」

「でも、ひとつわかったかも。」


 小町がポツリと言う。


「環菜は、まだ夕人が好きなんでしょう?」


 それを聞いた環菜の背筋がビクンと伸びる。


「う、うん。でも・・・」

「でもじゃない。私たちはライバルってことだよね。」


 小町が笑顔で環菜に宣言する。


「ライバル?」

「そう、夕人はバカだからきっと私たちの気持ちになんか気が付いてない。だから何とか振り向かせようね。」

「あららぁ~?なんかすごいことになってるよ、あの二人。いいの?茜は。」


 実花と茜は二人の成り行きを見守っていたのだ。


「あら、そういうこと言っちゃうの?私が本気になったら実花ちゃんじゃ止められないのに?」


 茜の表情からは本気で言っているのか冗談で言っているのか読み取れない。


「ぶ~、あたしは人の色恋沙汰には興味ないも~ん。」

「ねぇねぇ、二人も応援してくれる?私と環菜を。」

「はいはい。応援はしますよ。でも、助けてあげるかはわかんないなぁ。」


 茜が小町に意地の悪い一言を言う。


「えぇ。いいじゃん助けてくれても~。」


 小町は笑顔で茜に抗議する。

 ただ、環菜だけは茜が言った意味を理解してしまった・・・・・・・・ようだ。


「そう・・なんだね。やっとわかった気がするわ。でも、私が何か言えるわけじゃないしね。」

「え?なに?また私の知らない話なの?」


 小町が驚きながら環菜の顔を見る。


「さーて、なんのことですやら。」

「ねー、何のことだろうね。」


 環菜と茜は二人で小町の言葉をさらりと躱す。


「・・・さてと。私のことを暴露させたんだから、次は実花の番よねぇ・・・」


 環菜がニヤリと笑って実花に言った。


「昨日の夜、部屋に居なかったけど・・・どこに行っていたのかしら?」


 その美しい笑顔を浮かべた環菜の表情は『夢に見るほど怖かった』と後に茜が言ったとか言わなかったとか。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


なんとか最悪の展開だけは逃れられた様です。

でも、どうなってしまうのか。

女子会以上に今後の展開が気になる流れになってしまいました。


環菜と小町が自分の思いをはっきりと口にしたわけですし、これからの行動が楽しみです。

楽しみと言ってしまうとよくないですね。


どんな行動していくのか見守ってあげてください。

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