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それでも、俺のライラックは虹色に咲く。  作者: 蛍石光
第11章 Girls Night -女子会-
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恋愛話もつきものですよね!

おっぱい談義からいろんな話に広がっていく。

当然の流れですよね。

ガールズトークはどこまでも男子が入れない話ですから。


いえ、ついていける人もいるんですよね、近頃は。

そういう人って、いろんな才能があるんだと思います。


もちろん、悪い意味じゃないですよ?

人類の可能性は無限だということです。

 その後は、『スタイルをよくする体操』や『制服を可愛く見せる方法』などを四人で語り合っていたようだ。


 しかし・・・


「ねぇ。小町。聞きたいことあるんだけど、いい?」


 唐突に環菜が切り出した。この盛り上がっている場に似つかわしくないくらいに落ち着いた声で。


「ん?なに?環菜。」


 小町はその様子に気が付いていない。


「昨日なんだけど、夕人くんと一緒に来たよね。それに、お母さんが来た時に『一昨日、買い物に行った』って。どういうことかな。」


 環菜は笑顔ではあったが、どこかぎこちない。


「あ、そうそう。それはあたしもちょっと気になってたなぁ~。誰が切り出すのかなって楽しみにしてた。」

「そうだよねぇ、ここは小町ちゃんにちゃんと説明してもらわないといけないよねぇ。」


 茜が笑顔で小町に詰め寄る。


「な、なに言ってるんだよ。そんなこという必要ないだろ?」


 腕を組んで下唇を突き出しているその姿はまるで駄々をこねる子供のようだ。


「あららぁ~?久しぶりの男の子言葉だねぇ。そんなにいっぱいいっぱいになるようなことなのぉ~?」


 実花が小町の膨らんだ頬を人差し指でつつく。


「それに、小町ちゃん。忘れてるんじゃない?オセロ大会で優勝した私の命令のこと。正直に話をするって約束だよ?」


 茜が伝家の宝刀を抜く。このことがきっかけで今日の女子会は混沌としていくのだが、まだそのことに気が付いているものはここにはいない。


「・・・そうだった・・・はぁ・・・仕方ないなぁ。話すよ。」


 小町は夕人から電話がきて一緒に水着を買いに行ったこと、そして翔の家がわからなかったから一緒に来たということを、ある程度・・・・正直に伝えた。そして、『それだけのことだよ。』と強調する。ただ一つ、自分の心の中にある本当の気持ちだけを除いて。


「ふ~ん。じゃ、夕人くんのほうから一緒に買い物に付き合ってくれって言ったの?」

「そ、そうだよ。」

「ウソだね。夕人くんはそういうこと言わないと思う。きっと、水着を売ってる場所を教えてって言ったと思う。」


 環菜がきっぱりと否定する。


「あぁ、確かにねぇ~。そっちのほうが信ぴょう性あるねぇ~。」


 実花も環菜の意見に同意する。


「どうなの?小町ちゃん。」


 茜が小町に優しく問いかける。


「・・・うん。夕人は場所だけ・・・で、私が一緒に行こうって・・・」


 顔を少しだけ伏せて小さな声で小町が答える。


「・・・」


 みんなが息をのむ。次に誰が口を開くのか。誰もが皆の様子を窺っているみたいだった。


「小町は・・夕人くんが・・・夕人のことが・・・好き・・なんだね。」


 環菜が核心を突く。


「はぁ?なにそれ?そんなことあるわけないじゃん。誰があんな奴のことを・・」

「ウソついてもわかっちゃうって。小町ちゃんは嘘が苦手だもんね。」


 茜が小町を優しく抱きしめる。


「無理しなくていいんだよ。言いたくないなら言わなくたっていいんだから。」


 小町にしか聞こえない小さな声で囁いた。


「ううん、大丈夫。ありがとう、茜。」


 そう言って茜から離れる。


「そうだよ。私は夕人のことが好き。」


 それまで見守っていた実花が奇声を上げる。


「うひゃぁ~、これは爆弾発言だねぇ~。」

「ホントだねぇ。まさかここで言っちゃうなんてねぇ。」


 茜が驚いたような表情を見せ、そして心の中で呟く。


『でも、小町だったら・・・』

「でもさぁ~、それでいいの?茜。」


 実花が茜の顔を横目で見ながら言った。


「へっ?何のこと?」


 恍けた表情で実花に返事をする。


「ふ~ん、自分はそうやって誤魔化すんだね。ま、いいけどさぁ~。」

「実花ちゃん、こわぁ~い。」


 茜は実花の言うことを無視して恍け続ける。


「そっか、やっぱり小町は夕人くんが好きなんだね。」


 環菜が何かを吹っ切ったような顔で言った。その顔はこれまでの表情とは異なり、どこかすっきりしたようなものだった。


「うん、でも、なんていうかその・・・一緒に居たら楽しいっていうか、今みたいに居られればいいかなぁって思ってるんだ。」


 小町は明るい表情でみんなに自分の気持ちを伝える。


「そうなんだね。」


 笑顔で環奈が答える。


「そう、だから、今までと同じようにみんなで楽しくできたらいいかなぁって思ってるんだ。」

「そうだねぇ~。みんなで楽しくっていうのにはさんせ~。でも、それじゃこのまま終わっちゃダメだと思うなぁ、今日は。」

「どういうこと?」


 不思議なものを見たような表情で実花を見つめる茜と小町。


「さてねぇ~。どういうことだろうね、環菜。」


 そう言って環菜にふる実花。その意味深な言葉にはどういう意味があったのか。小町が知る由もない。


「・・なに?どういうつもり?実花。」


 環菜からさっきまでの笑顔が消えている。そして実花に相対するように向き直る。


「どういうつもりって、ねぇ?こんなに頑張って私たちに気持ちを伝えたのに、茜と小町が知らないっていうのはどうかなぁって思っただけだよ。」


 実花の表情からも笑顔が消えていた。


「え?私が知らないって。何のこと?」

「ほら。小町も聞きたがってるよ?」

「・・・」


 再び沈黙が場を包む。実花はどういうつもりでこんなことを言ってるのだろう。


「え~っと、なんか険悪な雰囲気なんだけど?どうしちゃったの実花ちゃん?」


 なんとかその場を取り繕おうと茜が実花に話しかけるが、一向に好転する気配がない。


「あたしはね。環菜に意地悪をしてるつもりじゃないの。一年前からずっとわからなかったことがあるから聞きたいって思っただけ。そう言ったらわかるよね。」

「一年前のこと?」


 やはり小町は知らないのだろうか。

 けれど、茜は実花が環菜に何を言わせたいのか理解したようだ。


「・・・」


 環菜は答えない。


「えっとさ。それ・・は別に今じゃなくてもいいんじゃないかなぁ?」


 茜が実花と環菜の間に入って仲裁しようとする。


「一年前、と言っても五月くらいだったよね、あの時は。あたしは結構いろいろ頑張ったよ。その場も作ったし、環菜の気持ちも知ってたつもりだったからね。だからこそわからないの。だから、今聞くね。・・・あの時、なんで夕人くんをフッたの?」


 実花は環菜の顔をじっと見ながらそう切り出した。

ここまで読んでくださってありがとうございます。


実花が切り出した言葉の真意がわかりませんが、空気が凍りついたのはまちがいないですよね。

だって、小町の話を受けての言葉なんですから。

空気が読めているのか、それとも壊しにかかっているのか。

彼女の性格的に言って、壊しに行っているとは思えないですし・・・


どちらにしても、この先は展開が読めない事態に発展しそうな気がします。

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